ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

悪知恵合戦

2022-08-22 07:54:21 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「宿題は?内申点は?」8月18日
 東洋大INIAD学部長坂村健氏が、『AIにできないこと』という表題でコラムを書かれていました。その中で坂村氏は、ミッドジャーニーという作画AIを取り上げていらっしゃいました。ミッドジャーニーは、『キーワードや情景描写の文章などのテキストの「お題」を与えると、それに沿った絵を描いてくれる(略)生成された「作品」は人間のプロが描いたと言っても見分けがつかない美麗さだ』なのだそうです。
 坂村氏はここから人とAIのできることできないことという議論を進めていくのですが、私はもっと低レベルのことが気になりました。それはこうしたAIが広く普及したとき、学校の図画工作・美術の授業はどうなっていくのかということです。例えば、長期休業日の課題として風景画を描いてくることを指示したとして、子供が自分で描いた作品とミッドジャーニーを使った作品との見分けがつかなければ、どのように評価するのか、ということです。
 あるいは作品展です。ある美術教員がミッドジャーニーを使って子供に作品を作らせ、それを展覧会等に出品させ、入賞させるということをするかもしれません。多くの教え子に入選する絵画力を育てた名教員としての名声を得るために。あるいは、学校ぐるみで、美術教育に熱心な学校という特色づくりのために。全国規模の作品展での入選歴は受験の際の内申書等に特記事項として記載することができます。子供にもメリットがあり、保護者などからの苦情もないはずです。
  さらに発想を飛躍させれば、絵画以外の美術作品、彫刻や版画、粘土造形など、いくらでもAI活用による作品作りが可能になってきそうですし、美術以外では、書道作品、あるいは読書感想文などの作文においても、コンクール出品を含め同じことが起きても不思議ではありません。
 各学校や教委は、今から対策を考えておく必要があります。もちろん、AIも道具や学習用具の一つと割り切り、積極的に活用を推進するという選択肢もありだとは思いますが。

 

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