おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ボヘミアン・ラプソディ

2018-12-06 15:35:09 | 映画
伝説のバンド<クイーン>
リード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの短くも壮絶な人生を軸に描き出した感動の音楽伝記映画。

「ボヘミアン・ラプソディ」 2018年 イギリス / アメリカ


監督 ブライアン・シンガー
出演 ラミ・マレック ルーシー・ボーイントン
   グウィリム・リー ベン・ハーディ
   ジョセフ・マッゼロ エイダン・ギレン
   トム・ホランダー アレン・リーチ
   マイク・マイヤーズ アーロン・マカスカー
   ダーモット・マーフィ

ストーリー
複雑な生い立ちや容姿へのコンプレックスを抱えた孤独な若者フレディ・マーキュリーは、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーたちと出会い、バンド“クイーン”を結成する。
この個性的なメンバーの集まりは、互いに刺激し合うことで音楽的才能を開花させていき、常識にとらわれない革新的な名曲を次々に生み出していく。
フレディはもう一つ、洋服店の店員のメアリー・オースティンと大きな出会いをする。
彼女こそがフレディが「運命の人」と呼んだ女性である。
そしてついに、ロックとオペラを融合させた型破りな楽曲『ボヘミアン・ラプソディ』が完成する。
しかし6分という当時としては異例の長さに、ラジオでかけられないとレコード会社の猛反発を受けるフレディたちだったが…。

いかにしてフレディは、世間の常識や既成概念に逆らい、従来の音楽を打ち破り、世界中から愛されるエンターテイナーとなったのか?
なぜ愛と孤独、プレッシャーに引き裂かれたのか?
そして、崩壊寸前に陥ったバンドを立て直し、永遠のレガシーを確立できた理由とは…?
20世紀最大のチャリティコンサート“ライブ・エイド”で、音楽史に残る史上最高のパフォーマンスを披露した彼らの華やかな活躍の裏には、誰も知らない物語があった…。

寸評
僕は”クイーン”のファンでもないし、どんなバンドだったのかも知らなかったのだが、この映画はそんな僕でも楽しめるものとなっている。
バンドが栄光をつかむまでの経緯が、様々なエピソードとともに描かれていくのだが、ドラマ自体は物足りなく感じるものである。
それが音楽と一体化することで奥深い世界が広がっていき、フレディの苦悩が一層リアルに伝わってくる。
次々流れ出てくる音楽もあって、何とも言えない迫力を生み出していき2時間があっというまだ。
是非とも音響効果の良い劇場で見たい作品である。

フレディにおける最大のポイントは、彼が同性愛者だということだ。
最初はメアリーと恋人同士として過ごしていたフレディだが、やがて男性への関心に目覚めていく。
フレディはメアリーに、自分はバイセクシャルで女性も男性も愛せるというが、メアリーは「あなたは男しか愛せないゲイだ」と断言する。
そうなれば、普通はメアリーと別れるものだが、彼はそうはせずに隣の家に住まわせ頻繁に連絡を取る。
メアリーがフレディと距離を取り始める姿が切なく映るが、この描写はなかなかいい。
大ヒット曲を集めた制作秘話ものでありながら、LGBTものとしてのテーマ性も併せ持っている。
メアリーは新しい恋人との間に子供を設けるが、フレディの理解者として彼が亡くなるまで友人だった。
フレディのステージを見守る彼女の姿は美しい。
どこかの国の国会議員に見せたい。

僕が学生だった頃には「ウッドストック」があったけれど、ライブ・エイドは1980年代のウッドストックだ。
その熱気は画面を通じても伝わってくる。
フレディの苦しみ、孤独は、映画の前半からじわじわと積み重なり、重苦しい空気を作ってゆくがそのすべてを蹴散らすクライマックスである。
同性愛者であり、エイズを発症し余命いくばくもないと思われる姿に感動する。
楽曲は基本的にクイーンの原曲を使っているとのことだが、歌声と演奏に不自然さはまったない。
ドラッグやセックス関連の描写を極力抑えて、フレディの生きざまを描いている点が評価できる。
日本映画にこの手の作品が生まれてこないのは、クイーン程のアーティストがいないことによるのか、それとも音楽映画にチャレンジする監督がいないせいなのか・・・。
しかし、ライブ・エイドってすごいアーティストたちが参加していたんだなあ。