ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

新聞ファンとして

2022-08-06 08:26:21 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「関係は、どっち?」7月29日
 『新聞読むほど好成績』という見出しの記事が掲載されました。全国学力テストの結果についての分析記事です。その中に『児童・生徒の新聞を読む頻度と各教科の平均正答率を分析したところ、中学校国語を除いて「ほぼ毎日」が最も高く、頻度が下がるにつれて正答率が低くなる傾向があった』という記述がありました。
 その後、具体的な数値が挙げられ、頻度と正答率が連動していることが詳しく述べられています。私が引っ掛かったのは、「新聞読むほど好成績」という見出しです。AほどBという日本語表記は、AとBの間に因果関係がある場合に多く使われます。しかし、新聞を読む頻度と正答率の関係は、因果関係とは言い切れません。相関関係にあるというのが正確だと思います。
 私は多くの人に新聞を読むメリットに気付いてほしいという思いもあって、新聞記事から教育問題を考えるという趣旨の「断章取義」というタイトルの本を出版しました。ですから、個人的には、新聞を読むから正答率が高くなるという解釈に共感します。
 しかし、正答率が高い=あるレベル以上の知識や理解力があるからこそ、新聞を読もうという意欲が湧く、という図式も十分に考えられます。また、現在では、新聞を定期購読していない家庭が増えており、そうした状況下でも新聞を定期購読している家庭は保護者の知的レベルが高く、そのことが子供の知的能力の高さ=正答率に影響を及ぼしているという解釈も成り立ちます。
  新聞社が、少しでも多くの読者を獲得したいと考えるのは当然ですし、そのために新聞購読のメリットを強調したいと考えるのも理解できますが、今回の見出しは少し勇み足という気がします。新聞を子供の知的能力向上に生かすという試みは大切ですし、後押しをしたいと考えますが、贔屓の引き倒しにならないよう、注意してほしいものです。新聞の教育効果が大なることの熱烈な支持者として。

 

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