ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

最近の教員は熱意がない?

2022-08-26 08:20:57 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「元凶」8月21日
 『指導者の質確保が課題』という見出しの記事が掲載されました。教育専門家原田隆史氏に、『(部活が)地域移行されることによる課題などを聞いた』記事です。正直、がっかりするとともに、怒りが沸き上がってくる内容でした。
 特に問題だと感じたのは、原田氏の次の言葉でした。
 『部活を通じて、生徒指導で人間力を高めるためにやっている教師と、そこまでの熱意はない教師とにはっきり分かれてしまった。昔は部活で生徒指導を頑張ると教員の誇りや、やりがいといったところにつながっていたと思う』という言葉です。
 原田氏のような価値観が、部活問題を深刻化させ、教員の疲弊化を招く元凶だと言えます。原田氏の説に従えば、部活に消極的で、部活が教員の過重負担につながっているという主張をする教員は、熱意がなく、生徒指導に誇りもやりがいも感じないダメな教員だということになってしまいます。
 実際、地域住民や保護者の中には、原田氏と同じ価値観で教員を評価する者が少なからずいます。そうした人々からの無言の圧力が、教員たちが部活改革の声を上げる際の障害となってきたのです。
 しかし、彼らは所全外部の人間です。校長や教委が防波堤となることもできます。皆さんはそうおっしゃるけれども、教員の仕事は増えるばかりで皆さんの子供時代の教員とは違うのです、と反論することも可能です。でも、元教員である原田氏は、内部の人間です。
 原田氏が、部活改革を支持する教員は熱意や誇りに欠けるというニュアンスの発言をすれば、教員側にも自分たちと同じことを言っている人がいるじゃないか、と部活墨守派の保護者や市民に力を与えてしまい、結果として部活改革を後退させたり、骨抜きにさせたりすることに力を貸してしまうのです。
  しかも、原氏が言う『荒れている学校では部活指導が治安や秩序をつくるのに有効だった』という指摘は、私がこのブログで再三指摘し批判してきた「攻める部活」そのものであり、部活という手段で生徒の時間とエネルギーを消耗させ、問題行動を抑えるという手法で、古い囚人監護に通じる非教育的な方法なのです。
 また、『現在の若い教師は、自分の私生活を犠牲にしてまでも、子どもたちに時間をかけるという考え方をあまりとらない』という指摘も、世代論で過去の間違い、教員の聖職者意識を悪用しただ働きを強制するシステム、について不問に付す態度と言わざるを得ません。
 以前も指摘した、「部活は日本が世界に誇るシステム」と並び、「部活を嫌がるのはダメな教員」は、部活改革を阻む2大迷論なのです。

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