ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

目的は反省を促すことだったはずなのに

2022-08-13 08:11:06 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「目的は何?」8月7日
 放送タレント松尾貴史氏が、『マナー違反 一旦恥をかかせるバーって』という表題でコラムを書かれていました。その中で松尾氏は、あるバーでの経験を紹介なさっています。『私の連れが、カウンターの上に小さなバッグを置いた。私もそれは行儀が悪いな、と思い注意をしようと思った刹那、「バッグ、下に置いて!」と高圧的な怒声が飛んだ(略)店中の客に聞こえるように叱るのはどうなのだろう』。
 その後松尾氏はそのバーには行かなくなったということです。また別のバーでは、『私の知人が、アポロキャップをかぶって入店したら、即座にジェスチャー付きで「シャッポ、シャッポ!」と叱責された』という話を紹介し、『それとなく「お荷物、お預かりいたします」「後ろの帽子かけをご利用ください」という案内では済まされず、一旦恥をかかせるというスタイルは、いかがなものだろうか』と述べていらっしゃいました。
 松尾氏は接客業に携わる者のプライドの話として書かれていますが、これらのエピソードは、教員もよく考えるべき内容を含んでいると思います。接客業のことは全く分からなにのでここでは触れませんが、教員の中にも、子供に恥をかかせるような叱責の仕方を好む者がいます。
 また、そうした叱責の仕方をする心理として、教員のプライド、自分の指示に従わない、自分が決めたルールを守らない子供に対して、教員として舐められた、軽視された、無視された、という感情が沸き起こる、つまりプライドが傷つけられたから、そのことについて罰を与えなければ気が済まない、自分が傷ついたのと同じかそれ以上の傷を負わせなければおさまらないということです。
 バッグをカウンターに置いた客に怒声を浴びせるマスターの心の中を覗けば、「お客様は神様だ?客だからって何でも許されて、こちらは我慢してヘラヘラ笑っているというのか。冗談じゃない。同じ人間じゃないか。いい気になるな」というような感じでしょうか。
 同じく、学級の全員の子供の前で、「また、連絡帳を忘れたのか。もう何回目だか分かっているか。他にこんなに何回も同じ忘れ物を繰り返す者がいるか?いるなら言ってみろ。今まで何回注意されたか覚えているか。お前だけ特別頭が悪いのか」と怒鳴る教員の心の中は、「お前は担任である私の言うことをちゃんと聞いているのか。それともバカにしているのか。そうなら許さんぞ」というような怒りが渦巻いているのでしょう。
 こうした怒りの感情に起因し、自分が傷つけられたと思い込み、その復讐を意図する心の動きに支配された「叱責」には、相手の成長や向上を願う教育者としての思いはなく、それは「叱責」を受ける側にも伝わり、反省よりも反発を生むだけなのです。
 我が身を振り返ると、恥ずかしいことですが、こんな「叱責」を装った暴発が度々あったことは否定できません。猛省です。

 

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