王宮での音楽祭が無事終わり、ウィーン最終日となりました。午前中はウィーン市庁舎の特別見学がプログラミングされています。この日も朝から雪模様。バスで市庁舎へ向かい、重厚な作りの議会場へ、そしてレセプションルームへ。女性の議長さんが挨拶に立たれ、ウィーンと日本との長年に亘る交流を大切に思っていること、前日の音楽祭にもご来聴下さったこと、この日の午後に予定されている「ドリームコンサート」にもご来場予定であること、被災地の復興を心から祈っていることなどを話された後、私たち一人一人に袋入りのプレゼントを手渡して下さいました(中身はマッチと鉛筆でした)。軽食で歓談後、一旦ホテルへ戻り、お仲間数名とタクシーでホテル・ザッハーへ。タクシーに乗り込んで行き先を告げると、運転手さんが「ザッハー・トルテかい?」とウィンクしながら言います。エジプト人の愉快な運転手さんで、車窓から見える建物を一つ一つ解説してくれたり、「エジプトは日本から資金や技術、物資などたくさんの援助を受けているんだ。日本には感謝しているよ」などと嬉しいことを言ってくれます。「ウィーンは寒いでしょ」と言うと、「今日は-1℃だから暖かいよ。今年は暖冬なんだ。例年だと-18℃ぐらいなんだよ」と言います。そして、「ザッハーはオーストリア資本だけど、ザッハーの近くにあるデーメルはドイツ資本なんだ。どっちもチョコレートケーキで有名だけどね。ザッハーはモーツァルトでデーメルはベートーヴェン、みたいなもんさ」と笑いながら言っていました。なかなかインテリな運転手さんです。タクシーを降りてお目当てのザッハー・トルテを買い、歩いて数分の「音楽館」へ。音楽関連のいろんなグッズが売られています。皆でがさがさとお土産を買い漁り、またタクシーでホテルへ戻りました。夕方は、郊外の高級老人ケアハウスに併設されている由緒ある小ホールでのコンサートです。被災地のOさんは老人ホームで働いていらっしゃるそうで、上司から「ヨーロッパの老人ホームを視察してくるように」と言われていたので、それが図らずもこんな形で実現するなんて!と感激していました。コンサートは前座としてツアーのメンバーによる合唱、ピアノ演奏、サックス演奏があり、後半はウィーンフィルのメンバーによるモーツァルトのフルート四重奏と、同じくモーツァルトの「ケーゲルシュタット」。ピアノはベーゼンドルファーです。昨日の音楽祭もベーゼンだったらよかったのになあ、と、ちょっとため息。ウィーンフィルの弦の音の肌触りの柔らかさ、絶妙のアンサンブル感覚。室内楽が大好きな私は、十分に満ち足りた気分になれました。終演後は近くのホイリゲ(ワイン酒場)で夕食会です。ホイリゲの楽しみは何と言ってもシュランメル音楽。コントラギターとアコーディオンの2人組のおじさんがやってきて、楽しそうに次々と演奏してくれます。「アメリカの歌だけど日本人が好きな曲だし、オーストリアにも縁がある」と言いながら「エーデルワイス」を歌い始めると、全員が唱和して大合唱になりました。アップテンポの曲がかかると、私たちのテーブルから次々と立ちあがり、横一列に並んで歌って踊って大団円。私も踊りたくてウズウズしましたが、ようやくこの日まで持ちこたえた腰が今にも抜けそうだったのでガマンして、手拍子と歌で盛り上がりました。私たちのノリがあまりに良いので「またあとで来るからね」と言って一旦去っていった2人組は、約束通り15分後に戻ってきてくれて、またまた楽しく歌って踊って、お陰で旅行中の小さなトラブルやストレスは全部吹っ飛びました。
こうして最終日は更けていき、ホテルに帰って荷造り。翌日は朝から移動、ミュンヒェン経由で帰国です(続く)。
こうして最終日は更けていき、ホテルに帰って荷造り。翌日は朝から移動、ミュンヒェン経由で帰国です(続く)。