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A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

色々新しいことにもチャレンジしたが、やはりビバップオリエンテッドな演奏で・・・・

2015-06-19 | CONCORD
Bebop and Beyond / Mel Martin

コンコルドレーベルの発祥の地は、その名の通りコンコルドであった。サンフランシスコのダウンタウンから東へ湾を渡り小一時間、オークランドを通ってその先にある郊外のベッドタウンである。デイブブルーベックの出身地であるが、地元のカーディーラーであったカールジェファーソンが町の名前をそのままレーベルにしたものだ。
同じ西海岸、そしてカリフォルニアといっても、サンフランシスコはロスやハリウッドとは気候や産業も全く異なり、違う雰囲気の場所だ。

西海岸のジャズというとロス&ハリウッド周辺が中心だが、ベイエリアといわれるこの地域で活動するジャズミュージシャン達もいる。スタジオワークが中心のロスとは違って、この地域は純粋にジャズをやりながら、作編曲やスタジオワーク、そして教育者でもあるミュージシャンが多い。
気候の違いと同様、ロス中心のカラッと晴れた感じのウェストコーストサウンドとは違うサウンドを聴かせてくれる。

そのベイエリアのミュージシャンの一人にメルマーティンというサックス奏者がいる。サンフランシスコを拠点として活動を続けてきた。1980年代になってジャズ界でフュージョン色が強くなった時、流行のフュージョンのバンドを作りレコーディングも行った。
しかし、その後思う所があったのか地元の仲間達とストレートアヘッドなグループを新たに編成した。当時本人自体は無名に近かったが、他に参加したメンバーの中ではアルトのジョンハンディ、そしてピアノのジョージケイブルスが全国区のプレーヤーであった。

バンドの名前は、Bebop and Beyond。その名の通り、ビバップに根差したメインストリームジャズを演奏するグループであった。確かに時期的にはフュージョンブームの真最中であったが、同時にメインストリーマーが復帰をしていた時でもあった。

このメルマーティンはこの時すでに40歳を過ぎており、新人というよりはすでにベテランの域に達していた。他のメンバーも若い頃にはハードバップを経験した皆同じ年恰好である。時代の流れに合わせて色々やったが、自分がジャズをやり始めた時の演奏に再チャレンジすることになった。

そして、この新しくできたグループにアルバム制作の機会を与えたのが地元のコンコルドレーベルであった。丁度この所ミュージシャン自らプロデュースしたアルバムが続くが、これもその一枚となった。御大のジェファーソン以下、レコーディングエンジニアやスタジオもお馴染みのいつものスタッフが参加せず、すべてマーティンにお任せのレコーディングとなった。

曲はマーティンの他にメンバー達の自作曲もあるが、タッドダメロンのOn A Misty Night、そしてモンクのEvidence, Monk’s Moodも加えている。その辺りがグループの名前にBebopを入れている所以であろう。この前紹介したバリーハリスのアルバム同様、グループのスタイルが根差している所は「ここだ」ということをはっきりさせたかったのかもしれない。

マーティンがライナーノーツで語っているように、「皆が今までの長い演奏経験を最大限に生かした吹っ切れた演奏ができた」というのも、軸足をビバップに置いて心置きなく演奏できたことの成果のような気がする。

演奏自体はフュージョンの雰囲気を微塵も感じさせないストレートアヘッドな演奏だ。グループとしてその後のアルバムは聴いていないが、モンクの曲集とか、ディージーガレスピーの曲集などが続いた。ガレスピー曲集ではゲストにガレスピー本人を招いたアルバムも招いてビバップの再演色を濃くしていた。あまり過去を意識しすぎると今度は「飛んだ演奏」ができなくなってしまうのが世の常なのでバランスが難しい。



このグループは、メンバーは変っても比較的最近まで活動していたグループのようだ。そしてマーティンは最近ではベニーカータートリビュートバンドを率いているようだが、マーティンにとっては、ここでの演奏が80年代以上の活動のベースとなったグループであり演奏スタイルだ。そして、このアルバムがローカルで活動するミュージシャンのお披露目の場であったことは間違いない。。

1. Longhorn               Mel Martin 7:55
2. On A Misty Night         Tadd Dameron 5;24
3. Moon Magic             Frank Tusa 6:41
4. Super Trooper          Eddie Marshall 4;25
5. Evidence            Thelonious Monk 8:30
6. Monk’s Mood          Thelonious Monk 5:21
7. One For All            Mel Martin 8:38

Warren Gale (tp,flh)
John Handy (as)
Mel Martin (ts)
George Cables (p)
Frank Tusa (b)
Eddie Marshall (ds)

Produced by Mel Martin
Recordhing Engineer : Robin Yeager
Recorded at Tres Virgos Studio, San Rafael, California, February 1984
Originally released on Concord CJ-244

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (ルネ)
2015-06-19 20:25:16
うーん、聴いてみたい、とアマゾンやユニオンを検索するも、在庫なし・・・ 気長に探してみます・・・
しかし、渋いところをよくご存じですね~、素晴らしいです。
返信する
ネタバレですが・・・ (YAN)
2015-06-20 19:41:18
ルネさん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

1984年前後というと、会社勤めも10年近く経ち。懐具合が良くなったこともあり、この頃は好きなConcordのアルバムは出た物は皆買い求めてました。

自由になるお金が増えるのに反して、聴く時間は減る一方で、一度聴いてお蔵入りというアルバムも多くあります。

そこでこおブログを始めたのをきっかけに、棚卸という事に相成りました。

コンコルドのアルバムを順番に棚卸してくると、メジャープレーヤーに混じって、このようなアルバムにも良く再会します。

良く知っていて買い求めたのではなく、たまたま買い求めた中に混じっていたというのが本音の所ですが・・・・
改めて聴き直すと渋い良いアルバムが多く、持っていて良かったと一人悦に入ってます。



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