先日、『水滸伝』の続編を借り出しに大野図書館へ行ったところ、同じ町立の種市図書館が図書の整理中で未着とのことだった。それで、館内の本を物色していると「新刊」コーナーに『天地雷動』という題名の本があった。2014年4月30日発行の初版本である。最近は自分で本を買うことが少ないので、インクの香りが新しい発刊されたばかりの本を手にする機会も少ないのでさっそく借り出してきた。角川書店版で著者は伊東潤。おそらくはじめての作家だと思う。伊東潤は1960年神奈川県生まれで、早稲田大学を卒業し外資系企業に長らく勤務、歴史小説や歴史に材をとった作品を発表していると紹介されていた。
『天地雷動』は織田信長と武田勝頼が激突し、織田方が鉄砲による連続射撃で武田の騎馬軍団を打ち破った戦国史に残る長篠の合戦をテーマにしている。この本では、勝頼、家康、秀吉、そして武田方の帯刀の4人の目から長篠の合戦を見ていく組み立ててである。長篠の合戦をめぐって、裏でどんな動きがあり、武田方が苦戦を承知で織田方が構築した陣地への突撃をおこなったか、そういったものを描き出している。それはそれで斬新な組み立てではないだろうか。