「ナチュラル」 1984年 アメリカ
監督 バリー・レヴィンソン
出演 ロバート・レッドフォード
グレン・クローズ
ロバート・デュヴァル
キム・ベイシンガー
ウィルフォード・ブリムリー
リチャード・ファーンズワース
バーバラ・ハーシー
ロバート・プロスキー
ストーリー
1918年の春、ネブラスカの静かな草原でキャッチ・ボールをする父と子の姿があった。
農民のエドは妻を亡くした後、幼いロイをずっとコーチし続けてきた。
彼は生まれついての天才児で、投・打・守備のどれをとっても大リーグ並みのプレーをしていた。
そんなロイの姿を幼なじみのアイリスは優しいまなざしでみつめていた。
20歳になったロイは、将来を誓い合ったアイリスに別れを告げ、スカウトマン、サムと共に街を出た。
キャンプに向かう夜行列車の中で、名物バッターとして知られるウォンボルト、スポーツ記者のマックス、それに黒いドレスに身を包んだセクシャルな女ハリエットの3人連れに会った。
サムはウォンボルトにロイなら君を3球3振にさせるぞと賭けを挑んだ。
勝負はその通りになったが、サムはロイのボールを受けそこね、後に心臓発作で急死してしまう。
シカゴに着いてホテルに入ったロイの許にハリエットから電話がくる。
彼女の美しい毒に気がつかないロイは、言われた通りに部屋に行く。
その時、ハリエットの手に握られていた拳銃から火が吹いた。
16年後のニューヨーク、常に下位で低迷しているニューヨーク・ナイツのベンチに35歳のルーキー、ロイ・ハブスが現われ、ロイのお陰でニューヨーク・ナイツは勝ち続け、野球界は奇跡のルーキーの登場で大揺れとなる。
ナイツのオーナーである判事は、自分のチームが負ける方に賭けていたので慌て、マックス、愛人のメモらを仲間に引き込み、ロイの秘められた過去を暴こうとやっきとなる。
ロイはやすやすとメモの誘惑にのり、スランプ状態に陥ってしまう。
寸評
いわゆる野球ファンタジー映画で、野球のプレーシーンは迫力のあるものではないが、当時の野球のレベルと雰囲気を出すためにあえてそのような描き方をしていたのかもしれない。
弱小球団にヒーローが登場して優勝に導くというストーリーはよくありそうだし、その球団内部に優勝されては困る人物がいてなんとか勝ち続けることを妨害しようとするのも、この後デイヴィッド・ウォード監督の「メジャーリーグ」などでも描かれたように映画的には格好の設定である。
引退まじかと思われる年齢になったロイ・ホッブスが新人として登場し、ダメ球団のナイツを蘇らせて優勝争いに加わっていくのだが、この映画にそれとは別の雰囲気を与えているのが3人の女性の存在である。
一人目は列車で乗り合わせて事件を引き起こすハリエットという謎の女性である。
どうやら有名スポーツ選手を射殺している殺人鬼の様でもあるが、なぜ彼女がそのような行動を取っていたのかは最後まで不明のままだ。
ロイが被害にあった時の写真が後半で示されるが、彼女の行動の意味が全く分からない。
しかし、兎にも角にもロイはその女に心を動かし、前途を棒に振るような被害にあったことだけは確かだ。
二人目は刺客の一人としてロイのもとに送られたメモという女性である。
悪役三人組のひとりといった立場なのだが、どこかでロイに惹かれているふしもある女性である。
満足な生活を保障してくれるパトロンのためにロイに仕掛けを施すが、その行為に悩んでいる風でもないようなところがあって女の怖さを出している。
三人目はというより、彼女こそ一番目の女性なのだが、ロイを救うことになる幼なじみのアイリスである。
恋人でもあったアイリスとの音信不通になってしまった経緯がよくわからないが、登場する女性の中にあって聖女の役割を担っていて、再登場後に見せる彼女の振る舞いが作品を格調高くしていた。
3人の女性と同じように三人の少年も登場して、3人が少年の夢の象徴として描かれていて趣を出していた。
バット・ボーイのサヴォイにとってロイはあこがれのスター選手だ。
彼のロイへのあこがれの結実として登場するのが、ワンダーボーイに変わって使用されるサヴォイスペシャルというバットで、ロイの一打は共同作業を行ったサヴォイの一打でもある。
そして賭けに勝ったロイにあこがれを抱き、汽車に飛び乗るロイからボールをもらった少年こそ、ラストゲームでリリーフとして出てくる剛速球投手だ。
彼はあこがれの選手と対決するまでになり、自分の夢を実現した少年の象徴でもある。
もう一人は言うまでもなくアイリスの息子で、彼の登場がドラマを締めくくる重要なファクターとなっている。
9回裏にランナーを置いてバッターボックスに入るロイだが、ここで打たなきゃ映画にならない場面と分かっていながらも、ここでのホームランは何度見ても感動する。
もちろんラストシーンは締めくくりにふさわしい、親子を思わせるいいシーンだ。
ここで疑問を二つ。
ロイはメモに「君は正しい。君とは以前に会っていた」と告げるのだが、あれはどういう意味だったのかなあ。
9回裏にナイツのバッターが1塁手の落球でセーフになるのだが、彼は1塁ベースを踏んでいなかったように見えたんだけど・・・。
