猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

プロの仕事

2005年06月16日 04時01分31秒 | ぶ~すか言ってやる!
もう一昨日のことになるが、月曜日はA社の撮影だった。午後、そのA社製造の機器を使用しているカットを撮るため、スタジオではなく、直接A社に向かう。
我々の仕事では、現場に向かう際、それが海外やらロケバス移動やらでない限り、大抵は所属事務所から<住所・電話番号・名前>だけを聞き、手持ちの地図をたよりに単身で移動するのだが、今回は事前に詳細を送って貰っていたので非常に助かり、迷子になることもなく無事に現地に到着した。しかし...。ここからが大変だった。

スタジオではなく、一般企業の敷地内に入るには、それ相応の手続きが必要らしく、守衛所では色々細かく書かされた。やっとそこを通過できたと思えば、今度は受付のお姉さんに、あらためて名前と用件を伝え、担当者を呼んでもらう番だ。しかし肝心の担当者はというと、社内のどこに行ったかわからないとかで、何度も「もう少々お待ち下さい」と言われる。散々待たされた挙句、目的地にたどり着けば、今度は誰一人として、この企画の全体像をつかんでいない。着替えをしようとすれば、「更衣室を使うための許可をとりますからお待ちください」と待たされ、「やれ、それはあそこの部署に聞け」「いや、それはこっちの部署だ」と、なにかにつけて、1つのことをたらいまわし。手続きなしでは何ひとつ、進んでいかない。
しかし。それは会社という組織をつつがなく運営してゆくためのルールだから、仕方のない事。
それぐらいは私にも理解できた。

理解出来ないのは...あとからやって来たカメラマンのことだった。(推定年齢50代後半)

第一声から、「いや~、助手がいないから荷物が大変で!」と言い訳をし始めた彼の言動・行動は、始めから終わりまで周囲に不快感を与えるもので、危うく私は、もう少しでブチ切れるところだった。そのカメラマンは、こういった撮影が初めてだという、A社の年若き担当者にいきなり、
「僕はここの仕事をずっとやってきたのに、最近干されちゃって」などと言い出したが、それはまだ序の口で、その後も次々と不快な言動を繰り返した。
担当者が素人なのをいいことに、威圧的な態度で「あとで文句言われちゃかなわないからちゃんとどうするか決めてよっ!」と迫ったり、かと思うとヘラヘラへつらったり...。
肝心の自分はといえば、何かにつけ「助手がいないから」「昔は助手を使えたんだけど」「ここはスタジオじゃないから」という言い訳を繰り返し、新しい知識や技術を学んでいないのが丸出し。
私は撮られる立場専門であるが、毎回違う人間に撮られているからこそ、近年の撮影機器がどれだけのことを出来るのか、照明や「間」のとりかたがいかに作品を変えるか、ある程度知っている。
第一、プロは言い訳などしないし、素人を馬鹿にしたりしないものであるはずなのだ。
自分の知識と持てる技術のベストを尽くし、素人には不可能なことを、素人に代わって限りなく可能に近づける。そしてそこから評価や尊敬を勝ち取る。それが、<プロ>のはずだから。
しかし...。結局、そのカメラマンがプロとしての才能を発揮することはなかった。
いや。才能がないことを知っているからこその、言い訳と不遜な態度だったのだろう。
最後まで、彼はそうだった。

仕事を終え、私が帰り仕度をしていると、いきなり(駅まで)「送っていけないからね!」と
言い放ってきた。
もともとそんなつもりなど毛頭なかった私は、こみあげる怒りをぐっとこらえ、できるだけ静かに
穏やかに、冷たく彼の目を見据え、「わかってますけど?」と応えた。
その後もブツブツ、彼が口の中で言い訳をつぶやいていたところを見ると、私の怒りは彼に充分伝わっていたのだろう。しかし、彼がその態度を変えることは、ついになかった。

しかし、そんなことはどうでもいい。
「プロ」という名をかたっている以上、プロはプロなりの仕事をするべきで、
しかし、その前に「人として」きちんとしなければ、プロだろうが、素人だろうが、
誰の尊敬も勝ち得ることは出来ない。
言葉を駆使し、知識を増やし、笑顔で誰かを幸せにする。
そんな「人間のプロ」こそ、人々の尊敬に値するのだから。

そして...
「人間のプロ」が、1番難しい仕事であることは、間違いない。
コメント (6)
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