花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

澤火革の花鋏

2016-03-31 | 日記・エッセイ


弘法筆を選ばずというが、御大師様に遥かに及ばない私は花鋏を選ぶことにした。超初心者の頃、入手した二丁の鋏が次々と刃こぼれして、最後に辿り着いたのが創業元禄十三年の安重打刃物店である。その大切にして来た筈の鋏を昨年末、正月花を生けた後に何処に置き忘れたのか紛失してしまった。家中捜した挙句に占筮を行なえば、外卦兌、内卦離の「澤火革」を得た。「澤火革」は革命の卦で、根本から改める、改まるの意である。これは新たに求めるしか術はない。正月明けに再びお店に伺って新しい鋏をお分け頂いた。

長さは先の鋏と同じく六寸、女の手にはやや大きく重い鋏である。切れ味は勿論の事、かしめの位置とあそびが絶妙である。鋏を持つと重みで自然に開くので、後は鋏を握るだけでよい。殊更に鋏を使っていると意識に昇らせることなく、あたかも手の先が刃となり、腕を振り払って枝葉を落としている様な一体感である。使った後は刀と同じく手入れを怠らないこと。これは改めてお聞かせ頂いた御当主のお言葉であり、しかと心に留めて二度と花鋏はなくすまい。このたびは花袋の色も真田の赤備え宜しく、学会出張時に連れ歩くSONY VAIO最後のVaio Pro│Red editionと同じく赤色にした。さて、いよいよ明日は年度始めの4月1日である。April Fools’Dayに終わらぬよう、心引き締めて、諸事、改革の年で始めよう。

花甲之年

2016-03-29 | 詩歌とともに





七言絶句の御歌は、花甲之年にあたり陶教授より賜わり、五言絶句の御歌は、上梓なさった御本の裏に高教授が教室で揮毫して下さった漢詩である。初めてお目にかかってから10年以上の月日が流れたが、御夫妻、両先生の牡丹花の様に和やかな御顔が、これからも私の脳裏から褪せることはない。