ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

継承すべきこと

2024-06-16 08:19:04 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「もっと他に」6月8日
 『「○○電力福島第1原発」半数誤り 実体験ない高校生 記憶継承に課題』という見出しの記事が掲載されました。『高校生の半数が「○○電力福島第1原発」を「東北電力」「福島電力」などと誤解している(略)記憶の継承の問題が深刻化している現状が浮かんだ』ことを報じる記事です。
 記事では、『「東京電力」と正答したのは52.4%にとどまり~』『電気の消費地について、7択で正答の「作られた電気は、すべて首都圏などに送られていた」を選んだのは30.1%』『「原発事故が発生したメカニズム」では、「原子炉が冷却できなくなり、燃料が溶け落ちた」と正答したのは37.9%』などの実態が紹介されていました。
 確かに、記憶の継承がうまく進んでいないと思われます。しかし、この調査そのものに違和感を覚えます。それは、設問内容についてです。私は、もっと大切な、継承していかなければならない記憶があると考えます。
 まず、原発事故は、専門家や政治家が絶対に安全であると想定していた基準を超えて起こった、つまりどのような対策をしても起きる可能性がある災害であるという事実です。それは、現在でも変わっていません。新たな基準をクリアしていさえすれば安全だというものではないことを意味しています。
 さらに、災害の教訓として、原発を減らし、なくしていくという国民的合意があったという事実です。この教訓こそ、国民が胸に刻み込むべきものです。私個人は原発回帰に反対ですが、諸般の状況変化により回帰やむなしという人がいても構いません。ただ、それでもかつてこうした合意があったことの重みを踏まえて議論がなされるべきなのではないでしょうか。
 また、原発事故によって被災したり、非難したりした人に対して、放射能がうつるといった非科学的な偏見や、補償金をたくさん手にして儲かったといった事実に基づかない非難中傷があったことも、決して忘れてはならないこと、記憶を継承していくべきことだと考えます。これらは、私たち自身が加害者になったという負の歴史であり、同じことを繰り返さないためにも必要な記憶だと考えます。
 今後、全国で記憶継承の取り組みが改善されていく場合、その主な場は学校になるはずです。その際、私が述べてきたようなことにも十分な留意をしてほしいと思います。

 

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