当院駐車場入口に植栽したヤマボウシ(山法師)が、白い花弁のように見える苞(ほう、花のつけ根の葉)を見せる時節になった。大型の白い四枚の葉に囲まれた中央の小さな集合花の部分が本当の花で、秋には球形の集合果が赤熟する。ヤマボウシはミズキ科ミズキ属の落葉高木で、学名はCornus kousa Buerg.、日本では北海道を除く全国の山野に自生する。同じ属のハナミズキ(アメリカヤマボウシ)は北米原産で、学名はCornus florida L.である。ヤマボウシの中国名は四照花、別名は山荔枝で、花や葉から得られる中薬名も「四照花」である。「四照花」の味は苦・澁(じゅう)、性は凉(微寒)で、清熱解毒,収斂止血の効能を有する。その他の部位を用いた生薬の名は「四照花皮」(樹皮、根皮)、「四照花果」(果実)である。
風の香も南に近し最上川 曽良書留 松尾芭蕉
風音を過客と聞けり山法師 春の門 鈴木鷹夫
参考資料:
今栄蔵校注:新潮日本古典集成「芭蕉句集」, 新潮社, 1982
鈴木鷹夫著:「季語別鈴木鷹夫句集」, ふらんす堂, 2007