おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

M:i:III

2023-04-08 13:32:02 | 映画
「M:i:III」 2006年 アメリカ


監督 J・J・エイブラムス
出演 トム・クルーズ フィリップ・シーモア・ホフマン
   ヴィング・レイムス マギー・Q ジョナサン・リス=マイヤーズ
   ミシェル・モナハン ローレンス・フィッシュバーン

ストーリー
アメリカCIAのスパイ組織IMFのトップエージェント、イーサン・ハントはスパイ稼業を引退し、婚約者のジュリアと自らの正体を明かさぬまま穏やかで幸せな日々を過ごしていた。
イーサンは引退後、教官として後進スパイの育成に励んできたのだが、教え子のひとりであるリンジーが闇市場の商人の周囲を探る任務に就いたまま行方不明になった。
イーサンはジュリアには仕事で出張に出ると嘘をつき、相棒のルーサーら仲間たちと共にリンジーの救出に向かい、無事に救出成功したかと思われたが、リンジーの脳内には小型爆弾が仕掛けられており、イーサンらの奮闘空しくリンジーは殺害されてしまった。
イーサンはジュリアと結婚式を挙げると、リンジーが生前追っていたブラックマーケットの商人デイヴィアンが事件の鍵を握っているとみて、デイヴィアンが潜伏しているとみられるバチカンへと仲間たちとともに飛び立った。
リンジーは生前にビデオメッセージを残しており、それによるとIMFの上官ブラッセルがデイヴィアンと結託して裏切り行為を働いていることを告げていた。
ブラッセルら上層部には一切報告しない極秘任務として、バチカンを駆け回ったイーサンのチームはデイヴィアンの身柄を確保、アメリカに連れ帰ろうとしたが、途中で何者かによるミサイル攻撃を受け、デイヴィアンを連れ去られてしまった。
デイヴィアンはジュリアが勤務する病院に押しかけて彼女を誘拐、デイヴィアンが狙う機密情報『ラビットフット』を48時間以内に探し出さないとジュリアを殺すと脅迫してきた。
その後、ジュリアの病院を訪れたイーサンはIMFの者に捕まり、本部に連行された。
ブラッセルの尋問にも口を割らないイーサンは、ブラッセルの部下マスグレイブから『ラビットフット』は上海にあると聞きつけ、IMFから脱出に成功すると上海に飛んだ。


寸評
「ミッション・イン・ポシブル」はトム・クルーズ主演の人気シリーズであるが、元はテレビドラマの「スパイ大作戦」で日本では1966年から1973年まで放送され、僕も毎週楽しみにして見ていた。
毎回決まりきったオープニンで始まるのだが、そのシーンが見どころでもあった。
当局からの指令は録音テープで届き「おはよう、ブリックス君」で始まり、最後は「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで」で終わる。
そして「なおこのテープは自動的に消滅する」と流れると、発火装置が作動してテープから煙が出て破壊される。
時代が変わって、指令の媒体はテープではなくなっているが内容は当時の形式通りである。

映画導入部にクライマックスシーンをちょい見せするのは、僕としてはあまり感心しなかったのだが、あとは最初から最後までアクションに次ぐアクション、見せ場に次ぐ見せ場の連続でまったく飽きさせない。
フィリップ・シーモア・ホフマンのふてぶてしい悪役ぶりも最高。
この類の映画は悪役が光ってこそ主人公が映えるから、全くの公式通りのキャスティングだった。
「007シリーズ」がボンド一人の超人的な活躍で目的を達成するのに比べ、こちらの面白さは、一言で言えばチームプレイの面白さで、メンバーが力を合わせて目の前の難関を突破していく。
それが徹底しているから、ひとりの仲間を敵から救うために命を賭けるのも、フィアンセを助けるために命を賭けるのも矛盾が無く納得できた。
そしてその行動原理が、MIFの幹部が「私は国益と民主主義のために働いている」と発する言葉と対になっていて、無意識の中で物語に深みを持たせていたと思う。
特殊装置や武器に始まり、携帯電話に至るまで、小道具の使い方も上手いと感じさせた。
これが三作目となるシリーズ物だが、今回の作品がずば抜けて面白い。
スカッとしたい映画を映画館で見たい分にはオススメ度100%だ。

先ずはイーサンがリンジーの救出に向かい彼女の救出に成功するのだが、リンジーは脳に小型爆弾を仕掛けられており殺害されてしまう。
巧みなストーリーテリングで引っ張って行けていたと思うが、冒頭でのリンジーに関する描写ではなぜリンジーが殺害されずに捕らわれていたのかが説明されていない。
リンジーを生かしておく必要が何処にあったのだろう。
疑問を積み残してそこからはバランスの良いアクションシーンが続き、ビジュアル的にも進歩を見せている。
バチカンでデイヴィアンを誘拐するくだりなどは実にスタイリッシュだ。
潜り込んだゼーン・リーがコンパクトに仕込んだ隠しカメラでデイヴィアンを撮影し、データーを転送してマスクを作成するくだりから、車で脱出しモーターボートで逃亡するまでのスピード感が素晴らしい。
上海では隣のビルから振り子の原理で目的のビルに侵入するアクションも見せるシーンとなっている。
イーサンはジュリアの救出に向かい上海の川沿いを駆け抜けるのだが、超高層が立ち並ぶところから風情が残る下町の様子が紹介されて海外ロケの良さが出ている。
アクションに次ぐアクションで中身は何もないのだが、それがこの作品の特徴でもある。
サスペンスとして裏切り者のエピソードがもう少し盛り上がりを見せれば更に評価が上がったと思う。