花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

玉屏風散

2014-12-08 | 漢方の世界
玉屏風散、すなわち屏風を立てて風邪の侵入を防ぐとの意味を冠した、外邪に対するバリアを強化するという効能を持つ方剤がある。体の表面を守る気の不足のために風邪を引き易い、汗が出易いなどを目標に、益気固表止汗の働きを用いて、アレルギー性鼻炎、上気道感染、多汗症状などの疾患に用いられる。玉屏風散を構成する三味の生薬は、気を補う補気薬「黄耆」と「白朮」、そして表邪を取り払う去邪薬「防風」である。待合室には漢方治療を一つの柱とする当院のシンボルとして、これらの三種類の薬草を描いた三幅の絵を掲げている。御来院の折には是非御覧頂きたい。描いて下さったのは、凛とした気品に溢れる花の絵画を得意となさっている稲葉典子先生である。稲葉先生は、それぞれに季節が異なるこれらの薬草の開花の時期を待って、自ら森野旧薬園に出向いて下さり、一年以上の時間をかけて「玉屏風散」の絵画を完成して下さったのである。私は時にお茶代わりに玉屏風散も煎じて飲んでいる。多くの漢方方剤は、保険適用で煎じ薬の処方箋発行が可能であることを最後に付け加えたい。