Brass Shout / Art Farmer Tentet
アートファーマーとベニーゴルソンのコンビというとジャズテットで有名だ。
トロンボーンは途中で替わったが、この2人のコンビは最後まで変る事はなかった。58年9月録音のアルバム”Modern Art”での2人のコンビは演奏もアレンジも絶妙だった。2人の本当の出会いがいつかは知らないが、このアルバムが2人のコンビのスタートいってもいいだろう。
当時のアートファーマーは、ジェリーマリガンのグループに加わり、レコーディングではソニークラークの名盤”Cool Struttin’”にも参加し、大編成の録音にも引く手あまたであった。誰とやってもファーマーの特徴である柔らかいサウンドが良くマッチする物が多い。
一方のゴルソンはこの頃カーティスフラーとよく一緒に演奏していた。2人のコンビで有名なアルバム”Blue’s Ette”が59年5月の録音、それに続いて8月、11月の”Imagination”と立て続けにアルバムを作っていた。「ブルースエット」こそクインテット編成だが、後の2枚はそれぞれリーモーガン、サドジョーンズとトランペットを加え3管編成であった。特に、8月のアルバムは、カーティスフラージャズテットとグループ名共どもとジャズテットの原型は実はカーティスフラー主導で作られていた。
59年にゴルソンがフラーとべったり付き合う前の59年4月、ファーマーとゴルソンが残したもう一枚のアルバムがこれになる。
ここではゴルソンはアレンジに徹して、プレーには参加していない。というのも、アルバムタイトルからも想像続くが、このアルバムは主役のアートファーマーに加え、バックはブラスアンサンブルで、たとえ吹きたくともサックスの出番は無かった。
ブラスアンサンブル自体が珍しいが、ここではチューバーやホルンなどジャズではあまり使われない管楽器を加えている。ブラスといっても金管の煌びやかな感じを活かすというより、中低音を活かした重厚な丸みを帯びたサウンドに仕上がっている。
これが、アートファーマーのトランペットに実に良く合う。トランペットのハイノートの輝きをアンサンブルで盛り立てるとことは良くあるが、今回は逆のコンセプトで、ファーマーの中音域のトランペットをうまく浮き彫りにしている。
さらに、このアルバムの良さは曲の選曲にもある。ジャズのスタンダード曲には、いわゆる昔の歌物を素材としたスタンダード曲があるが、モダンジャズの演奏から生まれたスタンダードとなった名曲も多くある。多くはビバップ時代から、この50年代の後半に作られた曲が多い。
これらのスタンダード曲は、今でもアルバム作りの時にファンサービス(客寄せ)のために演奏されることは多い。このアルバムでは、モーニンやニカズドリームといった出来立てのホヤホヤのジャズの名曲をブラスアンサンブルに仕立て直している。ゴルソンの名曲ファイブスポットアフターダークも収められているが、この曲に至っては「ブルースエット」の録音前に、このアルバムで披露されていたことになる。
アンサンブルに加わっているメンバーも一流処が揃っているが、フラーやワドキンスなどのソロも聴ける、なかなか豪勢なアルバムとなっている。やはりメジャーレーベルのなせる業かもしれない。
1960年になってジャズテットの初アルバムが作られたが、ここではトランペットにアートファーマーが選ばれる。そして、フラーがつけたジャズテットのグループ名称も引き継いだことになる。
ゴルソンは、フラーと共にグループに招くトランぺッター色々試したものの、結局モダンアートで一緒に演奏したファーマーとの相性が一番よかったのだろう。というより、ファーマーを生涯の伴侶として選んだのかもしれない。
と、考えるとこのアルバムは、ファーマーに対してゴルソンのプロポーズの意味も含まれていたのかもしれない。同郷のモーガン、同じように作編曲も得意なサドジョーンズと色々付き合ってみたが、最後はファーマーに収まってめでたしめでたし。
1. Nica’s Dream
2. Autumn Leaves
3. Moanin’
4. April In Paris
5. Five Spot Afrer Dark
6. Stella By Starlight
7. Minor Vamp
Art Farmer, Lee Morgan, Ernie Royal (tp)
Wayne Andre, Jimmy Cleveland, Curtis Fuller (tb)
Julius Watkins (French horn)
Don Butterfield (tuba)
James Haughton (baritone horn)
Bobby Timmons (p) only #3
Percy Heath (b)
Philly Joe Jones (ds) #3,4,5,7
Elvin Jones (ds) #1,2,6
Arranged by Benny Golson
Produced by Tom Wilson
Recording Engineer : Lew Merritt
Recorded at Nola Penthouse Sound Studio, NYC, May 14, 1959
