高屋敷秀乃著『峠の群像』を読んで、『戸呂町繋』関連の3部作とあったので、昨日大野図書館に行くと、『戸呂町繋』も置いてあった。この本は2005年3月株式会社碧天社から出版された本である。ちなみにアマゾンで検索してみたら10,000円以上の値段のものがあった。1,000円位のものあったので何かの事情で高値がついたものだとは思う。『戸呂町繋』は、『峠の群像』の中の『夜明け前』、『峠の群像』の後に続く分で、戸呂町繋の住人であった繋惣市が姿を消し、そこへ息子・通孝が帰ってきて暮らし、通孝夫妻の間の微妙な心理的な食い違いがおこるが、やがて戸呂町繋に住み暮らすようになるという話だ。確かに、自然情景の描き方には旧山形村に実際に住んでいるものでなければ描けないものを感じた。山クジラ♂が同じ九戸郡内の旧大野村現在の洋野町にやってきたのはそんな昔ではないが、岩手県北のヤマセ地帯という寒冷な気候の中で、かつては飢饉に見舞われ入会山での放牧などで細々と生計をたててきた地域でもある。今また、大都市集中型の政治のもとで、この地域の経済的基盤が揺らいでいる時、何とかできないものだろうかと感じながら読み終えた。全体で100ページ未満の本である。
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