ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

忠誠心を競い合う

2022-08-04 08:05:50 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「功名争い」7月28日
 『学校に半旗掲揚 帯広市教委要請 安倍氏の葬儀日』という見出しの記事が掲載されました。『帯広市教育委員会が、参院選の街頭演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の葬儀があった今月12日、弔意を示すため市内の全小中学校に国旗の半旗掲揚を要請していた』ことについて報じる記事です。
 記事によると、『市や市教委によると(略)市役所内で協議をした。市本庁舎に半旗を掲げ、支所や市教委などにも同様の措置を求めることを決めた』とあります。つまり、教委独自の判断ではなく、市、つまり市長部局と市教委が話し合って決めたということです。
 どこの自治体でもそうですが、教委と首長部局とでは、圧倒的に教委の力が弱いのは常識です。後者は予算を握り、首長と直結しているのに対し、前者は職員のほとんどが後者から一時的に腰掛で異動してきているだけなのですから。
 要するに、首長の一存で決定がなされる構造だということです。首長は政治家です。そして、首長に影響を与えるのは、幹部職員ではなく議員、それも与党の議員です。さらに言うと、全国の自治体では、自民党系の議員が議会の過半数を占めています。自民党系の議員たちは、党本部で大きな力をもっている安倍派の意向を忖度します。
 安倍派の先生方は、安倍氏の国葬のときには小中学校でも半旗掲揚を望んでいるはずだ→でも、野党やマスコミが弔意の強制だと騒ぐことで国葬について議論が沸き起こることは望んでいない→自民党が動いたというのではなく自治体が主体的に判断したというのであれば、民意を代表する首長の判断だから文句は出にくい→我々が首長に内々で話を付けて半旗掲揚を実現すれば、うちの支部の「実績」になり、本部の覚えもよくなるはずだ。
 多くの自民党系の地方議員は、上記のように考えると思われます。その結果、安倍氏の国葬には、全国の大半の学校で半旗が掲揚され、その事実をもって「安倍氏の業績は、国民から広く評価されている」ということを既成事実化する、そんな光景が現実のものになりそうです。
 これも、地教行法が改正され、教育行政の権限が首長に集中するようになった「成果」の一つです。こうしたことがよくないと考えるのであれば、もう一度地方教育行政を教委が主導する形に戻すことが必要になると思います。

 

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