A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ニューポートでの再会を機に、すぐにレコーディングとはなったものの・・・

2014-11-05 | PEPPER ADAMS

Presenting Joe Williams and the Thad Jones / Mel Lewis Jazz Orchestra / Joe Williams



ペッパーアダムスは9月22日のスタンレータレンタインのアルバムの録音の後、9月30日にはこのアルバムにも参加している。アダムスの出番はCome Sundayで少しだけだが、さて、どういう経緯でこのアルバムが生まれたかというと・・・。

1966年に誕生したサドジョーンズ・メルルイスオーケストラは、毎週月曜日にヴィレッジバンガードに出演を続け、あっと言う間に世の中に知れ渡ることになる。そして、トントン拍子にその年のニューポートジャズフェスティバルへの出演も決まり、7月2日の夜の部のトリを務める。



当時のプログラムを見ると、メルルイス・サドジョーンズオーケストラとなっており、ボブブルックマイヤーとハンクジョーンズが共演となっている。当時のメンバーの知名度の一端を表しているようだ。そしてそこに、共演ジョーウィリアムの記述も。
蛇足ながらゲッツにアル&ズート、そしてジェリーマリガンの加わったハーマンオーケストラにも惹かれる。

さらに、記録を見ると、その時演奏された曲は、
The Second Race
Willow Weep for Me
The Little Pixie
Big Dipper
に続いて
Come Sunday
Jump for Joy
Roll ‘em Pete
と続く。

この3曲でジョーウィリアムの登場となった。

サドジョーンズとジョーウィリアムは長年カウントベイシーオーケストラで一緒にプレーした間柄、それも50年代後半の全盛期アトミックベイシー時代を一緒に過ごした旧知の仲である。出演が決まったサドジョーンズがジョーウィリアムスリアムスに声を掛けたのか、主催者のジョージウェインが2人のマッチメイクをしたのかは定かではないが、久々のビッグバンでの共演であった。

5月にサドメル初のスタジオ録音を終えてニューポートの舞台に臨んだが、このニューポートの共演で2人は早速レコーディングを思いついたのだろう。早々に9月30日にこのレコーディングは行われた。

このアルバムは、以前紹介したこともあるが、サドメルのアルバムの一枚という位置づけでもあるが主役はジョーウィリアムス。ウィリアムスにとってもベストアルバムの一枚になるのではないかと思う。ジョーウィリアムスがベイシーオーケストラに入った時から、自分をブルース歌手とは規定することは無く、スタンダードやバラードもレパートリーに加えていた。ここでも全編ブルース色が強いが、あくまでもジャズ歌手というジョーウィリアムスの良さを引き出している。もちろんそれはサドジョーンズのアレンジの秀逸さによるものだ。

当時メンバーの一員であったエディダニエルスは後に当時を振り返って、「月曜日は夜中の3時近くまでヴァンガードで演奏をした後で、そのままスタジオ入りして一日仕事が続き、翌朝になってしまうのは日常茶飯事。時には更にもう一晩続いて次の日の夜が明けることもあった。この録音もそんなセッションのひとつであったと。」
「さらに、何せジョーンズがこのアレンジを始めたのはヴァンガードの仕事が終わってから、写譜屋さんを従え突貫作業で仕上げていった。ジョーンズはこのようにプレッシャーを受ける中での仕事を好んでいたようだ。」と。

事実、サドジョーンズはペッパーアダムスの送別アルバムでもあったモニカジタールンドのアルバムのアレンジを移動中のバスの中で行ったという。典型的なギリギリにならないと仕事をやらないタイプだったのだろう。



記録によるとこのアルバムのレコーディングは9月30日に行われたとある。この日は金曜日、最後の曲Woman's Got Soulのセッションを録り終ったのは土曜日の朝、この後皆でコントロールルームで聴き合ったともライナーノーツに書かれている。
ダニエルスの記憶のようにこのセッションが月曜日の夜から延々続いたということは流石にないとは思うが、アレンジが出来上がった所から片っ端からリハーサルもそこそこで12曲一気にレコーディングが行われたというのは事実であろう。

その事実を知ると、余計にこのアルバムのジョーンズのアレンジとウィリアムのコンビネーションを素晴らしく感じる。アレンジは明らかにベイシーオーケストラのバックとは異なり、ソプラノリードのサックスなどサドメルの味がする。
さらに、ダニエルスもそれを「CAMEO」とコメントしているが、バックのメンバー達が入れ替わり立ち代わり歌とアンサンブルの合間に綺麗な装飾のように輝く短いソロやオブリガードを散りばめられているのが素晴らしい。また、後にサドメルではレギュラー構成から外されたフレディーグリーンライクのサムハーマンのギターもここでは効果的だ。このアルバムからピアノはハンクジョーンズからロランドハナに替わっているが、そのハナのピアノもソウルフルにツボを得たバッキングだ。



ジョーウィリアムはベイシー時代、新しい曲をやりたいと思うと、アーニーウィルキンスやフランクフォスターにアレンジを頼んだそうだ。ベイシーオーケストラ時代、サドジョーンズのアレンジはダメ出しされる事が多かった。ウィリアムスも頼み辛かったのかもしれないが、ここでは、サドジョーンズのお蔭で新境地を開いているような気がする。



1. Get Out of My Life Woman" (Toussaint) -- 3:21
2. Woman's Got Soul (Mayfield) -- 2:22
3. Nobody Knows the Way I Feel This Morning  (Delaney, Delaney) -- 4:30
4. Gee Baby, Ain't I Good to You  (Razaf, Redman) -- 2:52
5. How Sweet It Is (To Be Loved by You)  (Dozier, Holland, Holland) -- 2:32
6. Keep Your Hand on Your Heart  (Broonzy) -- 3:37
7. Evil Man Blues (Feather, Hampton) -- 3:26
8. Come Sunday (Ellington) -- 3:16
9. Smack Dab in the Middle  (Calhoun) -- 3:29
10. It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)  (Ellington, Mills) -- 3:04
11. Hallelujah I Love Her So  (Charles) -- 3:01
12. Night Time Is the Right Time (to Be With the One You Love)" (Sykes) -- 5:13

Joe Williams -- vocals
Thad Jones -- flugelhorn
Mel Lewis -- drums
Richard Williams -- trumpet
Bill Berry -- trumpet
Jimmy Nottingham -- trumpet
Snooky Young -- trumpet
Bob Brookmeyer -- trombone
Garnett Brown -- trombone
Tom McIntosh -- trombone
Cliff Heather -- trombone
Jerome Richardson -- saxophone
Jerry Dodgion -- saxophone
Joe Farrell -- saxophone
Eddie Daniels -- saxophone
Pepper Adams -- saxophone
Richard Davis -- bass
Roland Hanna -- piano
Sam Herman – guitar

Produced by Sonny Lester
Recording Engineer : Phil Ramone
Recorded on 1966 September 30, at A&R Studio New York City




Presenting Joe Williams & Thad Jones/Mel Lewis
Joe Williams
Blue Note Records

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あれだけとるのに苦労したグ... | トップ | ブルーノートの売却騒ぎの中... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。