いつもの年なら通勤途上の沿道にサクランボがたわわに実っているのを見ながら走るのが常でしたが、今年は違っていました。木の中から朱い実が顔を出しているのはチラホラなのです。そういえば春先、農協や市の広報車がしきりと「遅霜注意」を呼び掛けて巡回していたことを思い出しました。
サクランボの白い花が咲くころ農家が一番恐れるのが「遅霜」と呼ばれるものです。咲いたばかりの花に霜が降り、めしべが極度に冷やされる状態を言います。今年の4月10日、最低気温は零下まで下がり、東根市でも3.5度。遅霜による枯死率は2~6割、晩生の紅秀峰で4~8割と言われています。(山形新聞4月14日)
予測はしていても最後にふたを開けてみないとわからないのが果物栽培の難しいところなのです。6月9日、全有連で恒例のサクランボの目揃え会が行われました。主力生産者が今年の生産量、粒の大きさ、価格などを決め合う会です。天童市の奥山さん、寒河江市の高橋さん、二人が参加しました。が、主力生産者の阿部さんの姿が見えません。リンゴの出荷が終わった後もそういえば姿を見ていませんでした。
目揃え会が終わったあと聞いてみると「阿部さん、今年ほぼ全滅に近い」とのことでした。よくて2~3割の出来ということで、昨年の洪水被害でも大きな減収をした後だけに胸中を察するとこちらも胸が詰まります。全有連だけで相当の売り上げを出していたサクランボ、黄色ランプが点滅です。防虫対策も全有連の規定に沿って、を守ってくれていた阿部さん、果物一筋の農業人生にも影を落とします。地球温暖化でサクランボの適地も北上しているとのことです。これからも難しい農業経営に課題が残ります。
残る二人の生産者に期待を託し、サクランボ戦線大異変あり、です。
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