(政教一体)公明党・創価学会 政権参加を問う しんぶん赤旗・特別取材班
新日本出版社 800- 2000/3
刊行にあたって
本書は、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日刊紙が一九九九年秋から長期連載している「政教一体 公明党・創価学会--政権参加を問う」を収めたものである。連載の第一部(一九九九年十月二十日付~)から第三部(~同年十一月三十日付)までを第一分冊に、第四部(同年十二月一日付~二〇〇〇年一月十九日付)を第二分冊にあてた。第五部以下も、順次、公刊の予定である。補訂は最小限にとどめ、登場人物の肩書なども連載当時のままとした。
連載中から、幸い、多くの読者の好評を得、単行本にしてほしいという要望が強かった所以は、ほかでもない。公明党の連立政権への参加が、わが国の民主政治のあり方に大きな危惧を生み、公明党と宗教団体・創価学会との一体関係が、深刻に問われるようになったからではなかろうか。
「しんぶん赤旗」の特別取材班は、この問題に正面から取り組んだ。本書上梓にあたり、取材に応じて下さつた関係者、情報、資料を提供し、励まして下さった読者の皆さんに、あらためて感謝の言葉をのべたい。本書は、それらの人びととの共同の著作である。
-------(P11)--以下、本文--
第一部 国民はどう迎えたか
冷ややかな視線--国民への約束は果たされたか
自自公連立政権の評判が悪い--。発足後初めての国政選挙、参院長野選挙区補欠選挙(一九九九年十月十七日投票)で早くも「ノー」の審判がでました。
新聞各社の世論調査の結果をみても、どの調査も「連立はよくない」が「よかった」の二倍以上、六割近くに達しています。
「よくない」理由として高いのが公明党の政権参加。「産経新聞」の調査では五九・八%が「評価しない」、「日本経済新聞」では五〇・二%が「信頼できない」と有権者が公明党に強い拒否反応をみせています。
◆ 特異な宗教団体への拒否反応
なぜなのか--。「この党への拒否反応は、創価学会という、特異な宗教団体への拒否反応でもある。支持団体というより、まったく一体の関係ですから」と、いうのは宗教学者の七里和乗さん。『池田大作・幻想の野望小説【人間革命」批判』(新日本出版社)はじめ、創価学会分析の著作を多数もつ七里さんは、昭和初期、日蓮正宗の信徒団体として発足したこの教団は、二つの点で他の教団と大きく違うと、その特徴を次のように語ります。
一つは、他の宗教はすべて「邪宗教」であるだけでなく、すべての思想も「邪思想」であり、「撲滅」しなければならない、と主張し、運動してきたことです。
もう一つは二代会長戸田城聖、三代会長池田大作氏の下で、地方議会を振り出しに参議院、そして衆議院と、政界に直接進出をはかったことです。かれらは王仏冥合、すなわち王法(政治)を創価学会の仏法が指導するという特異なイデオロギーで日本社会の精神的支配をねらい、その教義の実現の手段として宗教政党公明党をつくりました。
公明党の「結党宣言」一九六四年十一月)や「党綱領」に表明された「王仏冥合」「仏法民主主義」などは、創価学会の教義そのものを政治にもちこむイデオロギーでした。そして国会で議席の多数を獲得して、国立戒壇を建立する。それが創価学会の政治進出の唯一の大目的でした。その創価学会と公明党は、「同体異名」「一体不二」(池田氏)であると説明されました。
ここが、一部の宗教団体が自民党候補などを推薦するのとは、次元の違うところなのです。「会長池田先生」は急速に「神格化」され、批判は絶対に許されませんでした。
国民は、そのことを決して過去のこととは思っていないのではないか。いまも続いているのではないかという疑念を抱いているんです。
池田氏は党の「創設者」であり、その指導性はいまも絶対的です。ここがヨーロッパのキリスト教の政党と決定的に違うところです。それらはキリスト教精神を背景にしていますが、政党としては教会・教権の支配をうけるということはまったくなく、一宗一派に依拠せず、完全に独立しています。この点でも公明党は、世界でも特異な宗教政党なのです。
---------(15P)-------つづく--