花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

壇上の御挨拶

2014-12-24 | 日記・エッセイ
何年も前の近畿日本鉄道の株主総会に出た時のことである。会場に所狭しと多くの株主が待つ中で、取締役連や監査人の方々が壇上に上がり次々と着席してゆかれた。そして着席の直前にはお一人の例外もなく、皆、会場に向かって深々と一礼をなさった。その佇まいが殊更に新鮮で清々しく感じられた。そういえば医学関係の学会において、シンポジストやパネリストは自分の発表の番が回って来た時は一応挨拶をするが、この様に壇上で着席する直前に会場に向かってという光景をこれまでついぞみたことがない。一般社会と医療界において、それぞれ常識あるいは非常識とされている線引きが微妙に違うことは決して少なくない。この業界で何時の間にか四分の一世紀以上過ごしてきたが、気が付かぬうちに業界臭が身に染みついているのだろうなと、己を振り返り反省した一日であった。



その業界watchingであるが、開業医になってから発見した事実がある。耳鼻咽喉科関連以外の研修会や講習会にもつとめて参加するように心がけて周囲を秘かに観察していると、老若男女、所属する科も関係なく、昼食に配られた弁当を15分過ぎてもまだ食べているという医師はごく少数派であるのだ。改めて日本耳鼻咽喉科学会と日本東洋医学会の参加者を比べると、前者の方が食事の早い方が多い様に感じる。これは後者に所属する漢方医は、ゆっくり食べるということを食養生として捉えているからであろうか。今はやりのエビデンスはなく、あくまで私の印象だけの話であることをお断りしておく。ところではるか昔の研修医時代に習得した、これだけは人に負けるかと秘かに誇っていた「早食い」なのであるが、年のせいなのか、学会のランチョンセミナーで気がつけば既に回りはもう食べ終わっているという状況がこの頃多くなってきた。なお私の両親はさらに古い時代に修練を受けた人間なので、配られた弁当をぱくつきながら講演を拝聴するランチョンセミナーの話をかつて初めて伝えた時、昨今は口を動かしながらお人の御講演を伺うのか、まこと情けない時代になったものだ、と大いに憤慨していた。

本日は午前診療から午後診療まで昼食抜きの切れ目なしの診療になった。A型インフルエンザ発症もますます増加してきた。時節柄、皆様くれぐれも御身お大切に。