花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

消夏│花便り

2022-06-19 | アート・文化


  消夏   袁枚
不着衣冠近半年  衣冠を着けざること 半年に近く
水雲深処抱花眠  水雲深き処 花を抱いて眠る
平生自想無官楽  平生 自ら想う 無官の楽しみ
第一驕人六月天  第一 人に驕らん 六月天

一海知義著:「漢詩一日一首 春・夏」, p315-316, 平凡社, 1982

*袁枚著『小倉山房詩集』、消夏詩十一首書扇寄何孝廉(消夏の詩十一首、扇に書し何孝廉に寄す)其一である。明治期の和刻本『清廿四家詩』にも収載。

夏山│花便り

2022-06-18 | アート・文化


  夏日山中   李白  
嬾搖白羽扇  白羽扇を搖がすに嬾し
裸體靑林中  裸體靑林の中
脱巾挂石壁  巾を脱して 石壁に挂け
露頂灑松風  頂を露はして 松風を灑ぐ

久保天隨訳注:「李白全詩集」第三巻, p437-438, 日本図書センター, 1990




風の便│花便り

2022-06-15 | アート・文化

オトメユリ(乙女百合)、別名ヒメサユリ(姫小百合)、学名 Lilium rubellum Baker

涼しやと風の便を尋ぬれば 茂みに靡く野べのさゆり葉  
   式子内親王集・夏   式子内親王



貴台の道

2022-06-04 | 日記・エッセイ


「若い時の苦労は買ってでもせよ」との言葉がある。障碍を飄々と飲み下しおのれの血肉と化す、そのような強靭な肚があってこそ辿り得る到達点である。「ダイヤモンドは傷つかない」であるが、哀しいかな、生身の人間はあまりにも脆い。試練の隘路を漸う通り抜けたら歪み壊れることもある。あらまほしきは、どのような境遇でも其処から糧を掴み明日に繋ぐレジリエンスである。転んでもただでは起きない。地に転がり地に這うからこそ、その眼に開陳されるパラレルワールドがある。

濁世の毀誉褒貶に晒され満身創痍になろうが、芯がぶれることなく、貴台の道は一以て之を剛毅に貫く。その様な御方を心から尊敬する。