公明党=創価学会の真実 乙骨正生 (2003/1 かもがわ出版 1800-)
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第一章 盗聴とマスコミ支配と言論テ口
1 “盗聴教団”の体質いまも脈々と
◆ 創価大学職員らによる通話情報流出事件発覚
平成十四年九月十三日に発覚した創価学会幹部で創価人学の職員・OBらによるNTTドコモからの携帯電話の通信記録の盗み出し事件は、共産党宮本委員長宅盗聴事件に象徴される創価学会の盗聴体質をあらためて浮き彫りにするとともに、そのような盗聴体質がいまもなお、創価学会の組織内で脈々と受け継がれていることを窺わせるものとなった。
事件は、創価大学学生課職員、剣道部監督で八王子地域の創価学会組織の男子部主任部長の田島稔容疑者が、元交際相手の女性の男性関係を調べるために、元交際相手の女性とその女性が付き合っている男性の携帯電話の通信記録の盗み出しを、上司筋にあたる創価大学学生課副課長の根津丈伸容疑者に依頼した。この根津容疑者は創価学会の全国副青年部長、第二総東京(三多摩地域)の副青年部長を歴任した創価学会青年部の中枢幹部であるとともに、池田大作創価学会名誉会長の三男である池田尊弘副会長などとともに、創価大学の同窓会組織である「創友会」の運営委員・評議員を務める創価学会の超エリート。その根津容疑者はNTTドコモの関連会社であるドコモシステムズに勤務する創価大学の後輩で熱心な学会員の嘉村英二容疑者に通信記録の盗み出しを依頼。嘉村容疑者は派遣先のNTTドコモ通信部から田島容疑者の元交際相手の女性とその女性がつきあつている男性の通信記録約一力月分を盗み出していたのである。
事件は田島容疑者が元交際相手の女性が付き合っている男性を詰問した際、女性に電話をしている日時を正確に言い当てるため、不審をもった男性がNTTドコモに照会したことから発覚。三人は電気事業通信法違反(通信の秘密侵害)容疑で、警視庁保安課に逮捕された。
報道では、事件は単なる田島容疑者の色恋沙汰に端を発した単純な事件のように記されているが、実は、通信記録の盗み出しは田島容疑者の元交際相手だけにとどまらず、創価学会と対立する関係にある人物や団体の周辺にも及んでいたとの情報もある。
というのも田島容疑者の依頼を受けて創価大学の後輩である嘉村英二容疑者に通信記録の盗み出しを依頼して逮捕された根津丈伸容疑者は、先述のように創価学会の全国副青年部長という要職にあったばかりか、「広宣部」という創価学会に対立する人物や団体の情報収集や攻撃に従事する組織に所属していたと伝えられるからだ。
そうした立場の根津容疑者が、嘉村容疑者を使そうして犯した通信記録の盗み出しに、仮に創価学会と対立する関係にある人物や団体の関係者が含まれていたとなれば、これはもう単なる色恋沙汰の事件ではなく、創価学会が対立者の情報を収集するために行った組織的犯罪という様相を帯びてくる。それだけに事件の全容解明、事件の背景についての捜査結果が注目されていた。
だが、十一月五日午前十時から東京地裁刑事三部で行われた初公判は、実に驚くべきものだった。
まず通信記録の盗み出しという個人のプライバシーを侵害する悪質な犯罪を犯した三人の被告には、なんと創価学会の弁護士グループのトップに位置する福島啓充副会長をはじめ、創価大学OBの松忖光晃副会長など総勢十一人もの錚々たる創価学会弁護団が編成されていたのである。
事件発覚翌日の九月十四日付「聖教新聞」には、池田大作名誉会長の「社会に迷惑を、学会に迷惑を、かけゆく愚者は我らの和合僧より断じて追放せよ!」との怒りに満ちたメッセージが掲載されていた。にもかかわらず創価学会は、三人の被告を徹底して守ったのだった。
なぜ、創価学会は十一人もの大弁護団を結成して三人の被告を守ったのか。
その理由は、今回のNTTの通信記録の盗みだしという卑劣な犯罪が、実は、田島被告の男女関係のもつれに起因する単純な事件ではなく、創価学会に対立する人物や団体の情報を収集することを目的とした創価学会の組織的な盗聴犯罪だったからではないのか。
というのも、事件を担当した警視庁は、根津、田島、嘉村の三被告の余罪について、具体的な捜査を行っていた事実がある。
しかし、公判では、創価学会員弁護士で固めた弁護側はもとより、検察側も創価学会の「そ」の字にも触れなかったばかりか、事件を田島被告の男女関係のもつれに基づく単純な事件として立件。三人の被告は立件された事実をすなおに認め、ひたすら謝罪と反省の言葉を口にした。
そして松村副会長をはじめとする被告代理人は、事件を「計画性のない、偶発的かつ単発的犯行である」とくり返し主張、すでに逮捕以来五十日以上にわたって拘留されており、被告らも十分反省しているとして、寛大な判決を求めたのだった。
その結果、裁判所は、検察側の論告求刑、弁護側の最終陳述を経て、わずか五分ほど休憩した後、公判開始からわずか二時間半で、嘉村被告に懲役一年六力月・執行猶予三年、根津被告に同一年二力月・執行猶予三年、田島被告に同一年・執行猶予三年の有罪を言い渡した。
軽微な犯罪では今回のような即日判決ということは珍しくない。だが、個人情報の保護やプライバシーの保護が大きな社会的関心事となっており、マスコミも大々的に報道したように社会的に大いに注目された事件が、即日判決となることはほとんどないという。
その意味では、今回の公判は、極めて異常というか、驚くべき公判だったのである。
元公明党委員長竹入義勝氏や元創価学会顧問弁護士山崎正友氏は、過去に創価学会がらみの事件において、警察や検察に対して事件もみ消しや、創価学会に有利な取り扱いをするような工作を行った事実を明らかにしている。
今回の事件でもそうした動きがなかったのか。極めて疑わしい。
ちなみに判決言い渡し後、釈放された三人の被告と学会員の錚々たる弁護士たちは笑顔で、握手し、肩を叩き合い、あたかも無罪ででもあったかのような勝ち誇った姿で法廷を後にした。
それにしても、副青年部長という中枢幹部の立場にあった人物を含む幹部会員が、通信記録を盗み出すという人権侵害甚だしい犯罪を犯したにもかかわらず、創価学会はこの事件についてなんら言及していない。
創価学会は日頃、機関紙「聖教新聞」紙上に、秋谷栄之助会長や森田一哉理事長などの首脳幹部による座談会記事「人権と平和と社会を語る」を掲載、しきりに人権の尊重をアビールしている。だが、現役の創価学会幹部である根津被告らが犯した人権侵害を伴う犯罪行為については、有罪が確定しても謝罪どころか、事件そのものにもいまだに一言も触れないのである。
---------(22P)-------つづく--