おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ムトゥ 踊るマハラジャ

2023-04-23 07:19:12 | 映画
「ムトゥ 踊るマハラジャ」 1995年 インド


監督 K・S・ラヴィクマール
出演 ラジニカーント ミーナ サラット・バーブ

ストーリー
大地主のラージャーに仕えるムトゥは、性格の明るさと腕っ節の強さで主人からの信頼と使用人仲間たちからの信望も厚い人気者だった。
ラージャーには伯父のアンバラがいて、彼の財産を手に入れるため娘のパドミニと結婚させようと企んでいた。
そんな中、ムトゥは芝居好きのラージャーに付き合わされる形で芝居見物をすることになるが、芝居に興味のないムトゥは途中で居眠りをしてしまい、看板女優のランガを怒らせてしまう。
一方、ランガの美しさを見て一目惚れしたラージャーは彼女との結婚を決意する。
ラージャーはランガに求婚し、「承諾するときは屋敷に来て欲しい」と告げるが、彼女はラージャーの話を聞いていなかった。
巡業先に到着したランガたちの前に借金取りたちが現れて「借金のカタ」としてランガを連れ去ろうとする。
ラージャーの命令でランガを助け出したムトゥだったが、二人は愛を誓いあう仲となった。
ムトゥはランガを屋敷で働けるように取り計らい、「結婚を承諾したから屋敷に来た」と勘違いしたラージャーは彼女を歓迎する。
ムトゥがランガと婚約していることを聞いたアンバラは、カーリを使い「ムトゥがランガに無理矢理結婚を迫っている」「ムトゥが屋敷の財産を狙っている」とラージャーに嘘を吹き込ませる。
カーリの話を真に受けたラージャーは激怒し、ムトゥを解雇して屋敷から追い出してしまう。
ランガから本当のことを聞いていた母シヴァガーミは息子を叱責し、ムトゥの正体を明かす。
ムトゥは屋敷を含む広大な土地を所有していた地主の息子であり、自分たちは地主から土地を奪い取ったことを語った。


寸評
インド映画と言えば、僕は「大地のうた」などのサタジット・レイ作品しか知らなくて、その昔、機会あってこの「ムトゥ 踊るマハラジャ」を見ることができたのだが、その時かなりカルチャ・ショックを受けたことを思い出す。
安っぽい作りに思われるが、多分、世界有数の映画製作国であるインドの、圧倒的多数を占めるB級映画は、このような作品なんだろうなと想像される。
見終わった感想の第一は、映画全体の構成のハチャメチャ振りがなんとも懐かしく思えたということだ。
なんだか子供の頃よくみた映画をリバイバルで見ているよな気になった。
あの頃はこのような観客サービスにあふれた活動大写真的な作品が多くて、映画館がすごく楽しい雰囲気を持っていたものだ。
とにかく、ブルース・リーを思い起こさせるカンフー・アクションがあるかと思えば、ミュージカル映画かと錯覚させられるぐらい、ダンスと歌のシーンが登場する。
カー・アクションばりの馬車シーンも登場するし、お涙頂戴シーンも盛り込まれている。
なにせ、ごった煮で、突然シーンと衣装が変わって歌い、踊りだすなんていうのはザラだ。
コミカルな喜劇タッチのシーンも登場する。
その支離滅裂さが不愉快かと言うとそうではなく、むしろ快感すら感じてしまうのだ。

冒頭でムトゥのラジニカーントが踊りながら歌って登場するシーンにまず驚かされる。
歌と踊りは何回も登場するが、ミュージカル映画でなくてもそれがインド映画のお決まりとのことである。
しかしこれだけ登場すればミュージカル映画と言ってもいいと思うのだが、ダンスはほとんどが腰振りダンスで、慣れ親しんだミュージカル映画のダンスシーンとはかけ離れたものだ。
1度なら物珍しさも手伝うが、毎回同じようなダンスを見せられると、これがインド特有のダンスなのだろうと思えてくるのだが、リズムとダンスは楽しいものである。
ランガのミーナが肉感たっぷりで艶めかしい。
何とか観客を楽しませてあげようというサービス精神に心打たれてしまう。
ラブレターが次々と渡っていき、勘違いした人たちが待ち合わせの庭園に集まってくるなど、ベタな話が多くて安物の喜劇映画を思わせるが、ここまで徹底するとそのベタさを楽しまないと損をする。
これだけ歌と踊りが入り込んでくると、話の内容の割には166分という超尺になるのも仕方がないだろう。

クレジット・タイトルでスーパー・スターとして紹介される主演者に興味を持って、インド映画の俳優名鑑を調べてみたが、あちらの女優さんは皆さん美人だ(少し、ふっくらされてる方が多いように思うが)。
大体において、インドの女性は美人が多いと思う。
多分、目がパッチリしているせいと思うが、僕がシンガポールのインド人街に行った時に出会った人も、小柄だがきれいな女性ばかりだった。
一方、男優人は濃い人が多いように感じた。
トム・クルーズばりのシャー・ルク・カーンもいるのだが・・・。