A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

昔懐かしい曲の演奏も、好アレンジとバックの好演に支えられると・・・

2015-01-07 | PEPPER ADAMS
Creole Cookin’ / Bobby Hackett

ボビーハケットは、最初はビックスバイダーベックに憧れるシカゴ派のコルネット奏者だった。いわゆるオースティンハイスクールギャングの面々よりは一回り若い。エディーコンドンなどとプレーした後は、グレンミラーなどオーケストラでの演奏が中心になる。そして、戦後はジャズというよりはムードトランペットの世界で一躍有名になった。
昔、トラッド、スイング系を良く聴いていた時には彼の名前は良く耳にしていたが、ジャズ奏者としての演奏は1955年のコーストコンサート以降は聴いた事が無かった。

最近はアルバムを持ってはいなくとも簡単に演奏を聴く事ができる。そして、YouTubeを見ると音楽に併せてハケットの色々な写真や映像を目にすることができた。晩年でも決してジャズを忘れていた訳ではなかったし、アメリカでの人気の程を窺い知ることができる。その中で1962年の映像が目に留まった。テレビ番組の映像だとは思うが、ピアノがデイブマッケンナ、トロンボーンがアービーグリーンだ。こんなメンバーともやっていたのかと。楽しいディキシーの演奏だ。



ここでクラリネットを吹いているのが、先日紹介したライオネルハンプトンの音楽生活50周年の記念コンサートで、ベニーグッドマン役を務めたボブウィルバーである。スイング系のクラリネット、ソプラノサックス奏者として、コンコルドレーベルの初期にはケニーダーバンとのコンビでアルバムを残しているが、好きなアルバムであった。

1967年にこのボブウィルバーがアレンジャーとしてボビーハケットの為にアルバムを作った。この当時、ハケットはトニーベネットのツアーに一緒に参加していたという。60年代の後半というと、メジャーレーベルでは大編成のオーケストラをバックにしたアルバムが多く作られた時代であるが、この手のアルバムは、アレンジ次第で面白くもつまらなくもなるものだ。

プロデューサーのボブモーガンとウィルバーが用意したのはディキシーの名曲ばかり。ハケットがまだ駆け出しの頃、バイダーベックを目指して日々演奏していた曲だ。これらのニューオリンズジャズの原点ともいえる名曲をハケットとウィルバーが今風に料理したので、タイトルのクリオールクッキンという名前も付いたのであろう。

素材が素材だけに、ハケットのプレーはムードトランペットというよりはスインギーなメリハリのついたプレーとなっている。それを支えるウィルバーのアレンジが素晴らしい。ディキシースタイルを単に大編成にしたというのでもなく、かといって良くあるスイングオーケストラ風にしたのでもなく、自分の好みのモダンスイングなサウンドに仕上げている。なかなかいい感じだ。やはり、この手のアルバムはアレンジャーの腕とセンス次第で良くも悪くもなる。

もちろんハケットのソロが前面に出ているが、ボブブルックマイヤーのトロンボーンのデュエットやウィルバーのソプラノサックスのソロも印象的だ。その昔、ニューオリンズジャズが、シカゴに来て泥臭さが抜けて白人好みになってシカゴジャズになったのと同様、今回の料理はニューヨークモダンに仕上がったともいえる。

このバックのオーケストラのメンバーに、ボブブルックマイヤーだけでなく、ジョーファレル、ジェリーダジオン、そしてペッパーアダムスなど、当時のサドメルのオーケストラの面々が参加している。アダムスにとっては、デュークピアソンに付き合って、ブルーノートのアルバムへの参加が多かった中で、少し毛色の違ったレコーディングであった。

後に、このアルバムのアレンジをしたボブウィルバーが語っている。「このアルバムはハケットの希望もあって、慣れ親しんだ曲ばかりだがすべて今までとは違ったチャレンジをしている。それを実現できたのも、それを理解して演奏してくれるプレーヤーがいたから。ペッパーアダムスは自分の意を組んでくれるバリトン奏者だ」と。

サドメルのメンバー達が一発勝負の"Hawaii”を録音した一週間にこの録音はスタートしたが、5月まで録り直しを含めて4回に分けてじっくり時間をかけて録音されたアルバムだ。

1. High Society
2. Tin Roof Blues
3. When The Saints Go Marching In
4. Basin Street Blues
5. Fidgety Feet
6. Royal Garden Blues
7. Muskrat Ramble
8. Original Dixieland One Step
9. New Orleans
10. Lazy Mood
11. Do You Know What It Means To Miss New Orleans
12. To Miss New Orleans

Bobby Hackett (cornet)
Rusty Dedrick, Jimmy Maxwell (tp)
Bob Brookmeyer, Lou McGarity, Cutty Cutshall (tb)
Bob Wilber (cl, ss, arr)
Jerry Dodgion (as)
Zoot Sims (ts)
Pepper Adams (bs)
Dave McKenna (p)
Wayne Wright (g)
Buddy Jones (b)
Morey Feld (ds)

Produced by Bob Morgan
Engineer : Val Valentin
Recorded on January 30, February 2, March 13, May 2, 1967, NYC

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