<藤原弘達の“創価学会を斬る”シリーズ・2/7>
続・創価学会を斬る 藤原 弘達 昭和46(1971)/12 日新報道
------(P.186)---(以下、本文)-------
◆ 政教不分離への証言-①
前著『創価学会を斬る』を出した折に、数々の投書が私のところへきたことはすでに述べたとおりである。その内容は悪罵、非難から“殺してやりたい”と脅迫する者がいる反面、“頑張ってくれ”“もっと徹底的に斬ってくれ”“よくやってくださった”という激励の手紙をふくめて、まさに山ときたことはいうまでもない。そうした投書の山は本を出して出版妨害が明らかになったときに最初に押し寄せ、次いで第二の山は四十五年五月三日の池田講演の後にきた。あの池田講演についてはすでに私の批判も展開したが、あまりのインチキぶり、あまりのゴマカシぶりに学会内部からも憤りが生じ、それが投書の山となったということである。
例えば次のようなものがあつた。(この投書には住所、氏名がチャンと書いてあり実在の人物かどうかも確かめてある。
「…池田会長は十周年記念大会において、今回の言論問題について、いいわけがましいことを混えながら、猛省しているとか、政教分離するとか、いろいろ言明しましたが、そういうその口で過去については早速ウソの談話をやったのでは反省にもならず、これからの方針も欺瞞にみちたものであります。
『私は過去三力年間公明党になんの指示もしていない』とか『竹入君たちになにかを云うことは政教分離の自己否定になる』『党のことは党の資任であり自主性をもたせていた』『とくに一昨年からまったくノータッチできております』などと、近い過去をふりかえって、さも民主的なような談話をしておりますが、党にノータッチであった筈の昨年(四十四年)一月、両国の日大講堂で幹部大会を開催したとき、池田氏は神奈川と埼玉の二、三の公明党員が思い上がった言動をしたということで大変な立腹をしてその旨を万余の面前で罵倒したあげく、前列に座していた大幹部である国会議員数十名に対し退場しろと怒号すると、議員達全員は退場するわけにもいかず、返す言葉はむろんなく、ただオロオロと最後部に退き立つておりました……」
まことに写実的な描き方で、ウソとは思えない。池田会長という男はとにかく大変な存在だったということがよくわかるといってよいだろう。その後も池田会長の「御勘気」は解けず、大石寺に池田がゆくと議員連中もゾロゾロついてゆき、その後を泣きながらすがりついたという。家屋のなかに池田が入ると、これにつづこうとして押し出され、会長が出てくるまで直立不動の姿勢で何時間でも大の男が泣きながら待っている。出てくるとまた手放しでボロボ口と涙をこぼしては泣き、ゾ口ゾ口と右往左往しながら金魚のフンのようにつながってゆく。それが毎日のことで、長期間にわたったというのだから、まさにたわけたというか、ケッサクな話なのである。
こういう状況を目撃し、かえって多くの学会員は改めて会長の偉大さを自覚したのかもしれないが、当然のこととして人によっては疑問も生じたという。この天下の議員さんたち、いったい何をしているのか。池田会長一人のためにこんなことで徒食し、国会の審議や政策の研究ができるだろうか。会長は現に「公明党は学会のものではない。国民のものです」といっているように、少数でも学会員以外の人々の票もとって当選した「国民の代表」ではないのか。池田個人のために、こんなにバカバカしい時間を空費しては一種の「不正議員」と変わらないではないか。会長も会長といわなくてはならない。若干の不心得者がでたことを理由として、全員に制裁的な暴言と侮辱を加える権限が池田会長のどこにあるのだろうか。まして国会の仕事を怠ってついてくる議員たちを、本来の仕事に戻すという措置をとらなかったのか……等々。
まさに当然すぎる疑問というべきであろう。そのくせ、その五月過ぎには、その池田自身まことにシャアシャア~として、「いつも私の意見は少数意見でなかなか通らない。公明党の議員さんがたは偉くて私のいうことなどきいてくれませんよ」と平気でいっているのだ。
投書した学会員が、「これだけ国民の代表をロボットにひとしい私物あつかいにしておきながら、一昨年からノータッチなどと、内情を知らない外のマスコミに向かって臆面もなく言明するこの宗教人、まことに世界一にずうずうしい人だと断定したくなります」と痛憤するのも無理からぬといわねばなるまい。
この学会員の指摘をまつまでもなく、公明党の議員はその幹部の竹入や矢野をふくめて、池田の前では吹けば飛ぶような存在であり、外にはいかにも民主的な運営をしているように見せかけていながら、内ではまったく逆なことが行なわれており、そういう二枚舌の論理と二つの顔の使い分けという点は、五月三日の池田発言はまさにその頂点をなしたといえよう。
-----(180P)----つづく--