A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

アンサンブルもいいが、テナーサックスはやはりバトルが本命・・・

2014-10-26 | MY FAVORITE ALBUM
The Tenor Trio / Ernie Watts, Pete Christlieb, Rickey Woodard

デイブペルが率いたPrez Conferenceのテナーアンサンブルも良かったが、テナーのアンサンブルといえばハーマンのフォーブラザースが有名。アンアンブルもソロも楽しめるサックスセクションのショーケースのひとつだ。

しかし、テナーといえばアンサンブルよりも昔から2人でバトルを交わすアル&ズート、アモンズ&スティットを始めとして、マニアックな物まで名演が多く残されている。ベイシーオーケストラを始めとするビッグバンドでもテナーバトルをフィーチャーするレパートリーは必ずといっていい位プログラムに組み込まれるものだ。

自分が好きなテナーバトルのアルバムにVery Saxyというアルバムがあるが、これはノリの良いエディーロックジョーデイビスを始めとして、バディーテイト、コールマンホーキンス、アーネットコブという往年のテナーの名手の好演がオルガンをバックに聴ける。このオルガンとテナーというのも相性がいい。
バトルが嵩じると最後は絶叫型のフリーキーなプレーになることもあるが、これはライブのステージでは視覚的には効果がある。一方で、レコーディングでは各人が余裕を持って自分のスタイルで淡々とこなすグループ効果を楽しむのもいいものだ。
そのようなテナーバトルでは、このアルバムも好きな一枚だ。

このアルバムの特徴は、まずはメンバーが西海岸のプレーヤーという事。アーニーワッツ、ピートクリストリーブ、そしてリッキーウッダードと普段はビッグバンドやスタジオの仕事が多かった面々。クリストリーブとワッツはどちらもドックセベリンセンのメンバーだった。ワッツは更に遡れば60年代後半はバディーリッチのオーケストラのメンバーだった。ウッダードはレイチャールスのビッグバンド出身、ピアースとキャップのジャガーノーツのメンバーでもあった。
もちろん3人とも地元ではソロ活動はやっていて、自分のアルバムも出しているが、スタジオワークの多いミュージシャンが3人揃ってジャムセッションで大ブローという演奏はなかなか聴けないものだ。

このアルバムは、3人が思う存分大ブローするという基本コンセプトでバラードプレーは一曲も無く、すべてミディアムテンポ以上で、これも珍しい。大体はバラードが数曲入るのだが。
曲は昔テナーの名手が手掛けた曲ばかり。一曲目のブルースアップアンドダウンで、いきなりスティットとアモンズのバトルにチャレンジだ。ホレスシルバーのストローリンはジュニアクックのプレーが思い浮かぶ。ニールヘフティーの曲でベイシーのオーケストラの演奏で有名なリトルポニーをやっているのも嬉しい。

という具合に単なるジャムセッションではなく、過去の名演、そして名プレーヤーにトリビュートという構成になっている。3人のソロはどの曲でも登場するが、各曲のテーマのアンサンブルでのリード役は3人が交代で担当している。それぞれの想いがアレンジに込められているのだろう。
ウェストコーストのミュージシャンの大ブローセッションというのはなかなか聴く機会がないが、このアルバムは存分に聴けるだけで大満足。最後のリトルポニーが終わった後に、3人の歓声が一緒に収められているが、彼等も録音を終えて、「やったー」という感じであったのだろう。

録音スタジオではよく仕切りが作られ他のプレーヤーの音をヘッドフォンだけを頼りに行われことが多い。しかし、このような演奏は3人の呼吸が合う事が大事だが、ジャケットに録音の際も3人が並んで演奏している写真が。この録音のセッティングもこのアルバムでの3人の一体感が生まれた原因の一つのように思う。



1. Blues Up and Down        Gene Ammons / Sonny Stitt 4:06
2. Strollin'                  Horace Silver 7:21
3 Groovin' High  R. Coburn / D. Gillespie / C. Parker / V. Rose / J. Schonenburger 5:39
4. Love for Sale                Cole Porter 6:27
5. St. Thomas                 Sonny Rollins 4:01
6. Fried               Bananas Dexter Gordon 5:39
7. Here's to Alvy                Johnny Mandel 5:46
8. Holy Land                   Cedar Walton 6:05
9. Moten Swing           Bennie Moten / Buster Moten 5:50
10. Eternal Triangle                Sonny Stitt 5:15
11. Little Pony                   Neal Hefti 5:29

Ernie Watts (ts)
Pete Christlieb (ts)
Rickey Woodard (ts)
Gerry Wiggins (p)
Chuck Berghofer (b)
Frank Capp (ds)

Produced by Larry Hathaway
Recording Engineer : Jim Mooney
Recorded at Sage and Sound, Hollywood, March 4, 5, & 6 1997
コメント
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