A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

左手だけでなく、レパートリーの豊富さが・・・

2016-12-19 | CONCORD
The Key Man / Dave Mckenna

今では大メジャーレーベルになってしまったコンコルドレーベルだが、カールジェファーソンが直接プロデュースしていた時代のコンコルドレーベルは、中身もミュージシャンも彼の拘りが直接反映したストレートアヘッドな演奏が大部分であった。その中には一枚限りのアルバムとなった無名のプレーヤーもいたが、そこを定住の場所として多くの作品を残したミュージシャンも多い。

スコットハミルトンやクレイトンブラザースのように、ここでアルバムデビューをして順調にスター街道を登りつめた者もいるが、ローズマリークルーニーやメルトーメのようにすでに頂点を極めたベテランが、ここを最後の安住の地として再び花を咲かせたスターも多い。

それらのベテランの中にピアノのデイブマッケンナがいる。中間派のピアニストとして一定の評価をされてはいたが、評価を確たるものにしたのはこのコンコルドでの活躍だと思う。

ズートシムスの初期の名盤として、「Down Home」というアルバムがあるが、ここでのピアノがこのマッケンナであった。60年代の初頭というとシムスはアルコーンとの双頭コンビを組んでいた頃だが、この頃マッケンナとシムスは良く一緒にセッションをしていた仲だ。スイングスタイルのピアノに甘んじてていた訳ではなく、仲間と一緒に切磋琢磨していた。

この仲間達には、ジミーレイニー、ジムホール、ボブブルックマイヤー、そしてペッパーアダムス達がいた。この様子は、以前JAZZ Loftで紹介したこともある。ハードバップ、ファンキーの演奏が世の中を席巻していた時期だが、彼らがその頃演奏していたジャズもまた歴史の一幕であり、彼らのその後の活躍の礎となっていた。

マッケンナがコンコルドレーベルに初めて登場したのは、ジェイクハナ&カールフォンタのライブアルバムだったが、その後、スコットハミルトンを初めてとしてコンコルドレーベルの面々との次々と共演を重ね、オールスターズにも参加し、コンコルドレーベルの看板スターの一人となった。

誰とでも上手くやれる一方で、マッケンナのもう一つの側面は、ピアノソロの素晴らしさだ。ジェファーソンはそこに目を付けた。すぐにソロアルバム"Giant Steps"を作った。その後も嗜好を変えながら何枚も作られていった。このアルバムもその一環だ。

ジャズピアノにも色々スタイルがあるが、ピアニストとして個性がより色濃くでるのはソロでの演奏だ。ジャズでは主役は管楽器になりがちだが、メロディー、ハーモニー、リズムを一人で完結できるのはピアノ、ギターなどだ。メンバー紹介では、ピアノやギターはリズムセクションの一員として紹介されることが多いが、ソロになると自由自在な3要素の組み合わせ方が個性を作り上げる。
マッケンナの得意技はリズミカルな左手のベースラインで、これはなかなか余人をもって代えがたい。特にモダン以降のピアノでは。

もうひとつ加えるとすると、オリジナル曲ではなくスタンダード曲中心のレパートリーの多さだ。いわゆるジャズのスタンダードに限らず古い歌物からとドラディショナルまで幅広い。このアルバムもしかりである。子供の頃からラジオで聴いた曲をすぐに弾いていたというから、曲を覚えるのは天性のものかもしれない。ソロでクラブに出るときは、左手だけでなく、このレパートリーの広さが物を言うのだろう。まさに鍵盤を自在に操るキーマンだ。

1. Singing the Blues
2. Yours Is My Heart Alone
3, A Garden in the Rain
4. Don't Be Blue
5. Golden Earrings
6. Louisiana
7. London by Night
8. I'll Be Your Friend with Pleasure
9. We'll Meet Again
10. The Gypsy

Dave Mckenna (p)

Produced by Carl Jefferson
Engineer : Howard Johnson
Recorded at Different Fur Recording, San Francisco, August 1984


Originally released on Concord CJ-261

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