「真っ当な意見」7月6日
国学院大准教授町田樹氏が、『全中廃止にみる地殻変動』という表題でコラムを書かれていました。『日本中学校体育連盟が、水泳やハンドボール、体操、スケートなど9競技に関して、2027年度以降、全国中学校体育大会(全中)を廃止すると発表した』ことについての考察です。
その中で、町田氏は、『学校教育現場の労働状況に鑑みる』と『全中廃止は不可避』との見解を述べ、『全中に依存してきたのは、教育界ではなく、むしろスポーツ界や高校・大学の受験制度である』『各競技の統括組織は全中に依存しない競技運営の在り方を早急に模索すべき』と提言なさっているのです。どういうことかというと、『全中に有望選手のスカウトマンが来ていたり、全中の結果次第でスポーツ推薦が決まったりする』という実態があるからなのです。
その通りだと思います。と同時に、とても勇気ある提言だとも思いました。『私もかつて全中のフィギュアスケート競技に参加した身』とある通り、アスリートであった町田氏にとって、スポーツ界に苦言を呈することは、裏切者という非難さえ覚悟しなければならない行為だと考えたからです。
今回の全中9競技廃止問題は、学校における部活の在り方問題とつながっています。部活の廃止や縮小を提言すると、生徒が可哀想、我が国のスポーツの裾野が衰退してしまうという批判がなされます。そして、生徒の思いを尊重しない、日本のスポーツ界全体を見る広い視野が欠けているということで学校や教育行政が悪者にされるという構図です。
全中廃止についても、今まで同じ構造で批判がなされてきました。批判する側=スポーツ界、批判される側=教育界です。そんな中、一流アスリートであった町田氏が、問題はスポーツ界の側にこそあるという指摘をなさったのです。
私は、現代の学校にまつわる様々な問題は、我が国の過度に学校に依存する風習に原因があると考えます。社会で起きている様々な問題について○○教育という形で新たな教育課題として学校に持ち込まれることが教員の多忙化一因となっていることは紛れもない事実ですし、家庭における躾の問題も学校でお願いします、となっています。虐待やヤングケアラー、宗教2世などの問題も学校に発見と初期対応が委ねられそうな雲行きです。
今回の全中問題が、学校への過度の依存問題を見直すきっかけになることを願っています。他所の○○界の都合で学校を振り回すのは止めにしてほしいものです。
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