ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

総論で反対する人はいないだろうが

2022-08-28 09:11:39 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「同じ?」8月22日
 『外国籍教員 続く差別待遇』という見出しの記事が掲載されました。『公立の小中学校、高校では、外国籍の教員は管理職になれず、日本人と異なる待遇を強いられている』ことを、『「多文化共生」理念と逆行』しているという問題意識で報じる記事です。
 記事の中に、『外国人や障害者、性的少数者など多様な人で地域社会は成り立っています。公立学校はその縮図であり、いろいろな教員がいて当たり前』という記述がありました。私も、このブログで、教員の男女比の問題、特に女性管理職が少ないことなどについて取り上げ、社会と同じであるべきという主張をしてきました。ですから、「公立学校はその縮図」という考え方には基本的に賛成です。
 ただ一方で、社会の縮図というのであれば、誰でも教員として採用されるべきかというと、ちょっと待てよと思ってしまうのです。例えば、前科のある人です。前科があっても、その罪を悔い改め、定められた期間服役することで、罪を償った人は、社会の一員として差別を受けるべきではありません。
 では、前科のある人も教員として採用されるという制度を人々は支持するでしょうか。理屈はともかく、反対だという人は相当程度いるような気がします。前科のある人の人権保護は人権課題にも挙げられているのに。
 また、過失傷害や横領など犯罪の種類によっては認めてもよいという人も、小児に対する性犯罪で逮捕された者の採用には断固反対するでしょう。犯罪の種類で受け入れたり拒絶したりすることは、差別にはならないのでしょうか。
 話を変えます。障害のある方も少数ですが、教壇に立つようになっています。私は、このことについてもこのブログで取り上げ、視覚障害者が教員になった場合、周囲の教員の負担は増える、その分を補うためには、人員や施設設備などへの予算措置が必要になるが、そのことについて納税者の理解を求めることが必要であり、それは教委の責任だと述べてきました。
 教委が納税者への説明を怠ったまま、障害者を教員として採用し、そのことに要する予算計上額を知った納税者が反対するというような事態は避けなければならないからです。では、眼球以外ほとんど動かすことができない重度の障碍者を教委として採用することについてはどうでしょうか。国会議員として職責を果たされている人がいるのですから、何らかの補助手段を講じれば、教員の職を務めることはできると思われます。そうした方が教壇に立つことが子供の与えるメリットもあるはずです。しかし、予算措置はかなりの額が想定されます。人々の賛否はどうでしょうか。
 学校は社会の縮図という考え方には賛成でも、個々のケースでは、意見が分かれることもあるはずです。一度、徹底した議論が必要な気がします。

 

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