創価学会・公明党が日本を亡ぼす

  政教一体で憲法(20条・89条)違反だ!-打首獄門・所払い(=解散)せよ!

闇の帝王・山崎正友-11

2016-01-31 08:54:17 | Weblog

私は山崎正友を詐欺罪から救った! -- 2002/05
   --アウトローが明かす巨額“手形詐欺”事件の真実--
    -------(前回、97P迄)--以下、本文--

5 計画倒産の失敗
 山崎と私の計画は、シーホースの倒産日を昭和五十五(一九八〇)年七月三十一日と決めめ、それまでの三力月間に取り込み詐欺を働くというものであつた。
 しかし、計画を実行に移してわずか十五日後の四月十五日には、山崎が以前に振り出していたシーホースの手形が不渡り事故を起し、事実上の倒産となってしまった。結果として、シーホースの計画倒産は失敗に終わり、取り込み詐欺もほんのわずかな成果しか上げることができなかった。
 シーホースの不渡り事故は、山崎のまったくの計算違いであった。このように中途半端な形で倒産させた場合には仕事師との約束違反であるばかりか、仕事師たちも自らが取り引きした債権者を抑えることが難しく、告訴される事態も予想しなければならなかった。
 シーホースが倒産した二日後の四月十七日、私は赤坂の事務所にいた。その日の夕方、私は山崎から呼び出され、事務所の目の前にあるホテルニュージャパンの一階にある喫茶室に赴いた。
 私が席に着くと、山崎は辺りに顔見知りがいないかどうかを伺い、私と山崎の二人だけであること確かめると、口早に要件を切り出した。
「すまない。塚ちゃんとの約束した日まで、会社をもたせることができなくなってしまった」
 私と約束したシーホースの計画倒産の期日は、前述したように七月の末日であった。この期日を違えた場合、計画した通りの取り込み詐欺は成り立たない。
 そのため、私との約束事が反古となってしまったことを意識しての挨拶であり、シーホースが不渡り事故を起こしたことへの詫びでもあった。
「実は二、三日前から学会が俺の取り引き銀行に圧力をかけて、俺を潰しにかかってきた。この前にも話した通り、俺は学会と戦争をしなければならない。学会の方でも俺の計画をうすうす感じているらしく、なんとしても俺を潰したいと思つているようなのだ」
 と、深刻な顔をした。私がその顔をのぞき込むと、--
「なに、まだ俺の計画している本当の戦争(陰謀)がバレたわけではない。ただなんとなく俺を疑い出してきたのだとは思う。本当のことは、まだ創価学会の連中にはわかってはいないはずだ」--と自分自身を励ますように山崎は言つた。
「とにかく今は絶対に俺の戦争のことがバレてはまずい。そのためにもシーホースの倒産が詐欺事件になると、俺は非常にまずいことになる。なんとか、塚ちゃんの方で扱ったシーホースの債権者を抑えられないか。そのためにかかる費用はすべて用意する。
 塚ちゃんの方の仕事師が扱った分の必要な金は、もう用意してある。シーホースの社員が扱った分は、俺たちの方で抑える。塚ちゃんの仕事師が扱った取引先に手を打って、一件でも事件にならないようにしてくれないか。俺の方の戦争は、俺がいなければ勝負にならない。俺がこの戦争に勝っためにはなんとしても、シーホースのことは塚ちゃんに頼むしかない。丸尾や坂本ではとても無理だ。
 俺が創価学会に仕掛ける戦争は、先日、塚ちゃんにも話してある通り大仕事だ。しかし、このことは今はまだ創価学会にバレてはいない。だが、この戦争に勝っためには、これからが大事な時なんだ。俺はその準備をしておかなければならない。そのためにも、俺が今ここで警察に捕まるようなことは、絶対に避けたいのだ。塚ちゃんには、何の儲けもさせないうちにシーホースをパンクさせたことは謝る。他の連中にも謝っておいてくれ。少しぐらいの金は明日にでも届ける。また、塚ちゃんにも少しはやれるから心配するな。シーホースの件で、刑事事件にさえならないようにしてくれれば、今後も塚ちゃん達の面倒は、俺がなんとかする」
 山崎は、私には一言も話させず、ここまでを一気に話した。
「万一の場合、警察には、塚ちゃんが俺やシーホースの社長である坂本を騙したことにしてくれ。シーホースは、塚ちゃん達に騙された被害者の立場にしてくれないか。それに必要な塚ちゃんの報酬は、創価学会を脅して金にする。このことについても塚ちゃんの協力が必要だ。まあ、この話は、また後で相談しょう。よく考えて俺を助けてくれ。絶対に金儲けはさせる。約束するから、ぜひ頼むよ」
 刑事事件から逃れようとする山崎の懸命な懇請であるが、一方で、自らの顧問先である創価学会を恐喝するというのである。
 シーホースの倒産事件を助けた見返りに、山崎が創価学会を恐喝した金の分け前をくれるという申し出である。
 なんといっても巨大教団である創価学会に対する顧問弁護士の恐喝だ。うなるような力ネが出るにちがいない。それはそれで、私にとってヨダレが出るような、おいしい話であった。私は山崎の依頼に乗った。
「俺は学会を恐喝する。俺は顧問弁護士として、学会のためにいろんなことをやってきた。この俺が内部告発をすれば大変なことになる。俺は原爆級のネタをたくさん持ってる。これをチラつかせるだけで、学会はビビッてすぐに金を出す」
 これまでに手掛けたことのない大仕事である。私は背筋がゾクゾクした。これがものになつたら億万長者も夢ではない。懲役も覚悟の上で山崎の依頼のすべてを引き受けることにした。
 翌日から手駒の仕事師を呼び出し、その彼らが呼び込んで使った仕事師全員を事務所に呼びつけた。彼らには山崎から預かっていた約二千五百万円の中から、シーホースの倒産で違約したオトシマエとしての金を渡した。
 そして、彼らが関係したすべての債権者(被害者)に対して、被害届を出させないように話をつけることを頼んだのだった。
       ---------(102P)-------つづく--

