花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

晩秋│花信

2022-10-29 | アート・文化


  是貞の親王の家の歌合の歌
吹くからに秋の草木のしほるれば むべ山風を嵐といふらむ
   古今和歌集・巻第五 秋歌下   文屋康秀

穭田(ひつじだ)

2022-10-27 | 日記・エッセイ


子曰、苗而不秀者有矣夫、秀而不實者有矣夫 
子の曰わく、苗にして秀でざる者あり。秀でて実らざる者あり。 「論語」巻第五・子罕第九

穭田のあとさき断ちて此処に生ふ 

暁の雨

2022-10-23 | 日記・エッセイ


  佐保山の柞(ははそ)のもみぢ時雨に濡る、といふことを
  人々によませしついでによめる
佐保山の柞のもみぢ 千々の色にうつろふ秋は時雨降りけり
   金槐和歌集   源実朝



秋嶺│花信

2022-10-10 | アート・文化


日を礙(さ)ふる暮山は靑くして簇々(ぞくぞく)たり
天を浸す秋水は白くして茫々(ぼうぼう)たり
   
礙日暮山靑簇簇 浸天秋水白茫茫  白   和漢朗詠集・巻下 山水
(「和漢朗詠集 梁塵秘抄」, p178)

  登西樓憶行簡   白居易
每因樓上西南望 始覺人閒道路長 
礙日暮山靑簇簇 浸天秋水白茫茫  
風波不見三年面 書信難傳萬里腸
早晩東歸來下峽 穩乘船舫過瞿唐
   白氏文集・巻十六  
樓上に因りて 西南を望む每に、始めて覺ゆ 人閒 道路の長きを。日を礙(さまた)ぐる暮山 靑くして簇々たり、天を浸す秋水 白くして茫々たり。風波見ず 三年の面、書信傳へ難し 萬里の腸(はらわた)。早晩 東に歸り來りて峽(けふ)を下り、穩(おだやか)に船舫に乘りて 瞿唐(くたう)を過ぎん。
(「白氏文集 三」, p447-448)

*礙(ガイ、さまたげる):疑は顧みて立ちどまり、凝視する形。石などにさえぎられて、進みえないことをいう。(「字通」, p159)
*さふ(障ふ):妨げる

参考資料:
川口久雄, 志田延義校注:日本古典文学大系「和漢朗詠集 梁塵秘抄」, 岩波書店, 1974
大曾根章介, 堀内秀晃校注:新潮日本古典集成「和漢朗詠集」, 新潮社, 2000
岡村繁校著:新釈漢文大系「白氏文集 三」, 明治書院, 1988
白川靜著:「字通」, 平凡社, 1996



秋澄む│花信

2022-10-09 | アート・文化


  是貞の親王の家の歌合によめる
何人か来てぬぎかけし藤袴 来る秋ごとに野辺をにほわす
   古今和歌集・巻第四 秋歌上   藤原敏行朝臣

本棚・其二│岩波文庫10選

2022-10-08 | 日記・エッセイ


《自分の趣味全開で絶対読んだ方ほうがいいと思う岩波文庫》という企画があったことを最近知った。諸兄諸姉の基調が窺われる選択に触発され、自分も感銘を受けた数多の本から《自分の趣味全開で選んだ座右の岩波文庫10選》(令和四年神無月版)をまとめた。改めて本棚に並ぶ各社の文庫本を眺めると、岩波文庫に限らず、新旧の同じ本が幾冊もあちこちに顔を覗かせるのが御愛嬌である。読み直そうとして何処に仕舞ったのやら、捜すも見当たらずに再度買い求めるという不心得がやたら多い為である。

ところで話題の岡義武名誉教授著『山縣有朋 明治日本の象徴』を早速求めんとすれば時すでに遅し、只今岩波文庫の紙本は重版中であった。電子書籍版は入手可能でダウンロードしたものの、紙本が出回ればまた買い足している様な気がする。
 京都、南禅寺の山縣元帥別邸、無鄰菴の庭園は山縣三名園の一つで、七代目小川治兵衛作庭の日本の原風景を彷彿とさせる池泉廻遊式庭園である。COVID-19蔓延下の入場制限中であるが、秋が一段と深まる時節に再び伺えたらと願っている。