gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

持ち物

2016-06-29 23:19:44 | 日記
「今日は重い日なんだ」、紺色の女学生カバンを網棚へ持ち上げながらK子は言う。「そうなのよ、辞書と参考書が多いの」、K子は隣家に住み、実践女学院に通う1学年下の丸顔のポッチャリ型の少女で、たいていの朝は玉電で、西太子堂から渋谷まで一緒だった。彼女のカバンは重い日とそうでもない日があった。 辞書を学校へ持って行くということだけでまじめという感じがあった。私は当時流行ったブックバンドで教科書と何冊かのノートを結わえていた。バンドはスクールカラーのBRB(中央の赤を両側から紺色で挟んだもの)だった。二人とも、両手が空いて、つり革を持つことになるが、ふと掌が重なることがあっても、お互いに素知らぬ顔で、そのままにしていた。
脳梗塞を患った後は、外出時に紙袋を持つようになった。飲み物を入れるためである。紙袋といっても、多種多様であって、一度使うとクシャクシャになってしまうものもあれば、ガッチリとした厚手のもので布や革のものより強いのもあった。たしかZの文字で始まる店の袋だった。ボトルの水が少々こぼれても平気だった。
車の前を、背中にいろとりどりのザックを負った少年が数人歩いて行く。遠足の帰りだと私が言うと、家人が「違うの、いまの中学生は、あれで学校へ行くのよ」と否定した。そういえば、うちの娘も黒いリュックサックで通勤している。リハビリのお姉さんも肩掛けにも背負い型にもなるザックでやって来る。誰もが似合っているのが、ちょっと不思議な気がする。

コメントを投稿