おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ミセス・ダウト

2023-04-06 08:14:32 | 映画
「ミセス・ダウト」 1993年 アメリカ


監督 クリス・コロンバス
出演 ロビン・ウィリアムズ サリー・フィールド ピアース・ブロスナン
   ハーヴェイ・ファイアスタイン リサ・ジャクブ
   マシュー・ローレンス マーラ・ウィルソン ロバート・プロスキー 

ストーリー
7色の声を使い分ける声優のダニエルは仕事中にボスともめ、クビになる。
インテリアデザイナーの妻ミランダは、子供と遊ぶしか能のない夫にうんざりしていて、長男クリスの12歳の誕生パーティで子供や動物たちとバカ騒ぎをしたダニエルに、ついにミランダの怒りが爆発し離婚を宣言。
クリスの姉リディアと5歳の妹ナタリーも落胆するが、それ以上にショックだったのは、子煩悩なダニエルで、裁判の結果、養育権はミランダのものとなり、ダニエルは週に1度しか彼らに会えなくなった。
一方、ミランダは仕事を通じて昔の恋人スチュと交際を始める。
ミランダは留守中に子供の世話をしてくれる家政婦を雇う新聞広告を出すが、それを知ったダニエルは、オカマで映画の特殊メイクアップ・マンの兄フランクの協力で、初老のイギリス夫人に変身。
ミセス・ダウトと名乗ってミランダを訪れた彼はすっかり気に入られ、家政婦として雇われる。
ミランダも子供たちもダニエルとは気づかず、バレるのをごまかしながらも彼は子供たちを厳しくしつける。
ある日、クリスとリディアはダウトの正体に気づくが、パパの本心を知り3人だけの秘密にした。
その頃、ダニエルはTV局の社長ランディに気に入られ、新番組の打ち合わせにレストランに招待された。
ところが同時刻、同じ場所でミランダの誕生祝いがあった。
仕方なくレストランに向かった彼は、トイレで忙しく変装しながら、2組のテーブルを往復する。
酔ったダニエルは、スチュにいたずらを仕掛けてさんざんな目に遭わせるが、逆に正体がバレてしまう。
新しい家政婦を求めて面接を始めたミランダ達だったが、ある日、ダニエルの出演するテレビ番組を見た。
子供たちに対する愛情を知ったミランダは、ダニエルと和解した。


寸評
この手のドタバタ作品を撮らせると日本映画は足元にも及ばない所がある。
大笑いしてしまうシーンは随所にあるのだが、ホロリさせられるシーンも用意されていて作品を引き締めている。
その辺りの演出とバランスが上手くとれている。
ダニエルが声優であることでオープニングはアニメーションから始まり、この映画の雰囲気を予感させる。
ダニエルはすぐにクビになってしまい、その帰り道で子供たちと出会い長男クリスの誕生パーティを開くことにするのだが、この誕生パーティの様子がはじけていて現実にはありえないもので笑わせる。
移動動物園だと言って兎や馬などの家畜動物をいっぱい連れてきている。
部屋では友達も交えた子供たちに加えてダニエルも参加して大はしゃぎだ。
子供たちはそんな父親のダニエルが大好きなのだ。
ところが妻のミランダは逆にそんなダニエルが気に入らない。
いつの間にかミランダは何事につけてもガミガミ言うガミガミ女になってしまっていた。
しおらしかった女性が妻となって年数も経つと細かいことにもガミガミと言う女に変身してしまうものらしい。
子供が生まれれば尚更で、「女は弱し、されど母は強し」となって夫と妻の地位が逆転するのも珍しくはない。

ロビン・ウィリアムズの中年女への成り切りぶりが面白いと言うより感心させられてしまう。
メイク技術も流石にアメリカ映画でこなれていて、子供たちやミランダが気が付かないのを納得させられる出来だ。
家政婦として入り込み、掃除をするときのアクションなどには大笑いさせられる。
ダニエルは料理などできないのでレシピを見ながら挑戦するが見事に失敗してしまう。
そこでディナーの出張販売を依頼し見事にテーブルにセットすると帰宅したミランダを初め家族は大喜びする。
ダニエルが扮したミセス・ダウトに冷たくしていたリディアが謝りに出てきて「ママの笑顔を久しぶりに見た」と告げることをきっかけにして、ダニエルは徐々にミランダに負担をかけていたことを悟っていく。
ミランダに新しい恋人らしき男が出てきてすったもんだすることはあるが、徐々にダニエルが変心していく様はホッコリさせるものがある。
ミセス・ダウトとして子供たちの世話をするうちに、ダメ亭主だったダニエルが料理も出来るようになり部屋の片付けもきちんとやれるようになっていく。
ドタバタだけではない真面目なシーンも深刻さを伴わない形で描かれていることで作品への安心感が出ている。
バスの運転手に言い寄られても良かったが、それはそれで面白いオチが用意されていて、そのような小ネタが次から次に出てきて飽きない。

別居することで夫婦共々に精神的に安定した生活を送ることができるようになるのは分からぬでもない。
夫婦生活が長くなってくると、お互いに我慢し合って共同生活を送っていた側面もあるから、その我慢がなくなれば多分気楽な生活が送れるようになるのだろう。
つなぎとめている要因の一つが子供の存在だと思うのだが、ダニエルは毎日子供たちの世話を焼くことが出来るようになり、子供たちの養育という問題が解決される。
子供たちは母親が好きだったが、それよりもっと父親のことが好きだったのだ。
ハッピーエンドだけど、子供たちが成人した時にダニエルはどのような生活を送ることになるのだろうと思った。