 

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闇の帝王・山崎正友-10

2016-01-30 08:55:22 | Weblog

私は山崎正友を詐欺罪から救った! -- 2002/05
   --アウトローが明かす巨額“手形詐欺”事件の真実--
    -------(前回、90P)--以下、本文--

4 計画倒産
 さて、私が山田某と田中某に指示して集めるように言っておいた仕事師たちが、次々とやってきた。彼らは仕事を手伝うことを前提に、以下のような条件をつけてきた。
1、自分たちが仕入れてくる商材は、バッタ(安売り)はしない。
2、自分達の報酬は仕入価格にシーホースの手形で五割増しを払う。
3、業績が上回った場合、それなりのプレミア報酬をつける。
4、倒産期日を確定し、その確定日を守る。
5、倒産後の整理に責任を持つ。
 これらの条件は、舞台とするシーホースの過去の業績や信用があつたとしても、仕入れてくる商材を仕入れるそばからバッタ売りされたのでは、これが証拠となって刑事事件になりかねない。そのために処分方法も取り決め、また、彼らの分け前も取り決めたのである。
 仕入価格に五割増しの手形を渡すというのは、例えば、一千万円の玉(商材)を仕入れて私のところに持ってくれば、一千五百万円分のシーホースの手形で支払う。
 二千万円の玉を仕入れてくれば、三千万円の手形を払う。要するにすべての玉代に、五割増しでシーホースの手形を渡す。
 また、出来高によってはプレミア報酬も充分につけてやり、この割り増し分の手形で、自分たちのシノギとして大儲けしろ、ということである。
 取り込み詐欺を計画した昭和五十五(一九八〇)年二月半ばころのシーホースは、信用照会をした際の取引銀行から出る解答は抜群によかった。二部上場クラスの企業と、ほとんど変わらなかった。
 このため仕事師たちは、仕事がしやすい上に五割増しの手形がもらえるというので、大喜びで私の手伝いをすることに同意した。
 このように山崎の手形犯罪の手口は、いとも簡単である。それは単に銀行等の金融機関を騙すという一手でしかなかった。
 創価学会の最高幹部の一人で、顧問弁護士という地位にあった山崎が実質的経営者であるというだけで、銀行はもちろん町の金融業者でさえも、シーホースとの取り引きに喜んで応じた。山崎が頼めば、それは創価学会からの頼みごとである、と解釈されたからである。
 なかには若干怪しむ向きの金融機関もあるにはあつたが、その場合は実業で受け取った優良手形と、さらに上場会社クラスの手形を額面通りの金を使って買い集め、シーホースはこの通り一流企業とも取り引きをしているぞ、と見せかければよかった。
 そして、買い集めた売り手形やバーター手形と混ぜ合わせ、さらに山崎自身が裏書き保証し、商手と欺いて持ち込み、換金させていった。
 こうして一週間も経たないうちに仕事師たちの手によって、次々と商材が集まり始めていた。生鮮食品では魚を始め冷凍ブタ肉や冷凍野菜、雑貨類ではゴルフクラブ、ブラインド、繊維製品などが続々と集められてきた。
 不動産も逗子市(神奈川県)の物件を始め、埼玉や千葉の物件も持ち込まれた。担保提供の物件では東京世田谷区の羽根木にある一等地で、面積が千三百坪もある総額二十六億円以上の物件も持ち込まれた。
 これらの物件のうち、とくに逗子の物件と世田谷の羽根木の担保提供物件に、山崎はかなりの魅力を感じたらしく、これらの物件には彼自らが現地に出向いた。
 この逗子の土地は約一万坪のちょつとした丘陵にある良質の不動産であった。この不動産に目を付けた山崎は保証人である日原造園の会長を呼び出して、金融業者のイチビルの社長との間で墓地の計画を立て、契約書を作成、それを利用することによって、日原氏に手形の裏書き保証をさせ、イチビルがその手形を割り引いた。
 この数字は確かなことはわからないが、後で聞いたところによると日原氏は、この時の裏保証は数億円だと言つていた。
 そして、なんとしてもこの土地を担保提供させようと山崎自らが所有者に何度も会い、銀行にまで持ち込んだのだが、結局は失敗に終わり、残念がっていたことを思い出す。
 このようにして仕事師達の働きで、順調にいろいろの玉が集まり始めてきた。計画は着々と進行しているかに思えた。
 ここで、一つ思い出す出来事がある。
 昭和五十五年の三月末のことだった。この日、私は山崎から与えられた赤坂の事務所で、数人の仕事師と雑談をしていた。ここは、レイメイ企画の事務所でもあった。
 この会社は、シーホースの資金繰りのために、山崎が融通手形を振り出す目的で作ったもので、私がダミーの社長となっていた、まったくのぺーパーカンパ二ー(幽霊会社)だった。
 また、この事務所は、取り込み詐欺の司令部でもあった。
 夕方の四時ごろ、私の机に置いてある電話が鳴り、受話器を取った。
 すると電話の向こうで、いきなり怒鳴り声がした。
「バカ野郎、お前らは誰の話をしているんだ。あんまりふざけたことを抜かすな。全部筒抜けだぞ」
 山崎からの電話であった。
 突然、怒鳴られてビックリしていると、「自分の机の下をよく見ろ」
 また、怒鳴り声が返ってきた。
 この時、私たちは、確かに山崎のことを話題にしていたが、本人がその場にいたわけではない。
 この苦情の電話に私は何が何だかわからず、とりあえず、山崎が言うように自分が使っていた机の下をのぞいて見た。
 すると、机の天板の裏側にマッチ箱位の真っ黒な箱があり、その箱に五、六十センチほどのビ二ールで覆った配線が付いていた。
 私は、山崎に、「何か変な物がある」
 と答えた。
「バカ野郎、それは盗聴器だ。今、そっちに行くからそのままにしておけ」
 電話が切れてすぐ、山崎が事務所に現れた。白い布製の手袋をはめて、しかも口元に手を当てながら、まるで泥棒が忍び込むような仕草で入ってきた。そして、机の下から黒い小さな箱を取り出した。山崎は、ヒソヒソ声で言った。
「これが盗聴器だ。誰かがここに忍び込んで、取り付けて行つたんだ。これからも、またあることだから注意しろ。俺が気付いたからいいようなものだが、このまま気付かなけれぱ大変なことになるところだつた」
 山崎は、知らない奴が私たちの動静を見張っていると言った。取り込み詐欺の真っ最中であり、一時はずいぶんと緊張したが、三日後に犯人がわかった。
 盗聴器を仕掛けさせたのは、ほかならぬ山崎自身であった。事情を知らない山崎の部下の坂本某がしゃべつたのである。
「うちの先生は盗聴器を使うのが得意で、あっちこっちでよく使つているよ」
 盗聴は、目の前のホテル二ュージャパンにある日原博氏の事務所で行っていたのだった。
 詐欺の共犯者である私たちが裏切らないかどうか、動向を監視していたのである。これも疑い深い、山崎の一面を示すエピソードだろう。
       ---------(97P)-------つづく--

