ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

窓口職員の悲哀

2022-08-15 08:10:43 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「コロナ禍の病院」8月10日
 『「教員ありき」指導続く 文化系 地域移行を提言』という見出しの記事が掲載されました。文化庁有識者会議が、中学校の文化系部活を地域移行させるべきという提言をまとめたことについて報じる記事です。
  記事では、練習時間が長く、教員の負担が大きい吹奏楽部についての問題が中心に取り上げられていました。その中に、『親からのプレッシャーも強い学校現場では「担い手がいないなら部活をなくそう」という発想にならない。結局やりたくない先生も関わらざるを得なくなるのではないか』という記述がありました。
 私はこのブログで何回も部活のことを取り上げ、地域移行できない部活はなくす、という決断こそ重要だと主張してきました。この記述を目にし、改めて自分の考えが間違っていないことを確認しました。
 そう思いながら、最近似た話を聞いたことがあるぞ、と気付きました。コロナ禍、殺到する患者やその家族への対応に苦しむ病院長の話でした。発熱などコロナ疑いの人が病院に押しかける、病院も病症に余裕はないし、医師や看護師などのスタッフの中にも感染者や濃厚接触者がいて、人手が足りない、おまけにPCR検査薬も治療薬も届かない、そうした状況下、診療を断らざるを得ないケースが頻発します。
 そこで一部の患者やその家族ではありますが、「なんで診ないんだ」「それでも医者か」「職務怠慢で訴えてやるからな」「人殺し」などの暴言を浴びせられるのだそうです。長引くコロナ禍で、心身共に疲弊しているスタッフは、こうした暴言に遭うと、心が傷つき、ポキッと折れてしまうのだそうです。
 今のコロナ禍の病院の苦境は、政府の失政のしわ寄せがきているものと考えます。自らの責任を放棄し、現場に対応を丸投げし、国民からの批判も現場で受け止めさせて平然とする、コロナ禍の政府の姿勢は、部活の地域移行にも共通します。
  指導者の確保、そのための予算の捻出といった最も肝心で大変なところは、地域の実情に合わせた工夫で、と言うのですから、現場はたまったものではありません。私も教委にいましたから、保護者の突き上げ、それは地方議員も巻き込み政治的な圧力となり、首長から「何とかしろ」と迫られるという図式をくっきりと浮かべることができます。私も部活のことで、有力な与党会派の議員の自宅にまで説明に行き、頭を下げさせられたことがありました。そして、結局、不本意ながらも校長に圧力をかけ、顧問教員を動かすという「悪事」に手を染めたのです。
 また、こうしたことを繰り返させてはなりません。

 

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