猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

眠れる美女  【後編】

2005年06月02日 22時43分24秒 | ガーデニング
前回までのお話。
ガーデニング初心者のerimaは2つの美しいバラの苗を手に入れる。喜んだerimaは用意周到にそのバラ、ペルディータを植えつけるが、彼女は育たず...。思い余ったerimaはある大きな決断をする。

【後編】

ついにerimaは旅に出ました。片手に抱えているのは、そう、あのペルディータです。
目指すは彼女がerimaと初めて出会った、あの園芸店。
大きな決断を下すときがきたのです。

家を出て十数分。何里ばかりきたでしょう。ペルディータとの出会いの地に着きました。見回せば、たくさんの葉を伸ばしたバラの鉢たちが見えます。
そう、erimaの抱えているペルディータとはまったく様子が違います。erimaは悲しくなって、園芸店の人に事情を説明することにしました。しかし...返ってきたのはさらにerimaを悲しくさせる答えでした。
その人は、erimaの植え付けかたは間違っていないこと、しかしこの時期にきても何の変化もないのなら、この先希望は持てないこと、彼女が芽を出さない責任はこちらにもあるので、彼女と同種、または同じ価値のあるバラを持っていって欲しいということを言いました。
それを聞いてerimaは大そう悲しくなりましたが、その人の言うとおりにするしかありませんでした。しかし、代わりのペルディータの苗はすでにそこにはなく、仕方なくゴンザと2人、中でも1番美しいと思われた「ノーブルアントニー」の鉢を持ち帰りました。

しかし...考えれば考えるほど、やはりerimaはペルディータの面影を忘れることができませんでした。廃棄するために園芸店から持ち帰ったペルディータに視線をなげかけながら、
「こうなったら少々手荒なことをしてでも息を吹き返して欲しい」
そう思いつめるまでになっていたのです。

そこでerimaがまずしたことは、鉢から引っこ抜いた彼女を根っこごとざんぶり、水に漬けることでした。そして、それだけでは手ぬるいような気がしたerimaは、彼女に刺激を与えるために、本来切ってはいけない、太い1本の根っこを半分ほども切るという暴挙に出ました。
そして半分はヤケになって、再び彼女を鉢に収めたのです。

すると...
何ということでしょう!
驚いたことに数日後、ペルディータが息を吹き返しました!
あんなに縮こまっていた芽はみるみるうちに伸び、鮮やかでつややかな葉を吹きださせ、ついには大きな蕾までつけました。

そして。
彼女は大きく花ひらきました。
あの、夢にまで見た、アプリコットピンクの、大きな大きな美しい花です。
その香りはえもいわれず、その姿は、あの絵姿で見たものより、もっともっと、はるかに美しいものでした。
erimaはゴンザと手を取り合い、大きな喜びに包まれました。そばではちびくん、ちゃあこも見守っています。
もちろん彼女と一緒にやってきたアトール99も、そして...あの、ノーブルアントニーも。
こうしてその春、erimaとゴンザの家には、小さなバラ園が出来たのです...。   【おしまい】

...のはず。がっ!!!
今年は再び仮死状態のペルディータ。
去年だってあんなに大きな花をつけてくれたのに...。
あ~、どうしたらいいの~?
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眠れる美女  【前編】

2005年06月02日 21時59分54秒 | ガーデニング
昔々...。
あるところにerimaというバラ栽培初心者がおりました。
ズボラで乱暴者、何をやってもダメなerima。ですが、そんなerimaにもたったひとつだけ続けていることがありました。それは、何年か前、ゴンザという若者と出会ったのを機に始めたガーデニングと呼ばれるもの。毎日水をやり、美しい葉や花を眺めるその喜び。それは怠け者のerimaをも虜にしたからです。
「この子は馬鹿ではなかろうか?」
昔からそう心配していたerimaの母も、erimaが一生懸命草花を育てているという噂を耳にして大いに喜びました。そして、erimaに2つのバラを与えることを思いついたのです。

そのバラたちは1つを「アトール99」といい、もう1つを「ペルディータ」といいました。
アトール99はクライミングローズといって、蔓を大きく伸ばすもの。
ペルディータのほうは、四季咲き・強香・強健種と、まるで物語に登場する理想のお姫様のようなバラです。
本で一生懸命勉強して2つのバラを育てることにしたerimaは、中でもペルディータの絵姿(写真)を見ては、日に日に彼女への憧れを強くしていきました。
アプリコットピンクの、大輪の彼女の姿を見たいがために、入念に植え付けの準備を整え、鉢に収める。あとは彼女が成長するまで、せっせと世話を焼くだけでした。
しかし...。
アトール99が大きく芽を伸ばし、他所のバラが元気に葉を伸ばしても、ペルディータだけは押し黙ったまま。迎え入れたときから見え隠れしていた小さく可愛い芽も、少しも動く様子がありません。心配になったerimaは、ついに彼女を鉢から出してみることにしました。
すると...何ということでしょう!
ペルディータは育たないどころか、ただ土に収まっていただけ。根も伸びず、水を吸い上げることもなく、ただ収まっていただけです。それが証拠に、彼女からは大きな根っこがたった1本ぶらりと伸びているだけで、根本を引っぱればすっぽりと、簡単に土から抜けたのです。

「彼女は死んでしまった」
erimaは悲嘆にくれました。
しかし、目をつぶれば絵姿で見た彼女の姿が思い浮かび、どうしても諦めることができません。
かといって、するべきことはすべてしましたし、本を読む以外にバラのことを知る術をもたないerimaに、これ以上のことができるとも思えません。

そこで...。
考えあぐねたerimaは、ついにとある行動に出たのです.....!     【続く】
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