A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

グラミー賞受賞に気分を良くし、昔からの仲間とのびのびと・・・・

2015-12-25 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
I Just Want To Sing / Joe Williams & Friends June 1985

先日カウントベイシーオーケストラのライブが行われたが、今年はベイシーオーケストラが誕生して80周年になるという。ベイシーオーケストラはシナトラなど有名ボーカリストのバックも務めたが、一緒によくツアーにも参加した歌手といえばジョーウィリアムスとなる。
ジョーウィリアムスが初めてカウントベイシーオーケストラに参加したのは1954年、35歳の時であった。それまでもウィリアムスは歌手として活動はしていたが、病気がちであり、劇場のドアマンや化粧品のセールスなどを行いながらの下積み生活をおくっていた。
ベイシーオーケストラに参加したのを機に、ジョーウィリアムスは一躍有名になり、以降専属歌手ともいえる程ベイシーオーケストラとは相性が良く一緒に活動した。残されているアルバムもベイシーと一緒のものが多い。

そのウィリアムスが1984年にDolosレーベルでリーダーアルバム”Nothin' But the Blues”を作った。ベイシーの元を離れ、あるいは誰かとの共演という訳でもなく、ウィリアムス自身が独り立ちしてリーダーとなり得意なブルースを歌ったアルバムだ。
これが1984年に発売されたアルバムの中からグラミー賞の男性ボーカル部門でノミネートされ、目出度くベストアルバムに選ばれる。ウィリアムとしては還暦を過ぎ、70歳に近くなってからの初受賞であったが、やっとソロ歌手として認められたということになる。
このアルバムはベイシーがまだ存命中の1983年に録音されたものだが、グラミーにノミネートされたこと、そして1985年2月のグラミー賞受賞の発表を知ることもなく、ベイシーは1984年4月にこの世を去ってしまう。

グラミー賞の受賞を受け、ウィリアムスは翌年再びアルバムを企画する。この年はウィリアムスにとって歌手生活をはじめて50周年の節目の年であった。実はこの年は、ベイシーオーケストラにとっても50周年。奇しくもベイシーオーケストラとウィリアムスは同じ年に活動を始めたことになる。これも何かの縁かもしれない。

ウィリアムスは、昔から一緒に演奏した仲間と一緒に、世話になったベイシーを悼み新アルバムを作ろうと思った。そのためには普段の仲間だけではなく一緒にベイシーオーケストラで演奏した仲間達にも声を掛けた。その結果、エディーロックジョーデイビス、サドジョーンズなどの旧友達も駆けつけた。サドジョーンズは、ベイシーの死後オーケストラを引き継いだが、生活の拠点はデンマークであった。ちょうどこの時はオフであったが、コペンハーゲンから遠路レコーディングのために駆けつけた。サドジョーンズはベイシーオーケストラで一緒であっただけでなく、自らのオーケストラでもレコーディングを行い、ステージを共にした仲であった。
他のメンバー達も、レギュラーの仕事を休み、他の仕事をキャンセルしてこのセッションに駆けつけた。ウィリアムスの受賞の祝福と、ベイシーの追悼の両方の意味があったからであろう。



ウィリアムスとプロデューサー兼アレンジャーのジェリーピータースは選曲やアレンジにも色々知恵を絞った。
前作がブルース大会であったのに対してここではベイシーナンバーに拘らず色々な曲を歌っているが、アレンジもコテコテのブルースから、バラードやボサノバまで。ソロシンガーとしてウィリアムスの色々な顔を引き出している。これも一緒にお膳立てを手伝った友人達がいたからだろう。

このセッションに駆けつけたサドジョーンズ。この後、秋にはベイシーオーケストラを率いてツアーを行い、日本にも来日して元気な姿を見せてくれた。しかし、その後は病のために満足な活動はできずデンマークに戻ることに。
せっかく日本で企画した新生ベイシーオーケストラのアルバムにも参加できず、ベイシーオーケストラもフランクフォスターに任せることになった。ちゃんと調べてはいないが、もしかしたら、このセッションがサドジョーンズのラストレコーディングかも知れない。

ジョーウィリアムスにとっては、長い歌手生活の集大成とでもいえるアルバムだが、周りの仲間達の人生模様が織り込まれたアルバムとなった。

1. Corner Pocket: Until I Met You       Freddie Green / Don Wolf 3:20
2. After You've Gone          Henry Creamer / Turner Layton 4:50
3. Fat and Forty                     Al Hibbler 5:06
4. War No More                    Joe Williams 3:20
5. It's Not Easy Being White         J.Deering / Bromley 3:30
6. Dimples           James C. Bracken / John Lee Hooker 5:09
7. Young and Foolish        Albert Hague / Arnold B. Horwitt 5:00
8. I Was a Fool                     Johnny Pate 3:40
9. I Got It Bad and That Ain't Good  Duke Ellington / Billy Strayhorn 7:00
10. What a Difference a Day Made Stanley Adams / María Mendez Grever 4:00
11. Sawmill Blues                    W. Wilson 5:40
12. It's Later Than You Think       Johnny Pate / Joe Williams 4:20
13. All the Things You Are    Oscar Hammerstein II / Jerome Kern 4:36

Joe Williaams (vol)
Thad Jones (tp)
Eddie "Lockjaw" Davis (ts)
Benny Golson (ts)
Norman Simmons (p)
John Collins (g)
John Heard (b)
Gerruck King (ds)
Jerry Peters (arr, keyboard)

Produced by Joe Williams, John Levy, Johny Pate
Engineer : John Eargle
Recorded at Ocean Studio A, Los Angels on June 25/30, 1985

I Just Wanna Sing
クリエーター情報なし
Delos Records
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