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闇の帝王・山崎正友 -9

2016-01-29 10:13:01 | Weblog

私は山崎正友を詐欺罪から救った! -- 2002/05
   --アウトローが明かす巨額“手形詐欺”事件の真実--
    -------(前回、82P迄)--以下、本文--

《4》 融通手形
 手形事件となるような手形利用法の一つの手口に、「融通手形」=「融手」と呼ばれる方法がある。この「融手」は手形法で禁止されている。
 融手は、なんら正規の商行為がないのに資金繰りを目的として振り出された手形で、これを正規の商業手形と偽り、銀行等の金融機関を騙して割引現金化する。商業手形だと騙すことは犯罪となる。
 この場合でも振り出し確認が行われる。そのため振出人と気脈を通じ、振り出し確認があった場合、正常な商取り引きを装つて偽りの解答をさせる。
 融手は、振出人と受取人との間の手形用紙の貸し借りにすぎず、振出人は受取人に対してなんらかの条件を付けるのが普通である。
 受取人が現金化できた場合には、その一部を謝礼として振出人に渡すとか、半分ずつ使い分けるとか、支払い期日までには必ずその資金を返済するという約束をする。あるいは手形そのものを引き上げるという約束のもとで借りる。
 しかし、振出人は、その支払い期日までに資金の返済がなされてこなかった場合、振出人の自己責任で決済資金を調達し、決済しなければならない。万一、その資金の都合がつかない場合は不渡り事故を起こすことになり、非常に不利な立場になる。
 したがって、よほどの事情がない限り、このような融通手形は振り出さない。だから、融手を振り出す場合は、振出人も受取人も互いに資金繰りを図るために、双方が融通し合つて振り出すことが多い。それゆえに、融通手形と称される。
 この場合、お互いが支払い期日までに資金を調達して决済すればすむことであるが、なかなかそうはいかない。お互いが資金繰りに窮して振り出すような手形が、まともに決済されることは難しく、双方が互いに倒産することを覚悟して振り出すのが通例である。
 したがって、このような融通手形は事故手形(不渡り事故)となることが非常に多い。
 このように最初から決済できないことがわかつていながら振り出す融手のことを、特に「バーター手形」と呼ぶ。
 一般に優良とされる企業は、間違ってもこのような融通手形を振り出すことは絶対にしない。

