花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

大和うるわし│日本めまい平衡医学会2022

2022-11-18 | 日記・エッセイ


第81回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会が奈良県コンベンションセンターで開催された。テーマは「めまいの原因を紐解く」で、現地と後日オンデマンド配信の昨今定番のハイブリッド開催である。各めまい疾患の診断基準改定、病態概念の変遷、平衡訓練、平衡機能検査機器の発達など、この領域における日進月歩を改めて認識した。

会場は近鉄奈良線、新大宮駅から徒歩10分の近場で、数年ぶりのリアル学会参加である。それ以上に何十年ぶりだろう、通学・通勤の方達がひしめき合う早朝の列車に乗り込むのは。様変わりした状況は、老若問わず皆が不織布マスクを装用しておられたことである。



令和四年の正倉院展はじまる

2022-11-12 | 日記・エッセイ


第74回正倉院展が奈良国立博物館で開催中である。本年も漆背金銀平脱八角鏡をはじめ数多くの御物が公開された。これら最高の芸術品に物心が付く前から囲まれ培われた審美眼は、長じて鑑賞の機会を得て意図的に学び育んだそれとは、恐らく雲泥の差があるに違いない。
 現代において、受験戦争、やれ偏差値や席次、一流校進学、学位や資格云々に齷齪するのは、露命の身をあれこれ飾り立て成り上がらんとする、所詮、我等一般庶民における行動様式である。これらは後からの自助努力次第、切れ者の御方であれば位人臣を極めることも可能であろう。だが美意識のみならず、風格、見識や居住まい等々、其処に生を享けねば決してその身に備わらないものが、厳然としてあるのではなかろうか。今の世は何処も彼処もボーダーレスが至極当然であるが、かつて痛感した「上つ方とは│第29回日本医学総会にて」(2015/12/25)の述懐をふたたび思い起こさずにはいられない。




秋思のうた

2022-11-11 | 詩歌とともに

春日之社│徳力富吉郎「版画大和路八景」

  秋日   耿湋
返照入閭巷 憂來誰共語 古道少人行 秋風動禾黍
返照閭巷に入る 憂い来りて 誰と共にか語らん 古道人の行くこと少に 秋風禾黍を動かす

いりひさす きびのうらはを ひるがえし かぜこそわたれ ゆくひともなし
   自註鹿鳴集・印象   会津八一

  所思
この道や行くひとなしに秋の暮
   其便   芭蕉


木霊

2022-11-10 | 日記・エッセイ


虚世保身の綱渡りに憂き身を窶せば、護持したはずの真面目(しんめんぼく)は痩せ萎む。それとも初端から損なうものとてない、がらんどうの肚裡か。遥か彼方から大喝一声が木霊する時。

暮秋│花信

2022-11-07 | アート・文化


  山寺秋暮といへる心をよみ侍ける
さらぬだに心ぼそきを 山里の鐘さへ秋のくれをつぐなる
   千載和歌集・巻第五 秋歌下   前大僧正覚忠