山クジラの田舎暮らし

岩手県北の田舎に生息する「山クジラ」です。定年後の田舎暮らしや趣味の山行きのことなど、発信していきます。

『悪道』=森村誠一著

2012-10-31 07:40:45 | 読書

 森村誠一の「吉川英治文学賞」受賞作品『悪道』を読んだ。

 『悪道』は徳川綱吉の時代の物語である。綱吉は柳沢吉保を寵愛し、側用人にして大老格に遇し、吉保宅をしばしば訪れていた。物語は、吉保宅での綱吉が能を舞っている時に起こる。綱吉が急死(心不全か何かかな?)し、吉保らは「影」を綱吉の代わりにたてるが、「影」が権力者の自覚をもってしまい、「生類憐みの令」などの改変を始める。綱吉急死の近くにいた、医師や籠そばにいた伊賀者(流英次郎)、のほか、「影」を育てた役人などの抹殺をはかるが英次郎らは逃れる。英次郎と医師の娘〈おそで〉らを消し去るために、吉保は殺人者集団「猿蓑衆」を派遣。芭蕉の奥の細道をたどって死闘が繰り広げられ、やがて「影」と英次郎らが合流し、吉保の専横を抑えていくという話だが、もちろん森村誠一がつくりだしたフィクションの世界である。

 話のスケールが大きく、どのような結果になるのかわからないので、一気に読まされてしまう作品であった。


小鯵のあんかけ

2012-10-30 18:23:21 | グルメ

 今日は、小鯵のあんかけと煮込みうどんをつくった。三陸沿岸ではこの時期、春に産卵し稚魚がかえった鯵が「小鯵」サイズで漁獲され、スーパーなどに並ぶ。「小鯵」は焼き魚にするにはあまりに小さいので、はらわたをとって小麦粉だけをまぶして低温の油で揚げ、甘酢のたれをつくってかける。低温で長めに揚げれば、頭から食べることができる。なかなかの一品になった。その上値段が安くて栄養が豊富ときている。まさに言うことなしの食材だが、だんだん大きくなるとそうもいかなくなる。煮込みうどんはご飯の残量が少ないときによくやる手だが、今日の麺は軽米町の共産党町議がつくった「軽米ハット」を湯がいて、鶏肉、玉ねぎ、マイタケを入れたたれで煮込んである。

 ところで共産党議員も色々いるが、軽米町議の古舘機智男さんはなかなか面白い。軽米町荒町でハット屋(製麺業)を営み、通称「赤バット」などと呼ばれている。軽米町で最初の共産党議員となり1回は2議席になったが、その次の選挙で落選し、そのまた次の選挙で返り咲いた人だ。商店街の信頼も高く、最近では息子さんも家業を手伝っている。韃靼そば、稗そうめん、アマランサス麺などなかなか特徴のある麺を作っている。もちろん、王道であるソバ、やうどん(ハット)も美味しいので、機会があったら入手して食してほしいと思う。


オデンとキンピラ

2012-10-29 18:19:37 | グルメ

 毎日のように晩飯をつくっているので、「男の料理」への投稿は可能なのだが、日々の惣菜を上げるのはどうかと思って幾分遠慮している。

 今晩は、少し力が入って「オデン」と「キンピラ」を作ったので掲載してみた。オデンをつくる動機は、27日の「収かく祭」でいただいたゆで卵がしっかり残ったことによる。ゆでた卵は煮卵にするとかオデンの具材にするとかしないと、傷んで捨てるしかなくなるからである。

 今日のオデンは、さつま揚げ、がんもどき、ちくわ、コンニャク、ニンジン、大根、昆布、ウズラ丸揚げ,ゆで卵の9品である。これに田楽味噌をつけたり、からしをつけたりして食す。オデンとしては当たり前の食べ方である。明日の義妹の弁当にもオデンが入ることだろう。それだけでは足りないかなと思って、ゴボウとニンジンでキンピラをつくった。先日出来合いのキンピラ(レトルトパックのもの)を食してみたが、甘すぎて美味しいとは言えなかった。キンピラは、甘みを抑え、醤油のこげた味と唐辛子に辛みが聞いてこそのものだと思う。最近の「売れれば」の発想で消費者に迎合するものづくりには反発を感じる「山クジラ」である。


収かく祭

2012-10-28 12:39:43 | 地域

 昨夜、地域の集会場で妻の後援会で「収かく祭」を開いた。以前は「芋の子会」だったのだが、他の農作物の収穫を祝うという意味もあって、「収かく祭」と名前をかえて何年かになる。今年も「芋の子汁」の調理は私の仕事だった。洋野町など岩手県北部ではサトイモはほとんど作られれ来ず、イモの汁といえばジャガイモだと思っていたらしい。「芋の子会」をやろうと発案した時から、毎年「芋の子汁」を作らされている。そのほか、今年はアミッコ(アミタケ)の和え物、しめ鯖、ゆで卵、漬物2品、カキ(果物です)なども供されたが、すべて「会」があると知った人からのいただきものである。「収かく祭」では町議である妻が議会報告し、地元の「手踊りの会」が6曲の手踊りを披露した。写真は、当地の盆踊り歌をもとにした「南部とらじょ様」を踊るところである。例のナニャドヤラである。


『正宗遺訓』(酔いどれ小藤次留書)=佐伯泰英

2012-10-27 06:44:52 | 読書

 佐伯泰英の酔いどれ小藤次留書シリーズの『正宗の遺訓』を、やはり伊香保へ向かう列車の中で読んだ。佐伯作品では、居眠り磐根江戸双紙シリーズや、吉原裏同心シリーズなど連作があって、新刊が出るとどうしても手が出てしまう。佐伯作品は文庫書き下ろしのため図書館に入るケースが少なく、読みたければ古本になるのを待つか新刊で購入するしかないのである。

 『正宗の遺訓』では、小藤次の暮らす長屋が秋の長雨にたたられ、住人は仕事に行くこともできず、くらしがひっ迫する中で、小藤次の発案で炊き出しを企て、長屋の空いているところを使おうとすると、そこの竈から黄金づくりの根付が出てきて、その行方をめぐって元の持ち主の三河蔦屋と、盗み取られた現在の所有者の伊達家の間での問題を小藤次とおりょうの二人が知恵を絞って解決する。

 『酔いどれ』シリーズでは、大酒のみの小藤次が一方、水軍流なる剣法の達人であってめっぽう強く、その顔立ちが「モクズガ二」のようだといいながら絶世の美女である「おりょう」に思われ、大店の主たちや水戸家にまで信頼されるという人柄を発揮するわけだが、フィクションなのであり得ないことなのだが、そこは物語として味わえばよいだろうと思う。読み始めるとやめられない読み物なのである。