《5》 売り手形=買い手形
 これは文字通り約束手形の売買である。この場合、手形を買う人がいるから売る人がいる、と言われるが、手形の売買は法によって禁じられている。したがって、手形の売買行為自体がすでに犯罪である。
 山崎は口座屋から買い付けた「売り手形」を多用していた。この売り手形がどのようにして売り出されるのかを紹介しょう。
 売り手形は、大きく分けて二通りの仕組みから成り立つている。その起点として、「口座屋」と呼ばれる売り手形専門の詐欺師がいる。この詐欺師たちは、始めから手形を売ることを目的に法人(一般的には株式会社)を設立する。
 その場合、多くの業種別の会社を、数杜同時に設立する。そして、これらの会社名義で銀行等の金融機閲に当座預金の口座を設け、各々の口座を通じて作為的に大きな資金を、何度も何度も繰り返して通過させる。
 このような偽装行為を頻繁に行い、さらに大口の預金をするなど、金融機関の信用を高めるためにありとあらゆる方法を用いて、短くて二、三年、時には数年間をかけて、この法人の信用を育て上げる。
 その後、手形用紙の発行を願い出て発行させる。そして、さらに口座の信用を高めるために各会社の手形の振り出しを作為的に、かつ高額な金額でできるだけ長期に渡り繰り返し行う。また振り出し枚数もできるだけ多くして、作為的に決済を行い、これらの法人の振り出した手形そのものの信用を得るのである。
 一方、口座屋は、この間にできるだけ多くの手形用紙を発行させ、一枚でも多く蓄積しておく。もちろん、後でその一枚一枚を売るためである。その際、当然のことながら信用の高さが売る手形の価格にかかわってくる。
 また、「売り会社」というのもある。
 口座屋は、これと同様の手口で会社を設立して取引銀行に当座預金の口座を開き、この会社を当座付き会社として、手形用紙や小切手帳にゴム印の社判や代表者の実印等をつけて、会社を丸ごと売却する。
 この会社を買った人物が振り出す手形は、自己振り出し手形として、正規な手形としての扱いを受けられるのがメリットとなる。
 山崎は、シーホースの衛星会社の中に、この売り会社を含ませて手形を乱発していた。
 ここまでが、「売り手形」が生まれるまでの仕組みである。
 次に、この売り手形を利用して、どのように犯罪を実行するかを述べてみる。これが売り手形に関するもう一つの仕組みである。
 買い手形と呼ばれるものかあるが、これは売り手形を買い付け、買った手形を正規の商行為で得た手形と偽って回し手形として悪用し、商品の取り込み詐欺や割引換金の方法で金品を詐取する道具として利用するものだ。
 口座屋が売る売り手形には、手形の振り出し条件が規定されている。普通、口座屋は手形を売り渡す時に、支払い期日を必ず記載する。
 通常は、三力月以上に設定し、明記している。理由は、購入者が勝手に短期間での支払い期日を記載した場合、その支払い期日で百パーセント不渡り事故となり、一度不渡りとなった場合、残りの手形が売れなくなるからだ。
 なお、その他の必要記載事項も当然記載されるが、金額は空欄のまま売り渡されることもある。したがって、手形を購入した者が勝手に空欄に金額を書き入れることができる。
 売り手形は、普通、一枚数千円から高くても十数万円で購入することができる。その手形の金額に応じた印紙を貼れば、数百万、数千万、場合によっては数億円の金額に化けることになる。
 売り手形の購入者は、手形を回し手形として第三者に回す。その際、回し手形で支払うことを相手に承諾させるためには、この手形の信用がポイントになる。
 そこで口座屋たちは、上手に仕立てた会社の信用を育て上げることに懸命になるのである。
 さらに、この回し手形を受け取る側は、この手形が正規の商行為で振り出された手形か融通手形か、または盗品(パクリ手形)かを判断するために、手形の振出人に振り出し確認を行う。
 口座屋である手形の売人はこの確認に対して、「間違いなく商手(商業手形)として振り出した」と返事をする。この偽りの回答をすることが売り手形の価格であり、また、この回答の信用が売り手形の価値となる。

