I Told You So / Count Basie Orchestra
ビッグバンドの両雄、エリントンとベイシーはよく対比されるが一番の違いは何か?
というと作編曲をリーダー自ら手掛けるかどうかだろう。
両者とも強烈な個性を持ったオーケストラであるが、エリントンサウンドはエリントンとビリーストレイホーンのコンビの作品に因るところが大きい。
一方のベイシーは多くのアレンジャーの作品をレパートリーに加えている。本格的なビッグバンド編成になってから自らのアレンジした作品というのは聞いたためしがない。
ベイシーの50年代後半の黄金期はニールヘフティー、クインシージョーンズ、サドジョーンズなどの名アレンジャーが支えた。サドジョーンズのアレンジはベイシーオーケストラには複雑過ぎるものもあり没になったのも多かったとか。後に自分の作品を自由に演奏するために、サドが自らのビッグバンドを作ったという話も聞いたことがある。
やはり、ベイシーオーケストラにはベイシーサウンドに合うアレンジというものが大事なのだろう。
一般的には、オーケストラとアレンジャーの組み合わせは両者の特徴をうまく掛け合わせてハイブリッドな成果が出た時にいい作品ができる。ベイシーの場合は、誰のアレンジを演奏してもアレンジャーの個性を上回るバンドカラーがある。ベイシーのピアノであり、フィレディーグリーンのギターが特徴であるが、それらに支えられたセクションワークにも特徴がある。これは、どのようにして生まれるのか素朴な疑問であったのだが・・・・・
パブロレーベルに移籍しての、最初のオーケストラのスタジオ録音はサミーニスティコをアレンジャーに迎えた作品”Basie Big Band”であった。60年代のアルバムには今一つ満足できなかったが、ドラムのブッチマイルスの加入もあり、新生ベイシーオーケストラとしては素晴らしいアルバムだと思う。
パブロにはこのアルバムに続いて制作された、もう一枚アレンジャーを前面に出したアルバムがある。
白羽の矢が立ったアレンジャーはビルホルマン。
西海岸で50年代から活躍してきたアレンジャーの一人だが、まだ現役で活躍しているようだ。古いアルバムだとテナーの演奏も聴ける。
ビルホルマンが有名になったのはスタンケントンオーケストラへのアレンジの提供から。自らメンバーに加わってツアーにも参加していた。ちょうどメルルイスがメンバーに加わっていた頃だろう。スタンケントンに続いて、メイナードファーガソン、テリーギブス、そして60年代に入るとバディーリッチのオーケストラにも多くの作品を提供してきた大ベテランだ。
58年2月には、早くもアレンジャーとして自らのリーダーアルバムも残している。
ちょうど前年には西海岸でホルマンのアレンジの録音多く参加していたペッパーアダムスがニューヨークに戻って再スタートした頃だ。
この西海岸の重鎮にベイシーオーケストラのアレンジをノーマングランツが頼んだのはそれから20年近く経った1976年になってから。サミーニスティコのアルバムが上手くいったので2匹目の・・・を期待したのかどうかは分からないが?
