花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

薩摩切子猪口

2014-12-25 | 日記・エッセイ


『鹿児島国際シンポジウム 医学と複合糖質』が1987年に霧島で開催された。私にとっては初めての国際学会デビューであり、そのBanquetの席での事である。大きな会場の隅のテーブルには下っ端の医師ばかりが集まって「鬼の居ぬ間の洗濯」の宴となり、いわゆる「じゃこ祭り」が大いに盛り上がっていた。その席で鹿児島大学の若い教室員のお一人が謙遜して、「鹿児島の男は西南戦争で逝き、そして先の大戦で逝き、後に残ったのは僕らのようなものばかりです。」としみじみ申された。紛れもなく、歴史ある風土に育まれた新進気鋭の薩摩隼人達であった。
 昨年の日本東洋医学会学術総会は、西南戦争最後の激戦地である城山に建つ城山観光ホテルで開催され、26年ぶりに再び鹿児島の地を踏んだ。写真はその時、磯工芸館で板坂さんにアドバイスを頂いて買い求めた、尚古集成館監修の薩摩切子猪口である。手取りはやや重く、チェストの気概を静かに内に沈めて、穏やかな微笑を浮かべ泰然と佇む感がある。