《6》 会社整理屋
 つぎに、「会社整理屋」を名乗る詐欺師の「売り手形」の手口を紹介する。
 詐欺師は倒産間近の企業に乗り込み、一時的に倒産を遅らせる。
 そのため、倒産を引きのばす資金を用立てることから仕事を始める。そして倒産を遅れさせている期間中に、この企業の過去の信用を利用して、手形を使って取り込み詐欺を行うほか、手形を乱発して売り手形として売りまくるなど、いわゆる火事場泥棒的犯行をるのである。
 通常、企業の倒産の場合、経営者のほとんどが裸同然となっている。
 営々と会社を築き上げてきた事業主が倒産するまでには、すべての資産を注ぎ込み、自宅を担保に取られ、親類縁者にも借財が残り、多くの債権者に迷惑をかけ、家族の離散や自殺やら、一家心中をも考えざるを得ない状況に追い込まれている。
 このような状況を悪用して付け込み、甘言を持って事業主を誘い込んで債権者を騙し、最終的には事業主までも騙し、手形はおろか、ありとあらゆる資産を売り払って上前を懐に入れるわけだ。
 しかし、詐欺師たちが逮捕されることはまれである。手形は倒産した事業主の名義のまま振り出し、この詐欺師たちの名前はどのような場面にも登場することがないからだ。
 また、事業主自体も詐欺師と組み(謀議、共犯)、一時的にも懐を肥やしているため、踊らされたと警察に訴えることができないこともある。
 山崎がシーホースを舞台に計画した取り込み詐欺も、まつたくこの手口であった。
山崎が犯罪に使用した手形の種類は「売り手形」が一番多く、次に「融通手形」や「バーター手形」が多く使われた。
 正規に商った場合、現金で仕入れるか手形で仕入れるか、いずれにしても実際に資金を支払わなければならない。
 しかし、売り手形を買って振り出すなら、手形は一枚幾らの世界であり、資金はほんのわずかですむ。また、その他の経費もまったくかからない。売り手形を、正規の商手(商業手形)として銀行を騙すことさえできれば、それでよいのである。
 この手形が不渡りになるまでの間は、買い手形で換金した資金は自由に使うことができた。また、これらの手形が不渡りとなった時、その手形と差し替えるため、さらに買い集めた売り手形を使用すれば、それですむ。
 その操り返しであったため、山崎は多くの「売り手形」を使用することとなった。
       ---------(90P)-------つづく--

 

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闇の帝王・山崎正友 -8

2016-01-28 07:35:07 | Weblog

私は山崎正友を詐欺罪から救った! -- 2002/05
   --アウトローが明かす巨額“手形詐欺”事件の真実--
    -------(前回、76P迄)--以下、本文--

2 詐欺の実行
 この後、私は事務所に戻り、当時、私の両腕のように毎日そばにいた山田某と田中某の二人に、いま山崎と決めてきた話の一部始終を説明した。
 明日からはシーホースの手伝いではなく、自分たちのシノギとして働いてくれという私の話と、その内容に見合った条件を聞かされた二人の仕事師は、待ってましたとばかりに喜んだ。
「このシノギの責任は俺が全部背負うから、できるだけ多くの仕事師を呼び寄せて、短期勝負をかけろ。玉(取り込む商材)は食料品でなくてもかまわない、雑貨でも衣料品でも、とにかく何でもかまわない。特に手形で買える不動産を探せ。
 不動産が一番おもしろい。少々遠くの物件でも東京の近郊なら大丈夫だ。銀行に担保として使えそうな物件なら、どんなものでもかまわない」と、私はこのシノギの狙いを話した。そして、「土地の所有者が自分でも金が使いたいというなら、担保提供にしてお互いが使い分けるという条件でもいい。かなりいい物件を持っていながら、自分では借り入れができないで困っている奴が結構多くいるはずだ。
不動産関係の仕事師に声をかけてみろ。いろいろとおもしろい物が出てくるぞ」
 と、けしかけた。
 この昭和五十五(一九八〇)年当時は、いわゆるバブル経済に入る前の時期であり、世の中はかなり不景気であった。
「とにかく、今度の仕事はシーホースの取り引き銀行に、全部“シワヨセ”する。なにより仕上げが大事な仕事だ。
 シーホースの手形は幾らでも切らせる。手形と手形のバーターでもかまわない。手形を買いたい奴も見付けろ。売ることもかまわない。もっとも売るのは、できれば最後の方がいい」
 と、この二人の手駒に指示を出し、これからが私たちの本当の仕事で、うまくやればかなり大きな仕事になる。そのために、明日からすぐに仕事にかかってくれと頼んだ。

3 手形犯罪
 ここで参考までに、山崎が犯した手形犯罪の手口と、この犯罪に使われた手形の種類を説明しておこう。手形を山崎が悪用し、取引銀行や町の金融業者を騙し、数十億円という多額の金融詐欺を働いた非合法手形の種類や手口を記して、読者の参考に供することにしたい。
 もちろん、私は法律の専門家ではないから、法律からみて以下の説明のすべてが正確かどうかはわからない。あくまで、裏社会を長年生きてきた者が得た現場の知識と思っていただきたい。