ある種対極にいる印象を受ける2人の組み合わせがどのようなサウンドになるのか興味が湧く。
結果は、やはりベイシーサウンドが全面に響き渡る。素材としてもブルースがメインだし、ホルマンもかなり意識したのかもしれない。やはり、このベイシーオーケストラはアレンジャーの個性よりもバンカラーが上回る。
最近になって、この当事者であるビルホルマンにこの作品についてインタビューを行った記事が紹介されている。記事の中にも書かれているが、ビルホルマンが西海岸で仕事をしている時、ミュージシャンは如何に譜面に忠実に演奏するかに注力するのだが、ベイシーの場合はそうはいかなかった。御大ベイシーが納得のいくまで曲を醸成させていくようだ。
特にこの時はトランペットセクションに新メンバーが2人いたので余計に大変だったとか。この時ホルマンはレンジ自体をベイシーオーケストラを想定し、曲によってソロのメンバーも実際のメンバーを想定して書いたようだが、最終的にベイシーオーケストラの曲に仕上がるには御大の最終的な味付けが重要だったということだろう。
さて、このビルホルマンのアレンジは新旧たくさんあるが、あまり表立って紹介されることは多くはない。ビッグバンドは良く聴きに行くが、マイクプライスのビッグバンドは西海岸のアレンジャーの作品をやることが多いので、ここでは良く紹介される。しかし、他ではあまり聴いたことはない。
そのような中でアレンジャーに拘りを持って紹介、演奏をしてくれるのが辰巳哲也ビッグバンドだ。
最近は、東京TUCで日曜日の午後のアフタヌーンライブが定期的に行われているが、10月6日の次回のライブがこのビルホルマン特集とのこと。
この日はちょうど地方にいる学生時代の友人を仲間と訪れる予定が入ってしまい、せっかくの機会を聴けずに残念に思っていたのだが、幸いにも日程変更で当日はフリーに。
ゴルフもお休みにしてアフタヌーンライブを楽しんで来ようと思っている。
1. Tree Frog Bill Holman 5:15
2. Flirt Bill Holman 5:52
3. Blues for Alfy Bill Holman 4:42
4. Something to Live For Duke Ellington / Billy Strayhorn 3:41
5. Plain Brown Wrapper Bill Holman 4:22
6. Swee' Pea Bill Holman 4:36
7. Ticker Bill Holman 4:37
8. Too Close for Comfort Jerry Bock / Larry Holofcener / George David Weiss 4:10
9. Told You So Bill Holman 6:28
10. The Git Bill Holman 3:54
Count Basie Orchestra
Pete Minger (tp)
Bobby Mitchell (tp)
Jack Geierman (tp)
John Thomas (tp)
Jack Feierman (tp)
Sonny Cohn (tp)
Curtis Fuller (tb)
Al Grey (tb)
Mel Wanzo (tb)
Bill Hughes (btb)
Jimmy Forrest (ts)
Danny Turner (as,cl)
Bobby Plater (as,cl)
Eric Dixon (ts,fl)
Charlie Fowlkes (bs)
Count Basie (p)
Freddie Green (b)
John Duke (b)
Butch Miles (ds)
Norman Granz Producer
Bob Simpson Engineer
Bill Holman Arranger, Composer
Recorded at RCA Recording Studio, NYC, on Jan 12-14, 1976
ビッグバンドの両雄、エリントンとベイシーはよく対比されるが一番の違いは何か?
というと作編曲をリーダー自ら手掛けるかどうかだろう。
両者とも強烈な個性を持ったオーケストラであるが、エリントンサウンドはエリントンとビリーストレイホーンのコンビの作品に因るところが大きい。
一方のベイシーは多くのアレンジャーの作品をレパートリーに加えている。本格的なビッグバンド編成になってから自らのアレンジした作品というのは聞いたためしがない。
ベイシーの50年代後半の黄金期はニールヘフティー、クインシージョーンズ、サドジョーンズなどの名アレンジャーが支えた。サドジョーンズのアレンジはベイシーオーケストラには複雑過ぎるものもあり没になったのも多かったとか。後に自分の作品を自由に演奏するために、サドが自らのビッグバンドを作ったという話も聞いたことがある。
やはり、ベイシーオーケストラにはベイシーサウンドに合うアレンジというものが大事なのだろう。
一般的には、オーケストラとアレンジャーの組み合わせは両者の特徴をうまく掛け合わせてハイブリッドな成果が出た時にいい作品ができる。ベイシーの場合は、誰のアレンジを演奏してもアレンジャーの個性を上回るバンドカラーがある。ベイシーのピアノであり、フィレディーグリーンのギターが特徴であるが、それらに支えられたセクションワークにも特徴がある。これは、どのようにして生まれるのか素朴な疑問であったのだが・・・・・
パブロレーベルに移籍しての、最初のオーケストラのスタジオ録音はサミーニスティコをアレンジャーに迎えた作品”Basie Big Band”であった。60年代のアルバムには今一つ満足できなかったが、ドラムのブッチマイルスの加入もあり、新生ベイシーオーケストラとしては素晴らしいアルバムだと思う。
パブロにはこのアルバムに続いて制作された、もう一枚アレンジャーを前面に出したアルバムがある。
白羽の矢が立ったアレンジャーはビルホルマン。
西海岸で50年代から活躍してきたアレンジャーの一人だが、まだ現役で活躍しているようだ。古いアルバムだとテナーの演奏も聴ける。
ビルホルマンが有名になったのはスタンケントンオーケストラへのアレンジの提供から。自らメンバーに加わってツアーにも参加していた。ちょうどメルルイスがメンバーに加わっていた頃だろう。スタンケントンに続いて、メイナードファーガソン、テリーギブス、そして60年代に入るとバディーリッチのオーケストラにも多くの作品を提供してきた大ベテランだ。
58年2月には、早くもアレンジャーとして自らのリーダーアルバムも残している。
ちょうど前年には西海岸でホルマンのアレンジの録音多く参加していたペッパーアダムスがニューヨークに戻って再スタートした頃だ。
この西海岸の重鎮にベイシーオーケストラのアレンジをノーマングランツが頼んだのはそれから20年近く経った1976年になってから。サミーニスティコのアルバムが上手くいったので2匹目の・・・を期待したのかどうかは分からないが?
