猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

興味ないかもしれないけれど.....   - ゴンザとの出会い -

2005年12月01日 02時51分16秒 | 出会い

実は..... 私はゴンザと出会うずっと前、ゴンザの写真を見たことがある。

写真の中、十代の、まだあどけなさを残す少年は、
その写真が撮影された当時ライブハウスで働いており、
無理に大人びた感じを出そうとしているのが、なんだか微笑ましいようだった。

また、その、なんだか困ったような表情と綺麗な目が、やけに印象に残り、
そのせいで私は今になっても「あの写真はゴンザだった」と、
たった1枚の写真を覚えているのである。

それが運命というのかは知らないけれど、
確かにその時から、私はゴンザと出会うよう、
見えない力で引っ張られていたのだと思う。

その写真を見たのは、私がとても仲良くしていた、年上の友人の家だった。

彼女とは同じモデル事務所で知り合い、彼女が事務所を辞めたのちも、
互いの家を行き来するような間柄だった。

そして.....。
ある日、彼女の家でアルバムをめくっていた時、私はとある写真に出会う。

それが、その写真に写った少年こそがゴンザだった。

アルバムの持ち主である友人は、若い頃、ある店を任せられていて、
この写真に写っているのは当時の従業員なのだと語った。

私は、少年の目がとても可愛いと思い、
確かそのことを口に出して言ったように思う。

まさか、そののちその目と出会い、結婚するとは夢にも思わずに.....。

数年後。
アルバムの主はある会社に就職する。

私はといえば、彼女との親交を深めつつ、
のらりくらりとモデルを続けていたのだが、
あるとき、彼女に繁忙期の手伝いを頼まれたことから、
仕事のベースと遊びのベースが横浜に移る。

そして。
そこからは新しい交友関係、異性関係も次々生まれ、
次第に私は調子に乗りまくっていった。

若いときと違い、自分の扱い方を自分でもわかってきていたし、
他人との関わり方も良い感じ。

毎日仕事で忙しく、一人で夜遊びも出来、デートする相手もたくさんいた。

そんな.....まっすぐ家に帰ることなどまずない毎日の中で、
私は突然ゴンザと出会ったのだった。

違う「彼」とのデートの最中に。

その、地下にある暗いバーは、中華街の裏手。

山下公園...大桟橋の汽笛が聞こえる、路地の中ほどにあった。

周囲には、古い建物と駐車場、営業をやめたホテルが廃墟となって建っており、
一見すると見つけにくい場所。

知る人ぞ知る大人の遊び場で、私はゴンザと出会ったのだ。

暗く狭い、地下へ降りる階段。
下から漂ってくる香の匂い。

ドアを開けると目に飛び込んでくる、
少し高めのカウンターにオーナーの趣味で飾られた花。

初めてそこを訪れた時から、私はその場所が大好きになった。

そしてその日.....その店のカウンター越しに、私は未来の夫と出会う。

そう、私をそこへ連れていってくれた「彼」が、
私とゴンザを出会わせてくれたわけだが.....

この「彼」は、後々、
私がゴンザを意識するきっかけを作る役目までも負うこととなる。

 「彼」は、私をゴンザに紹介した。

私はその時まだ、あの写真の少年が、今自分の目の前にいる、
長めの黒髪を一つにくくった、スペイン人のような男だとは気付かずに、
無邪気にグラスを傾けていた。

ただ、その妖しい黒髪の男の目が、とても素敵だなと思いながら。

カウンターの向こうで、器用に手品を見せてくれながら、挑戦的に見る目つき。

その黒い髪とは対照的な、少し薄めの茶色をした瞳。

「この子、自分の見せ方を知っているんだな」
その時、そう思ったことを、私は今でもはっきりと覚えている。

しかしその後。
私はその店に一人で遊びに行くようになったものの、
まだしばらくは調子に乗った日々を送り、
ゴンザはその店のバーテンダーの一人に過ぎなかった。

それが時折、飲みに行った先で顔を合わせるようになり、友人へと発展し、
そこでようやく私はあの写真の少年がゴンザだと気付く。

そしてまさにそんな時、最初に私をゴンザと出会わせてくれた「彼」が、
二人の関係に変化をもたらすのだ。

それは突然の濡れ衣から始まった。

その時.....ゴンザはすでに新しい店に移っていたのだが、
そこへ一緒に行った「彼」が、突然私とゴンザに特別な関係があると、
店を出てから言い出した。

私はゴンザとはただの友達だと、
たくさんいる男友達の一人だと、説明したのだが、
「彼」は絶対に納得しなかった。

別に私は「彼」に義理立てするような理由もなかったけれど、
濡れ衣を着せられるのは嫌だったから、そう言った。

しかし、「彼」は納得することなく、それきり私を誘わなくなった。

そして。
あの日。

あの大晦日、私は、ゴンザと初めて出会ったバーで、
いつものように夜を過ごしていた。

その頃には、私はその店の常連になっていたし、
オーナーにもとても可愛がってもらっていたから。

カウントダウンも終わり、狂乱の時間が過ぎて、
静かに飲んでいるとき、ゴンザが現れた。

その店の元従業員であるゴンザは、新年の挨拶をしにきたのだったが、
オーナーに、「お前、車で来たんだったら、帰りにerimaちゃんを送っていけ」
と命ぜられ、快く私を送り届けてくれることとなった。

新しい年の陽が、今しも昇ろうとしているその時に。

そして.....

さて。
その帰り道、何があったかは、皆さんの想像にお任せしよう。

ただ、あの年の日の出はことのほか美しく、
二人で車内から見たその光景は一生忘れないであろうと。

それと、私はゴンザの気持ちになど、
その時までこれっぽっちも気付いていなかったから、とても驚いた、とだけ。

さらに言えば、加えて、
そのゴンザと夫婦になるなど夢にも思っていなかったから、今でも驚いていると(笑)

あの大晦日から、もう6年近くの月日が流れ、
出会ったころにはギラギラの色気を漂わせていたゴンザも私も、
すっかり心身ともに丸くなった。

アルバムの主とはほとんど会うこともなくなり、
私とゴンザを出会わせてくれた「彼」は、
私たちの結婚を知る由もないだろうけれど......
(いや、横浜は狭いからとっくに知ってるかな)

もし、私があの写真と出会ってなかったら、
私とゴンザは出会ってなかったような気がする。

「彼」が濡れ衣を着せなければ、こんな風になっていなかった気がする。

そう。
出会ったころとは、体型も髪型も、
それから性格もすっかり変わってしまったゴンザの......

今でも変わることのない、綺麗な目を見ながら、しばしば私はそう思うのだ。