《1》 約束手形
 手形を振り出して流通させるためには約束事がある。その主旨は、支払い金額、支払日、支払い場所等、手形法に基づく項目を明確に記載して手形を振り出すことである。そして手形犯罪に利用されるのは、一般的にこの約束手形である。
 一般に約束手形を振り出す場合は、振出人が、自らの取り引き金融機関(銀行、信用金庫、農協等)に当座を開設して、その金融機関から手形用紙を発行してもらう。
 その手形用紙に、前記のように手形法に基づく必要条件の約束事項、必要事項を記載し、商行為の相手方に振り出して現金の代わりに支払い、その商行為を完結することができる。
「いつでも」「だれでも」何百万、何千万、何億円という大金であっても、合法的に現金の代わりとして発行できる、いわゆる“有価証券”である。こうした手形は「商業手形」いわゆる「商手」と呼ばれ信用度が高い。
 ただし手形を振り出した以上、どのようなことがあっても、振り出した者が責任を負わなければならない。これを「振出人の自己責任」という。
 約束事のすべてを守って手形を利用することにより、手元に現金がなくても先を見越して大きな事業や取り引きができるのである。
 このような商行為の取り引きで得た約束手形の受取人は、手形に記載されている支払い期日まで、その手形を所持し、支払い期日が到来した時点で、金融機関の口座を利用して取り立ててもらう。
 これが一般的な手形の取り立て方法である。

《2》 回し手形
 銀行口座での取り立て以外に、別の商行為で自分の方が代金を支払う立場になった時、自らが受け取つていた手形に裏書き保証をして、相手方に支払うことを回し手形という。
 裏書き保証とは、裏書人が、その手形の振り出し条件の全部を振出人と同様に責任を負うことである。
 この回し手形の場合、手形の振出人の信用が高ければ高いほど、第三者はこれを受け取り、次々と別の第三者に回すことができる。このように正当な商行為で、次々と手形を回して使う行為を善意の連続という。
 もし、この手形が途中でパクられたとか盗難に遭ったとか、いわゆる悪意の犯罪が介在して回し手形として使用された場合、この善意の連続が途切れ、この手形が決済されない場合がある。
 しかし、この回し手形を受け取った者が、悪意を知らずに受け取った場合、受取人は善意の第三者として、この手形の振出人を始め、この手形の裏書き保証人全員に決済を求めることができる。
 したがって、手形とは第一に手形の振出人の信用であり、また、この手形の裏書人の信用も大事な要件となる。そして、信用が高い手形は、回し手形でもほとんど現金と変わらない。
 ところが、売り手形を買って回し手形の方法で回されてきた場合は、これを見抜けない。
 ときには詐欺の被害者となってしまう。これについては、「売り手形」の項で詳しく述べることにする。

《3》 振り出し確認
 以上のように、手形とは振出人の信用と、裏書き保証人の信用が不可欠である。そこで一般的には手形で商取り引きをする前に、まず自らの取引銀行を通じて振出人の信用状況等の調査をする。
 また、この手形が回し手形の場合には、信用照会のほかに振出人に対して、振り出し確認を行う。この調査で、振出人が正常な取り引きで振り出した手形かどうかを判断できると同時に、この手形を第三者に回して利用することも安心してできることになる。
 さらに万が一、不渡り事故となった場合にも、その責任を直接、手形の振出人に対して要求することができる。
       ---------(82P)-------つづく--

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闇の帝王・山崎正友 -7

2016-01-27 09:00:29 | Weblog

私は山崎正友を詐欺罪から救った! -- 2002/05
   --アウトローが明かす巨額“手形詐欺”事件の真実--
    -------(前回、49P)--以下、本文--