ある種対極にいる印象を受ける2人の組み合わせがどのようなサウンドになるのか興味が湧く。
結果は、やはりベイシーサウンドが全面に響き渡る。素材としてもブルースがメインだし、ホルマンもかなり意識したのかもしれない。やはり、このベイシーオーケストラはアレンジャーの個性よりもバンカラーが上回る。
最近になって、この当事者であるビルホルマンにこの作品についてインタビューを行った記事が紹介されている。記事の中にも書かれているが、ビルホルマンが西海岸で仕事をしている時、ミュージシャンは如何に譜面に忠実に演奏するかに注力するのだが、ベイシーの場合はそうはいかなかった。御大ベイシーが納得のいくまで曲を醸成させていくようだ。
特にこの時はトランペットセクションに新メンバーが2人いたので余計に大変だったとか。この時ホルマンはレンジ自体をベイシーオーケストラを想定し、曲によってソロのメンバーも実際のメンバーを想定して書いたようだが、最終的にベイシーオーケストラの曲に仕上がるには御大の最終的な味付けが重要だったということだろう。
さて、このビルホルマンのアレンジは新旧たくさんあるが、あまり表立って紹介されることは多くはない。ビッグバンドは良く聴きに行くが、マイクプライスのビッグバンドは西海岸のアレンジャーの作品をやることが多いので、ここでは良く紹介される。しかし、他ではあまり聴いたことはない。
そのような中でアレンジャーに拘りを持って紹介、演奏をしてくれるのが辰巳哲也ビッグバンドだ。
最近は、東京TUCで日曜日の午後のアフタヌーンライブが定期的に行われているが、10月6日の次回のライブがこのビルホルマン特集とのこと。
この日はちょうど地方にいる学生時代の友人を仲間と訪れる予定が入ってしまい、せっかくの機会を聴けずに残念に思っていたのだが、幸いにも日程変更で当日はフリーに。
ゴルフもお休みにしてアフタヌーンライブを楽しんで来ようと思っている。
1. Tree Frog Bill Holman 5:15
2. Flirt Bill Holman 5:52
3. Blues for Alfy Bill Holman 4:42
4. Something to Live For Duke Ellington / Billy Strayhorn 3:41
5. Plain Brown Wrapper Bill Holman 4:22
6. Swee' Pea Bill Holman 4:36
7. Ticker Bill Holman 4:37
8. Too Close for Comfort Jerry Bock / Larry Holofcener / George David Weiss 4:10
9. Told You So Bill Holman 6:28
10. The Git Bill Holman 3:54
Count Basie Orchestra
Pete Minger (tp)
Bobby Mitchell (tp)
Jack Geierman (tp)
John Thomas (tp)
Jack Feierman (tp)
Sonny Cohn (tp)
Curtis Fuller (tb)
Al Grey (tb)
Mel Wanzo (tb)
Bill Hughes (btb)
Jimmy Forrest (ts)
Danny Turner (as,cl)
Bobby Plater (as,cl)
Eric Dixon (ts,fl)
Charlie Fowlkes (bs)
Count Basie (p)
Freddie Green (b)
John Duke (b)
Butch Miles (ds)
Norman Granz Producer
Bob Simpson Engineer
Bill Holman Arranger, Composer
Recorded at RCA Recording Studio, NYC, on Jan 12-14, 1976
I Told You So | |
Count Basie | |
Ojc |