「理屈が分からない」4月26日
『教員免許、国家資格に』という見出しの記事が開催されました。記事によると、『「教員制度改革」を検討している自民党の教育再生実行本部は、学校の教員免許の「国家資格化」を提言する』とのことです。教員の資質向上と待遇改善が狙いだということですが、国家資格にするとどうして資質が向上するのか、待遇改善につながるのか、その筋道がよく分かりません。
具体的には、『大学での課程を修了後、共通の国家試験を受験。さらに1~2年程度の学校でのインターンを経て免許を与える』という仕組みだそうです。共通の国家試験というのは、筆記テストだと思われます。そうであれば、筆記試験用の「傾向と対策」が各大学で行われるようになることが予想されます。それが、教員の授業力、指導力の向上に結びつくとは考えられません。単に役に立たない教育理論や教育法規などの知識を身に着けるだけで、いわゆる頭でっかちの教員を増やすだけでしょう。
インターン制度は、実際に子供と接し授業をするということであれば、資質向上に期する部分はあると思いますが、それは国家資格と直接関係ありません。国家資格としなくても、従来の制度にその部分を付加すれば済むことです。
また、インターン制度の導入については、学校教育への負の影響も十分に検討しておくことが必要です。有資格者の教員と同じように授業や生活指導、学級経営を担わせるのでなければ、本当の意味での資質向上にはつながりませんし、未熟な仮免教員が大挙して学校にいるという状況は、教員の負担が増え、子供への指導が不十分になるというマイナスをどう克服するか、大きな課題が残ります。
蛇足ですが、筑波大付属や学芸大付属のような教員養成系大学の付属小中学校が、毎年大量の教育実習生を受け入れることが出来るのは、「できの良い子供」ばかり集まっているからです。一般の小中学校では不可能だからこそ、付属がつくられているのです。
さらに、国家資格化と待遇改善との関係ですが、これも理解不能です。待遇改善が何を指すのか分かりませんが、給与についてならば、単に予算措置をすればよいだけのことです。田中角栄氏が、行ったように。
もしかして、「難しい国家試験を合格した」ということでなければ給与改善に対して国民が納得しないという思惑があるのだとすれば、的はずれだといわざるを得ません。医師や弁護士について、その好待遇を国民が認めているのは、その希少性にあります。試験が難しくて、常人では合格できないという認識があるからです。残念ながら、教員養成学部の「偏差値」は、法学部や医学部に比べて、格段に低いのが現状です。ある程度の知的能力があれば、入学可能です。広き門なのです。実際問題として、教員免許取得者を現行の1/10に減らすわけにはいかないのですから、狭き門を演出しようがないわけです。
教員免許の国家資格化について、今の段階では、賛否の述べようがないというのが実情です。詳しい制度設計の前に、まず、どうして国家資格化が資質向上に資するのか、待遇改善に必要なのか、筋道立てて説明してほしいものです。