A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

1969年は始まりの年・・・・

2011-12-13 | MY FAVORITE ALBUM

Presenting Mike Price Jazz Quintet in Tokyo , Japan


由紀さおりとピンクマルティーニの「1969」というアルバムがアメリカで流行っているらしい。アメリカだけではなく世界中で発売されるとのこと。それに影響されて日本でも話題になってきた。特別大きな仕掛けがあるわけではなく、基本的には日本語で1969年当時の歌をストレートに歌っている。由紀さおりの歌を綺麗に浮き彫りにするマルティーニのバックも秀逸だ。彼女の持つ声の質は外人にはなかなか出せないらしい。外国人には日本の歌独特の節回しとその声の質が新鮮に聞こえるのだろう。
彼女はお姉さんタイプの女性としての魅力もあるが、歌を改めてじっくり聴いてみると、確かに日本語を綺麗に歌っていい感じだ。アメリカで流行った日本人の歌というと、昔、坂本九のスキヤキがヒットしたが、今回はアルバム単位でのヒット。長年欧米化の波に日本の経済も文化も流される時代が続いたが、いよいよ日本の歌の本格的な海外進出で日本の伝統の復活が期待できるかもしれない。

1969
由紀さおり
EMIミュージックジャパン



さて、1969年は自分にとっても思い出深い年だ。丁度大学受験を目指した浪人時代でジャズ喫茶に入り浸っていた時。70年安保を控え学生運動が一番ピークの時代。安田講堂の紛争で東大の受験が無くなった年だ。改めてこの年の年表を見ると、アポロの月面着陸(もっとも最近はメイキング映像とも言われているが)、東名高速の全通、銀行ATMの登場、など新しい時代に向けて60年代最後の節目の年であったことが分かる。

音楽の世界では60年代を象徴するビートルズの全盛期。ポピュラー音楽の世界も大きく変化をしていた。この年、アメリカでは若者の集るロスのウィスキ―アゴーゴーに、場違いともいえるバディーリッチオーケストラが出演していた。スイング時代の遺物ともいえるビッグバンドをバディーリッチは若いメンバーで固めて、伝統的な4ビートに加えて、若者にも訴える8ビートの曲を前面に出して、そのパワーとドライブ感溢れる演奏で若い聴衆を圧倒していた。バンドの若いメンバーの中で、サックスセクションを引っ張っていたのはアルトのリッチーコール。テナーのパットラバーベラ、そしトランペットセクションでファーストを吹いていたのはバークレーを出たてのマイクプライスだった。



その後マイクプライスは、西海岸を中心に活動していたが、74年になると秋吉敏子が立ち上げたビッグバンドに加わりレコーディングにも多く参加した。当時の西海岸の錚々たるメンバーが加わっていた敏子のバンドだが、このマイクプライスはトシコのバンドの一員として何度も日本を訪れている内に、いつのまにか日本に居ついてしまった。
その後、原信夫とシャープス&フラッツにも加わり、今ではすっかり活動の場を日本において活躍している。ビッグバンド好きの自分としては、彼のビッグバンドのライブには何度も足を運んでいるが、クインテットの演奏を聴く機会は無かった。その彼が、初のクインテットのリーダーアルバムを出し、先日発売記念のライブがあったので出かけて見た。

初めて聴くプライスのクインテットの演奏であったが、予想以上にい良い演奏だった。その昔、フリーとかフュージョンの旋風が吹き荒れた時、古き良き伝統に根ざしながらも新たな流れを取り込んだ演奏に「新主流派」なる命名がされたが、このマイクプライスのクインテットはその言を借りれば「“新”新主流派」とでもいってよいグループだと思う。
ドラムの稲垣はプライスと同じシャープス&フラッツの同窓生。どちらもビッグバンドの伝統を愛する2人。小編成といってもきっちりアレンジされたアンサンブル、それに続くソロの展開は個性の強いメンバーの集まりなので、クインテットとは思えない多彩な表現力を持っている。それにはピアノの田中裕士の存在が大きい。ジャズだけでなく、彼が持ち合わせている幅広い音楽の素材が随所で散りばめられている。

寡聞にして知らなかったが、今回のアルバムはプライスの初アルバムだったようだ。このCD発売を機にビッグバンドを含めてますますの活躍に期待したい。
今思い返せば我々世代にとって、1969年はひとつの節目の年であったようだが、世の中が混沌としている今の時代、小手先の対応ではなく大きな世直しが必要だ。次なる展開に向けて来年は大きな節目の年にしたいというのが皆の願いだろう。団塊の世代はまだまだ元気だ。マイクプライスに負けないように頑張ろう。

MIKE PRICEの経歴はこちらでたっぷりと






1. SPIRALIZATION
2. TOUCH & GO
3. A MINGUS AMONG US
4. IMAGERY
5. "CHARLIE, FROM JUST AROUND"
6. TUTU'S BIRD OF PASSAGE
7. TRUE LOVERS DREAM
8. CATCH AS CATCH CAN
9. TOHRYANSE (folk song)
10. FOR THE LOVE OF JAZZ
11. URGENCY

Mike Price (tp,fh)
Masanori Okazaki (ts)

Hiroshi Tanaka (p)
Tadashi Saze (b)
Yoshinobu Inagaki (ds)

Produced by Mike Price
Engineer Akihito Yoshikawa & shinya Matsushita
Recorded at DeDe Studios, Tokyo Japan March 30&31 2011

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