A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

2人の“ジョーンズ”のアレンジャーとしての飛躍の原点はやはりベイシーか・・・・

2008-01-08 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
BASIE ONE MORE TIME / Count Basie

オーケストラとアレンジャーの関係は実に微妙だ。
リーダーが自らアレンジをする場合は、自分の考えたアレンジをいかにイメージどおり実際に演奏できるかにこだわるであろう。
一方で、アレンジを行わないリーダーはいかに自分のオーケストラのプレーを引き立たせてくれるアレンジを提供してくれるかをアレンジャーに求めるであろう。
どちらにしても、このバランスが合ったときにオーケストラとしての最高の演奏が聴ける。

カウントベイシーは、自らはアレンジを行わないタイプ。アレンジどころか譜面を読むのも苦手だったとか。盟友のエリントンとは好対照だ。
このカウントベイシーのオーケストラに曲を提供したアレンジャーはたくさんいるが、ベイシーオーケストラのアンサンブルに新風を吹き込んだのは、やはりクインシーとサドの2人の「ジョーンズ」だろう。
奇しくも、2人ともベイシーへのスコアの提供を契機として自分、その後自分のオーケストラを編成することになる。やはり、自分のやりたいことを思う存分やるには自分のバンドを持たなければということだろう。

57年にルーレットレコードに移籍したベイシーは、それまで以上に多くのアレンジャーを起用してオーケストラのサウンドを広げようとした。白羽の矢を立てた一人に、ガレスピーのオーケストラで本領を発揮し、その後自己のアルバムを出して作編曲家として売り出し中だったクインシーがいた。そして、バンドのメンバーであったサド・ジョーンズやフランクフォスターにもアレンジを提供させた。
サド・ジョーンズのアレンジは段々複雑になり最後はベイシーのお気に召さなくなったという話であるが、一方のクインシージョーンズのアレンジは簡素で効果的な味付けだ。
アレンジ自体が実にメロディックなのも特徴だ。このクインシーの醸し出すサウンドがベイシーオーケストラのソフトなアンサンブルと実に良くマッチする。

このアルバムでは、曲もすべてクインシーが作曲したものが選ばれている。
過去にハリー・アーノルド楽団のために書いた名曲”The Midnight Sun Never Sets“や”Meet B.B.”ガレスピーのワールドツアーのために書いた”Jesica's Day”、そしてレナホーンに捧げた”For Lena And Lennie”は、その後自分のオーケストラで有名な”Quintessense”というアルバムにも・・・。
クインシーのお馴染みの曲が収められ、ベイシーのアルバムというよりは”Quincy Jones Song Book”という様相だ。それに、アレンジはベイシーのために今回書き下ろしたもの。
元々良い素材であるクインシーの曲が、ベイシー風の味付けによって一段と引き立つ。
クインシーは演奏には参加していないが、トランペットセクションには良きライバルであるサド・ジョーンズの姿も。クインシーの曲を演奏しながらサド・ジョーンズも自分の音作りに想いを巡らせていたことであろう。
そして、クインシーが自分のオーケストラを立ち上げヨーロッパに赴いたのは、このアルバムが録音された年の59年。このアレンジを書きながら、すでに自分のオーケストラの構想を練っていたのであろう。
自己のオーケストラでも、ここで演奏された曲を何曲も取り上げている。
ベイシーを超えるオーケストラを目指して。

1. For Lena And Lennie
2. Rat Race
3. Quince
4. Meet BB
5. The Big Walk
6. The Square At The Round Table
7. I Needs To Be Bee'd With
8. Jesica's Day
9. The Midnight Sun Never Sets
10. Muttink

<Personnel>
Snooky Young, Thad Jones, Wendell Cully, Joe Newman (tp)
Al Grey, Henry Coker, Benny Powell (tb)
Marshal Royal(as,cl), Frank Wess (as,ts,fl)
Frank Foster, Billy Mitchel (ts)
Charlie Fawlkes (bs)
Count Basie (p)
Freddie Green (g)
Eddie Jones (b)
Sonny Payne (dr)

Arranged by Quincy Jones

Recorded at :N-YC, Dec 19, 1958 (1,2,4,5,9)
Chicago, Jan 23 & 24, 1959 (3,6,7,8,10)

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