監督 バリー・レヴィンソン
出演 ロバート・レッドフォード
グレン・クローズ
ロバート・デュヴァル
キム・ベイシンガー
ウィルフォード・ブリムリー
リチャード・ファーンズワース
バーバラ・ハーシー
ロバート・プロスキー
ストーリー
1918年の春、ネブラスカの静かな草原でキャッチ・ボールをする父と子の姿があった。
農民のエドは妻を亡くした後、幼いロイをずっとコーチし続けてきた。
彼は生まれついての天才児で、投・打・守備のどれをとっても大リーグ並みのプレーをしていた。
そんなロイの姿を幼なじみのアイリスは優しいまなざしでみつめていた。
20歳になったロイは、将来を誓い合ったアイリスに別れを告げ、スカウトマン、サムと共に街を出た。
キャンプに向かう夜行列車の中で、名物バッターとして知られるウォンボルト、スポーツ記者のマックス、それに黒いドレスに身を包んだセクシャルな女ハリエットの3人連れに会った。
サムはウォンボルトにロイなら君を3球3振にさせるぞと賭けを挑んだ。
勝負はその通りになったが、サムはロイのボールを受けそこね、後に心臓発作で急死してしまう。
シカゴに着いてホテルに入ったロイの許にハリエットから電話がくる。
彼女の美しい毒に気がつかないロイは、言われた通りに部屋に行く。
その時、ハリエットの手に握られていた拳銃から火が吹いた。
16年後のニューヨーク、常に下位で低迷しているニューヨーク・ナイツのベンチに35歳のルーキー、ロイ・ハブスが現われ、ロイのお陰でニューヨーク・ナイツは勝ち続け、野球界は奇跡のルーキーの登場で大揺れとなる。
ナイツのオーナーである判事は、自分のチームが負ける方に賭けていたので慌て、マックス、愛人のメモらを仲間に引き込み、ロイの秘められた過去を暴こうとやっきとなる。
ロイはやすやすとメモの誘惑にのり、スランプ状態に陥ってしまう。
寸評
いわゆる野球ファンタジー映画で、野球のプレーシーンは迫力のあるものではないが、当時の野球のレベルと雰囲気を出すためにあえてそのような描き方をしていたのかもしれない。
弱小球団にヒーローが登場して優勝に導くというストーリーはよくありそうだし、その球団内部に優勝されては困る人物がいてなんとか勝ち続けることを妨害しようとするのも、この後デイヴィッド・ウォード監督の「メジャーリーグ」などでも描かれたように映画的には格好の設定である。
引退まじかと思われる年齢になったロイ・ホッブスが新人として登場し、ダメ球団のナイツを蘇らせて優勝争いに加わっていくのだが、この映画にそれとは別の雰囲気を与えているのが3人の女性の存在である。
一人目は列車で乗り合わせて事件を引き起こすハリエットという謎の女性である。
どうやら有名スポーツ選手を射殺している殺人鬼の様でもあるが、なぜ彼女がそのような行動を取っていたのかは最後まで不明のままだ。
ロイが被害にあった時の写真が後半で示されるが、彼女の行動の意味が全く分からない。
しかし、兎にも角にもロイはその女に心を動かし、前途を棒に振るような被害にあったことだけは確かだ。
二人目は刺客の一人としてロイのもとに送られたメモという女性である。
悪役三人組のひとりといった立場なのだが、どこかでロイに惹かれているふしもある女性である。
満足な生活を保障してくれるパトロンのためにロイに仕掛けを施すが、その行為に悩んでいる風でもないようなところがあって女の怖さを出している。
三人目はというより、彼女こそ一番目の女性なのだが、ロイを救うことになる幼なじみのアイリスである。
恋人でもあったアイリスとの音信不通になってしまった経緯がよくわからないが、登場する女性の中にあって聖女の役割を担っていて、再登場後に見せる彼女の振る舞いが作品を格調高くしていた。
3人の女性と同じように三人の少年も登場して、3人が少年の夢の象徴として描かれていて趣を出していた。
バット・ボーイのサヴォイにとってロイはあこがれのスター選手だ。
彼のロイへのあこがれの結実として登場するのが、ワンダーボーイに変わって使用されるサヴォイスペシャルというバットで、ロイの一打は共同作業を行ったサヴォイの一打でもある。
そして賭けに勝ったロイにあこがれを抱き、汽車に飛び乗るロイからボールをもらった少年こそ、ラストゲームでリリーフとして出てくる剛速球投手だ。
彼はあこがれの選手と対決するまでになり、自分の夢を実現した少年の象徴でもある。
もう一人は言うまでもなくアイリスの息子で、彼の登場がドラマを締めくくる重要なファクターとなっている。
9回裏にランナーを置いてバッターボックスに入るロイだが、ここで打たなきゃ映画にならない場面と分かっていながらも、ここでのホームランは何度見ても感動する。
もちろんラストシーンは締めくくりにふさわしい、親子を思わせるいいシーンだ。
ここで疑問を二つ。
ロイはメモに「君は正しい。君とは以前に会っていた」と告げるのだが、あれはどういう意味だったのかなあ。
9回裏にナイツのバッターが1塁手の落球でセーフになるのだが、彼は1塁ベースを踏んでいなかったように見えたんだけど・・・。