熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
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天地玄黄

2009-02-21 21:32:39 | 文章
2月21日(土)、晴れ。

今日は「駒サロン」の日。10時30分、加茂駅を出発し大阪へ。
今日の教材は、「巻菱湖の千字文」。
古い和本を人数分コピーして、皆さんに配布しました。
写真は、いずれも巻菱湖の筆跡本。本日、コピーを配布したのは白地の分です。

ご承知の方も多いでしょうが、千字文の出だしは「天地玄黄(てんちげんこう)、宇宙洪荒(うちゅうこうこう)」。いろいろな漢字1000種類の文字を組み合わせて、4文字ごとに意味のある文章にして書き連ねた書道手本です。
昔からいろいろな書道家がこの千字文を書いていますが、巻菱湖もその一人です。

巻菱湖は、幕末の人で。門人が2000人とも3000人とも言われている書道の大家です。天保年間に亡くなっています。

ところで「巻菱湖書」の駒ですが、これは、巻菱湖が没して80年ほど後に誕生しています。
菱湖さんは、自分の文字が駒に使われるなどとは全く思いもしなかったわけですが、「巻菱湖書」の駒の文字を作ったのは、大阪の将棋指し「高浜禎」と言う人です。彼は、「萬おぼえ帳」という覚書の綴りに、病気で臥せっているときに、菱湖の書道手本の中から駒の文字を抜き出して完成させ、それを豊島龍山に駒の製作を依頼して作らせました。

そのことを見つけたのは、東公平さんです。

「巻菱湖書」は、大変人気のある駒文字ですが、中にはこれが「巻菱湖」さんの文字??。。。と思うようなヘンテコリンな書体で作られているものをよく見ます。

駒づくりのプロアマを問わず、誰かが作った駒をそのままコピーして字母紙に使う人が結構多いのですが、ヘンな駒をコピーすると、更にヘンテコリンが出来上がります。そんな安易なことでは、良い駒はできません。


と言うわけで、今日の「駒サロン」は、巻菱湖さんのオリジナルに迫ろうと、参考資料、研究材料として皆さんにお渡し、お家で駒文字にアレンジすることをお勧めしました。
手本にない文字は、別々の文字の偏と旁を組み合わせると欲しい文字が生まれます。

オリジナルに近い手本の文字を使ってこの作業をすると、巻菱湖さんの筆跡の癖がよく理解できるようになります。
これは駒づくりをする上で、非常にプラスになるので、是非試みられると良いでしょう。ということを申し上げました。

おわり。





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