「民に学べ」2月25日
米下院監視委の公聴会でトヨタ自動車の豊田社長が証言したことについて、記事と解説が掲載されました。その中に『欠陥隠し疑惑の焦点である、顧客からの急加速に関する苦情を認識した時期について「社長就任前で正確には分からない」と答弁。議会側が問題視してきたトップの問題解決能力やリーダーシップを疑わせるもので、米消費者の不安を広げさせかねない』という一節がありました。
トヨタ自動車の一連の対応については、危機意識の欠如、後手後手に回る手際の悪さが報じられてきましたが、トップの豊田氏も、彼を支えるスタッフも、十分な危機対応力をもっていなかったようです。トヨタ自動車といえば、我が国最大の民間企業です。いわば、「民」の代表です。そのトヨタ自動車にしてこの醜態だったのです。
別に私は、トヨタ自動車を非難しようというつもりはありません。ただ、ここ数年、「官」に対して行われる批判の多くが「民に学べ」という調子のものだったことを思いだし、複雑な思いにかられたのです。
学校も同様でした。管理職のコスト感覚のなさが指摘され、民間企業の経営者を講師とした研修会が盛んに行われました。民間人校長制の導入、民間企業経験者の積極的採用なども、「民に学べ」という思想の下に進められました。いじめなど不祥事の後に行われる記者会見では、校長や教委の危機対応力の乏しさが指摘され、ここでも「民に学べ」ということが言われました。しかし、実際には、「民」の代表であるトヨタ自動車にしてもこの程度だったのです。
また、不思議なのは、トヨタ自動車の体質が、あくまでも一企業の問題として、「民」全体の体質、例えば、利益最優先主義、拡大主義などへの批判とはなっていないことです。もちろん、私も、これはあくまでもトヨタ自動車という一企業の問題だと考えています。しかし、ある教員や学校、教委が問題を起こすと、それはその教員や学校、教委に限ったことではなく、すべての教員、すべての学校、すべての教委に共通する体質の問題として非難する論調が主流を占めていたこととの違いに納得がいかないのです。もちろん、教育界にも問題はたくさんあります。しかし、それ以上に、大部分の教員や学校、教委はまじめにきちんと責任を果たしているのに。
要するに、当たり前のことですが、「官」にも「民」にも、よいところも悪いところもあるということなのです。過剰な「民尊官卑」は、改めたいものです。
米下院監視委の公聴会でトヨタ自動車の豊田社長が証言したことについて、記事と解説が掲載されました。その中に『欠陥隠し疑惑の焦点である、顧客からの急加速に関する苦情を認識した時期について「社長就任前で正確には分からない」と答弁。議会側が問題視してきたトップの問題解決能力やリーダーシップを疑わせるもので、米消費者の不安を広げさせかねない』という一節がありました。
トヨタ自動車の一連の対応については、危機意識の欠如、後手後手に回る手際の悪さが報じられてきましたが、トップの豊田氏も、彼を支えるスタッフも、十分な危機対応力をもっていなかったようです。トヨタ自動車といえば、我が国最大の民間企業です。いわば、「民」の代表です。そのトヨタ自動車にしてこの醜態だったのです。
別に私は、トヨタ自動車を非難しようというつもりはありません。ただ、ここ数年、「官」に対して行われる批判の多くが「民に学べ」という調子のものだったことを思いだし、複雑な思いにかられたのです。
学校も同様でした。管理職のコスト感覚のなさが指摘され、民間企業の経営者を講師とした研修会が盛んに行われました。民間人校長制の導入、民間企業経験者の積極的採用なども、「民に学べ」という思想の下に進められました。いじめなど不祥事の後に行われる記者会見では、校長や教委の危機対応力の乏しさが指摘され、ここでも「民に学べ」ということが言われました。しかし、実際には、「民」の代表であるトヨタ自動車にしてもこの程度だったのです。
また、不思議なのは、トヨタ自動車の体質が、あくまでも一企業の問題として、「民」全体の体質、例えば、利益最優先主義、拡大主義などへの批判とはなっていないことです。もちろん、私も、これはあくまでもトヨタ自動車という一企業の問題だと考えています。しかし、ある教員や学校、教委が問題を起こすと、それはその教員や学校、教委に限ったことではなく、すべての教員、すべての学校、すべての教委に共通する体質の問題として非難する論調が主流を占めていたこととの違いに納得がいかないのです。もちろん、教育界にも問題はたくさんあります。しかし、それ以上に、大部分の教員や学校、教委はまじめにきちんと責任を果たしているのに。
要するに、当たり前のことですが、「官」にも「民」にも、よいところも悪いところもあるということなのです。過剰な「民尊官卑」は、改めたいものです。