第2章 詐欺
1 取り込み詐欺
 そうこうしているうちに、昭和五十五(一九八〇)年の一月、二月と時が経ち、当然のこととして、私の手駒の仕事師達が仕入れ時に支払った手形の決済日が、到来しつつあった。
本来、この決済資金は、仕入れた商材の売却代金で賄うのが当然である。ところが山崎のやることは、どこまでいっても素人であった。
 というのも、私たちの仕事はシーホースグループの仕入れを担当したが、販売は一切手伝っていない。私たちが苦労して買い集めた商材の販売代金も手形で売りさばき、その受取手形が不渡りになることまでは、私たちの関知するところではなかった。
 そうした実態を聞かされたのは、受取手形が不渡りになった後のことである。あまりの馬鹿馬鹿しさに、ただあきれるだけであった。
 また、その一方で前年の暮れごろから私が買い集めて、山崎に渡した「売り手形」も、順次、その決済期日が到来し、次々と不渡りになっていた。
 時間が経てば経つほど、また、商いをすればするほど、シーホースグループは窮地に追い込まれ、銀行以外の金融業者での割引融資も滞り始めていた。
 私たちも、このままでは利益を得ることができず、次第に仕事師達からも苦情が出始めてきた。その頃山崎も順調に商品の購入ができなくなり、かなりイラついて私にハッパをかけてきた。
「塚ちゃん、もう少しがんばって仕入れてくれ、儲けはそれほどなくていいんだよ。ものさえ動けば」
「先生、そんなこと言ったつて、もう手形の信用がガタガタになってきてるもの。そんなに買えるものでもないや。
 そんなことよりも、せっかく、俺達が仕入れてきた品物を売った先から集金する手形がパンクするならば、買い手形も一緒じゃないの。手間暇かけずに、買い手形一本でいったって、先生にとってみれば同じ手形でしょ。
 できるだけ良質な手形を仕人れくれるから、先生はそれを銀行に持って行けばいいでしょ。品物を売った手形も、手形を買った手形も手形には変わりないよ。それの方が、原価もかからず手間暇もかからず、額面だけなら何億でも何十億でもできるよ」
 この話を私から聞いた山崎は、初めのうちはその意味がわからなかったようである。そこで私は、もう少し具体的な例を上げて説明した。
「先生。先生は、今までにも私が手助けして買い付けた手形は、銀行へ持って行って、“この手形は買い手形です”と言うのですか、そんなこと言うわけないでしよう。商いで集金した手形だと言うはずですよね。
 では、本当の商いでの手形は、これも同じ説明のはずですよね。
 どんな手形でも、印がない。そして本当の商いで、手に入れる手形が不渡りに成ることもよくあることですよね。
 この場合でも、先生はこの手形を買い戻している。それは、別の手形を差し入れてやる場合も同じことですよ。
 しかし、本当の商いの場合には、仕入れる先様には現金か手形かは別としても、元手の資金はかかります。
 たとえば、百万円で仕入れた商材に利益を十万円プラス経費を十万円、百二十万円で売却できたとしても、集金してきた手形が不渡り手形となってしまったら、経費十万プラス仕入れの元金百万円は、丸々損害である。
 ところが、まあ、先生の場合は、どんな手形でも銀行に持ち込めば金利を少々払うだけで、万が一不渡りになっても、銀行の債務残高が少々増えるだけで、たいした損害と考える必要がないのですね。
 それだったら、私が言うように、商売は表向きだけのことにして、買い手形で済ませる方がはるかに有利です。手間暇かけず、売り手形を買い、これを商手(商業手形)とでて銀行に持ち込んだ方がいい。
 そして、たまには上場クラスの手形を買って、買い手形の中にこの上場クラスの手形を混ぜて銀行に持ち込み、わが社はこのように、大手の会社との取引があると見せかけでおけば、大丈夫ですよ」
 どのみち山崎は、売り手形をさんざっぱら使っていたんだから、今さらこれが少々せえたことになっても大差があるわけではない。むしろ本業などしない方が、シーホースか赤字が増えるのを押さえることになるはずだ。
 そして私は、山崎に上場クラスの手形の仕入れ方も伝授し、彼はこの方法を採用した。
 昭和五十五年三月中旬頃のことだ。
 この日も山崎から呼び出しがあり、私は事務所の目の前にあるホテルニュージャパンの喫茶室で彼と二人だけで会った。この時に初めてシーホースの現状を打ち明けられた。
「このままの状態では、早晩シーホースは倒産する。倒産はすでに覚悟はしていたが、このまま倒産した場合、多くのところに迷惑が及び、塚ちゃん達にも迷惑がかかる。どうしたらいいか相談に乗ってくれ。少々ヤバイことになってもかまわない。なんとかならないか」
 と、かなり憔悴した様子で、山崎は言った。
 すでにシーホースの商売のやり方を見てきた私には、営業方針や、買い手形での資金り、売掛金の不渡り等々で、いずれ近いうちこのような状況になることは読めていた。そこまで追い込まれなければ、本当の意味で、私たちのような仕事師のシノギの場にはならない。
 いよいよ、私の目論見通りの時が訪れた。シーホースで取り込み詐欺が働ける状況が生まれたのだ。そこで私は、山崎に言った。
「どうしても駄目だと先生が見切りをつけて諦めることができるのなら、何か考えなければならない。そのためには、先生の方でもなんとか無理をして二、三力月間、倒産を延ばしてもらえないか。
 これを引き延ばすことができるなら、その間にシーホースの手形で、私らが不動産を始め、できるだけの商材を買い集める。