アートファーマーとベニーゴルソンのコンビというとジャズテットで有名だ。
トロンボーンは途中で替わったが、この2人のコンビは最後まで変る事はなかった。58年9月録音のアルバム”Modern Art”での2人のコンビは演奏もアレンジも絶妙だった。2人の本当の出会いがいつかは知らないが、このアルバムが2人のコンビのスタートいってもいいだろう。
当時のアートファーマーは、ジェリーマリガンのグループに加わり、レコーディングではソニークラークの名盤”Cool Struttin’”にも参加し、大編成の録音にも引く手あまたであった。誰とやってもファーマーの特徴である柔らかいサウンドが良くマッチする物が多い。
一方のゴルソンはこの頃カーティスフラーとよく一緒に演奏していた。2人のコンビで有名なアルバム”Blue’s Ette”が59年5月の録音、それに続いて8月、11月の”Imagination”と立て続けにアルバムを作っていた。「ブルースエット」こそクインテット編成だが、後の2枚はそれぞれリーモーガン、サドジョーンズとトランペットを加え3管編成であった。特に、8月のアルバムは、カーティスフラージャズテットとグループ名共どもとジャズテットの原型は実はカーティスフラー主導で作られていた。
59年にゴルソンがフラーとべったり付き合う前の59年4月、ファーマーとゴルソンが残したもう一枚のアルバムがこれになる。
ここではゴルソンはアレンジに徹して、プレーには参加していない。というのも、アルバムタイトルからも想像続くが、このアルバムは主役のアートファーマーに加え、バックはブラスアンサンブルで、たとえ吹きたくともサックスの出番は無かった。
ブラスアンサンブル自体が珍しいが、ここではチューバーやホルンなどジャズではあまり使われない管楽器を加えている。ブラスといっても金管の煌びやかな感じを活かすというより、中低音を活かした重厚な丸みを帯びたサウンドに仕上がっている。
これが、アートファーマーのトランペットに実に良く合う。トランペットのハイノートの輝きをアンサンブルで盛り立てるとことは良くあるが、今回は逆のコンセプトで、ファーマーの中音域のトランペットをうまく浮き彫りにしている。
さらに、このアルバムの良さは曲の選曲にもある。ジャズのスタンダード曲には、いわゆる昔の歌物を素材としたスタンダード曲があるが、モダンジャズの演奏から生まれたスタンダードとなった名曲も多くある。多くはビバップ時代から、この50年代の後半に作られた曲が多い。
これらのスタンダード曲は、今でもアルバム作りの時にファンサービス(客寄せ)のために演奏されることは多い。このアルバムでは、モーニンやニカズドリームといった出来立てのホヤホヤのジャズの名曲をブラスアンサンブルに仕立て直している。ゴルソンの名曲ファイブスポットアフターダークも収められているが、この曲に至っては「ブルースエット」の録音前に、このアルバムで披露されていたことになる。
アンサンブルに加わっているメンバーも一流処が揃っているが、フラーやワドキンスなどのソロも聴ける、なかなか豪勢なアルバムとなっている。やはりメジャーレーベルのなせる業かもしれない。
1960年になってジャズテットの初アルバムが作られたが、ここではトランペットにアートファーマーが選ばれる。そして、フラーがつけたジャズテットのグループ名称も引き継いだことになる。
ゴルソンは、フラーと共にグループに招くトランぺッター色々試したものの、結局モダンアートで一緒に演奏したファーマーとの相性が一番よかったのだろう。というより、ファーマーを生涯の伴侶として選んだのかもしれない。
と、考えるとこのアルバムは、ファーマーに対してゴルソンのプロポーズの意味も含まれていたのかもしれない。同郷のモーガン、同じように作編曲も得意なサドジョーンズと色々付き合ってみたが、最後はファーマーに収まってめでたしめでたし。
1. Nica’s Dream
2. Autumn Leaves
3. Moanin’
4. April In Paris
5. Five Spot Afrer Dark
6. Stella By Starlight
7. Minor Vamp
Art Farmer, Lee Morgan, Ernie Royal (tp)
Wayne Andre, Jimmy Cleveland, Curtis Fuller (tb)
Julius Watkins (French horn)
Don Butterfield (tuba)
James Haughton (baritone horn)
Bobby Timmons (p) only #3
Percy Heath (b)
Philly Joe Jones (ds) #3,4,5,7
Elvin Jones (ds) #1,2,6
Arranged by Benny Golson
Produced by Tom Wilson
Recording Engineer : Lew Merritt
Recorded at Nola Penthouse Sound Studio, NYC, May 14, 1959
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