おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ダンケルク

2024-09-04 07:07:21 | 映画
1964年版の「ダンケルク」は2022-11-04で紹介しています。
バックナンバーからご覧ください。

「ダンケルク」 2017年 イギリス / アメリカ / フランス


監督 クリストファー・ノーラン
出演 フィオン・ホワイトヘッド トム・グリン=カーニー
   ジャック・ロウデン ハリー・スタイルズ
   アナイリン・バーナード ジェームズ・ダーシー
   バリー・キオガン ケネス・ブラナー
   キリアン・マーフィ マーク・ライランス トム・ハーディ

ストーリー
第二次世界大戦初期、戦地となったダンケルクの街の空をドイツ軍が撒いた「連合軍は降伏せよ」の文字が書かれた大量のチラシが舞い、その時けたたましい音と共に四方八方から敵の銃撃があり、1人、また1人と仲間が倒れていく中、トミーは1人バリケードの中へなんとか逃げ込んだ。
自身の分隊は全滅し、うつろにダンケルクの浜辺まで出ると、そこにはおびただしい数の兵士たちが脱出のため桟橋から列を作って並んでいた。
トミーは、仲間を砂に埋葬しようとしている無口な青年ギブソンから飲み水をもらい行動を共にする。
けが人は優先的に乗船できることを知った2人は、倒れている兵士を見つけ担架で運んだが、あと一歩のところで船から降ろされてしまった。
ドイツ軍の容赦ない爆撃によって駆逐艦は転覆し、多くの兵士が海へ投げ出された。
トミーとギブソンは転覆した船から泳いできた青年アレックスを助けた。
3人は爆撃から逃げながらやっとの思いで脱出のため船に乗った。
ギブソンは胸騒ぎを抱え暗い夜の海に目をやると、大きな魚雷がこちらに向かってきているのが見えた。
船は爆発と共に傾き、三人は朝方ダンケルク海岸へ泳ぎ着いた。
イギリスの小さな港町ではドーソンが自分の小型船を出港させる準備をしていた。
ダンケルクで戦っている兵士を救出するために、国から徴用命令が出されたことを息子のピーターに説明する。
出港直前、ピーターの友達のジョージが人の役に立ちたいという熱意で乗船した。
目的地にだんだん近付くと、転覆した英国船の上に取り残された兵士を見つけ船に引き上げた。
ドーソンが兵士にダンケルクへ向かうことを告げると、兵士は血相を変えて戻るように叫び、船を奪おうとしたため争いとなり、兵士は勢いからジョージを突き飛ばしてしまい頭から流血させてしまた。


寸評
映画を貫くドラマは存在していないと言ってもいいが、ストーリーとしてトミーらが敵から逃げ救援を待つ「陸」の1週間、ドーソンらが民間船として救援に向かう「海」の1日、そして海岸で救助を待っているイギリス軍の兵に襲いかかるドイツ軍の戦闘機を迎撃するファリアら「空」の1時間の三部を時間を交差させながら進行させている。
第二次世界大戦のある部分を描いた映画で、戦争スペクタクルと言ってもいいような内容であるが、換言が許されるならこれは壮絶なサバイバル作品と呼んでも良いのではないかと思う。

「陸」の部ではトミーが中心的に描かれる。
トミー、アレックス、ギブソンの三人がやっと船に乗り込み食料にありついたところで魚雷攻撃を受け、兵士たちは海へ飛び込み三人は再び海岸へ泳ぎ着く。
自ら命を断つため海へ向かう兵士が見えるものの、三人は絶望と疲労でじっと見つめることしか出来ない。
その後三人は座礁している商船を見つけて乗り込み、ハイヤーラウンダーの小隊と潮が満ちるまで待機していたところドイツの銃撃を受ける。
ギブソンは仲間からスパイだと疑われて船を軽くするために降りるよう迫られる。
降りればドイツから銃撃されて死ぬことは明白だが、自分以外の人間が犠牲になればいいとのエゴが発生する。
ギブソンは救助がイギリス人が優先されると知って、埋葬したイギリス兵から兵服とネームタグを奪っていたフランス兵だったと分かるが、ドイツ軍の銃撃により船に穴が開き浸水し始めてしまう。
偽装してまでして生き延びてきたギブソンだったが、水没した商船から抜け出せず命を落としてしまう。

「空」はダンケルクの上空で、英国戦闘機スピットファイアを操縦するコリンズとファリアの物語だ。
敵軍の戦闘機を追撃していたコリンズの乗った戦闘機が銃撃されてしまいドーソンの船に助けられる。
残ったファリアはメッサーシュミットと戦って味方の駆逐艦を救うが、燃料切れとなり不時着しドイツの捕虜となってしまう。
引揚者から「空軍は何をしていたんだ」と叱責されるが、コリンズたちの奮戦はドーソンが見ていた。

「海」は兵士救出にむかうドーソンが操縦する民間船で起きた出来事で、三部の中では一番ドラマ性がある。
ドーソン、ピーター親子の船にピーターの友人ジョージが人の役に立ちたいという熱意で同乗する。
途中で助けた兵士と揉み合いになり、突き飛ばされて大けがを負ったジョージはそれが元で死んでしまう。
兵士はやがて「あの子は大丈夫か」と気にかけるようになるが、その時にはジョージはすでに死亡していた。
ピーターは「お前のせいで死んだ」とは言わずに、「ああ」と答え、ドーソンはそれでいいと頷く。
ドーソンがダンケルクへ行く理由を兵士に言って聞かせる言葉が泣かせる。
死ぬ間際のジョージが語った夢がかなえられたことはエンディングとしてふさわしかった。
トミーが新聞で目にした「我々は最後まで戦い続ける。フランスで、海で、大海原で戦い続ける。さらなる自信と力で空でも戦う。いかなる犠牲を払おうとも、我々の島を守る。海岸で、上陸地で、野原で、町で、丘で戦う。我々は決して降伏などしない。この島が征服されて、飢えに苦しんだとしても、海を超えて広がる大英帝国が、英国艦隊によって守られながら、戦い続ける。新世界の力が、古き世界を救い、解放するその時まで」というチャーチルの演説は正に名演説だと感じさせた。


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