 先生は、この不動産を担保に銀行から金を引き出せ。今ならまだシーホースの手形が使える。乱発が銀行にバレると、信用照会で駄目になる。先生はできるだけ銀行には上手く話をつけてくれ」
 と、話を持ちかけた。山崎は、私のこの話を待っていたようだった。悪知恵の回る弁護士先生のことだ、最初から、全部お見通しだったにちがいない。
 ただし、念のために山崎に付け加えた。
「最終的な責任は丸尾に負わせられるように、よく話をつけておいてくれ。さもないと後で、詐欺で刑事事件となってしまう。私のいう通りに踊ってくれれば、民事事件ですむはずだ」
 そして、この不動産を銀行に担保として入れる方法は、山崎がもつ肩書ならではの仕掛けである。創価学会の関連企業だと信じ込んでいる金融機関を騙すのだから、それはさほど難しく考える必要はなかった。
 そして、この方法はシーホースの場合、一石二鳥か三鳥の効果を狙った、私の仕掛けである。
 売り手形の割り引きが増える。そのために不動産を担保として差し入れるのであり、この不動産を買うためには、たくさんの手形が必要である。
 持ち込む手形が多くなるということは、シーホースの商いが多くなつたように見せなければならない。そのためには、仕入れで支払う手形がたくさん必要になる。手形用紙をたくさん発行させるためにも、この仕込みが必要である。
 この仕事は荒っぼいことになるので、仕事の報酬は、私の方で仕入れた商材を現物のままで折半、不動産の場合には、借入金の半分を私たちの取り分とする。
 また、手形を不渡りにするのは、あと数力月、最低七月の末までは持ちこたえてほしい。
 この条件を全部呑めるなら、私たちが体を張って勝負をかけてもよい、と私は気構えを示してみせた。
「不動産も手形で買えるのか、不渡りになつた場合どうなるのだ」
 山崎は、不動産の手形売買に興味を持ったようだった。私は説明した。
「俺は不動産の資格をもったプロだよ」
 不動産の場合、停止条件付売買契約を結び、支払い手形が万一不渡りとなった場合には、元の所有者に戻るようにする。
 そして、今度の場合には銀行が担保に取る。あとで、裁判になっても、百パーセント銀行の方が負ける。したがって、元の所有者は損害を受けることがない。
 不動産を買う場合、売り手形を使えば百パーセント刑事事件となるが、今度のようにシーホースの手形で買う場合には、民事で逃げられることの方が多い。
 そのためにも二、三回は手形を決済して、元の所有者にいくらかの金が入るようにしてやればいい。一銭も遺らないと、計画をばらされる恐れがある、などと説明した。
 これは取り引き銀行に、損害のすべてを押しつける詐欺である。不動産を手形で買い、この不動産を担保に金融機関から融資を受ける。
 この事案は、融資をした金融機関が被害者になることを、初めから決めて取りかかる詐欺であり、元の所有者も共犯関係で仕組む、取り込み詐欺である。
 こうした詐欺は、利用できる不動産を抱えている仕事師と組むことで成立する大仕事である。また、不動産を手形で買うために、手形の振り出し銀行に、振出人の信用がなければならない。このことは山崎ならではできる仕事であった。そしてこれは、山崎がもつ背景を利用した仕掛けである。
 通常、不動産の売買は、現金取引が当たり前であり、これを手形で売るということは、普通の取り引きとは違う。事件になった時、なぜ手形で売ったのかが裁判の争点になる。
 当然、この点があいまいな場合、売り主側が不利となる。しかし、売り主側が手形の振り出し銀行に、きちんと信用照会をして、その信用を確認してさえあれば、それですんでしまう場合が多いのだ。
 シーホースの場合では、これまでの営業実績や創価学会の関連という後ろ盾があり、信用照会に銀行が答えていた信用度は、それまでの経験から充分に満たされたものだった。
 それゆえ私は、シーホースの手形で不動産を買うことを山崎に勧めたのである。
 さらに、創価学会の顧問弁護士の山崎が銀行に持ち込めば、担保となる不動産の価値に見合つた資金を引き出すことが、充分に可能なことも見込んでいた。
 シーホースを舞台に取り込み詐欺を働き、計画倒産にもっていくという案に乗るかどうかは、山崎自身の判断にゆだねた。--が、やはり山崎は当初からそのつもりだったのだろう。
 私の提案に、待ってましたとばかりに飛びついた。
「よくわかった。シーホースは七月の末まではもたせる。塚ちゃん達の報酬としての分け前のことも、その条件で俺の方はよい。
 ただし、シーホースの社長を丸尾から坂本に変える。丸尾の場合だと俺の義弟で、何かとつらいことが多すぎる。それに、坂本の方がいざという時には根性がある。もうすでに、ある程度のことは坂本に話してある。坂本も承知している。 
 ただ、この仕事はうちの連中ではできない。塚ちゃんの方で全部仕切ってくれ。シーホ一ースの手形は、塚ちゃんが言う通り幾らでも振り出す。銀行からもできるだけ多く手形帳を取り寄せておくが、どの銀行が良いかな。
 今のところ富士銀行の小舟町が一番良いのだが……。あそこの支店長が一番扱いやすい。もちろん他の銀行からも手形は取り寄せておくよ」
 と、山崎は浮かれたように話していた。結局、これでシーホースを舞台にしての取り込み詐欺の計画が、私と山崎の間で確定したことになる。そして私も、この富士銀行が一番望ましいと考えていた
       ---------(76P)-------つづく--

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