「晴耕雨読」ではないが、雨天が続くと読書が進む。特に、面白い時代小説は進みが早い。
今回は佐伯泰英氏の「吉原裏同心」シリーズの十九『未決』を読んだ。吉原にある老舗妓楼「千春楼」で人気の女郎が客と心中した。知らせを受けた吉原裏同心の神守幹次郎と会所の番方・仙右衛門は、その死に疑いを抱く。二人が真相を究明しようとするが、その前には大きな影がつきまとう。そして、吉原自体の存続を脅かす危機が訪れる―。最後は幹次郎の剣が振るわれ事件は落着するのだ。とにかく、佐伯作品は舞台設定も面白く、息もつかせぬ展開で飽きずに読まされてしまうのである。ある人が言っていたが「それだけの作品」という見方もある。でも、肩の凝らない読み物も時には必要だと、私は思っている。